オリンピック選手村に地下鉄構想
2020年の東京オリンピックで選手村がつくられる、晴海地区。選手村はオリンピックが終わると、12000人分の集合住宅地となります。この晴海地区など臨海部と、繁華街の銀座とを結ぶ地下鉄をつくるという構想があります。東京都中央区の矢田区長は6日の記者会見で地下鉄の新規路線を誘致する構想があることを明らかにし、2014年度予算案で調査費1000万円を計上します。
実は臨海部は都心に近いことから、10年ほど前から高層マンションが林立し、人口が急増しています。有明地区では東京ビッグサイトの増設の話もあります。先ほども述べたように、選手村もオリンピックが終われば集合住宅になりますから、さらに人口が増えることになります。
臨海部には鉄道はないものの、路線バスが走っており、銀座との間にBRTが整備される見込みです。2016年度の運行開始に向け、4月以降、事業者の選定なども行います。それにもかからわず、中央区は住民の要望などを理由に地下鉄が必要としています(BRT計画などとの整合性は取れているのでしょうか?)。有明(江東区)や台場(港区)を通り、築地や銀座(いずれも中央区)に至るルートが想定され(ただしこのルートでは海底部を通るため、工事は難しいとも言われています)、コンサルタント会社に調査を委託し、ルートのほか概算事業費、費用対効果などを分析します。これに基づいて鉄道事業者や国(国交省の交通政策審議会で必要性の高い「整備を推進すべき路線」への位置づけを目指します)、周辺自治体に鉄道建設を働きかけます。
この地下鉄を運営するのは、東京地下鉄が考えられていますが、その東京メトロの新線建設は副都心線でおしまいです。以前に取り上げた江東区の地下鉄構想も、江東区などが出資する第三セクターが整備し、東京地下鉄が使用料を払って営業するかたちをとっています。中央区としては、この地下鉄の運営主体などをどうするかは、調査結果を見て考えるようです。
(追記1)
中央区は2014年度に、森地政策研究大学院大学客員教授を委員長とする「都心部と臨海副都心を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査委員会」を設置していました。そして、2015年6月8日の中央区議会環境建設委員会で、その検討結果として、新銀座駅(仮称、東京メトロ銀座駅に接続)と新国際展示場駅(仮称、りんかい線国際展示場駅に接続)を結ぶ地下鉄新線の構想を明らかにしました。延長4.8キロで、途中に3駅を設けます。所要時間は9分少々で、運転間隔は朝の通勤時間帯が4分、昼間は7分30秒です。第三セクターが運営し、運賃はりんかい線並みです。既存の東京メトロとの地下鉄との相互乗り入れについてはまだ検討していません。新銀座駅からの延伸についても今後の検討課題です。
建設費は、5両編成の場合は1625億円、10両編成の場合は1995億円で、建設には5年かかります。開業予定時期は未定ですが、オリンピックには間に合わないようで、2025年ごろとなるようです。5両編成の場合で15年、10両編成でも19年で収支を黒字化するという優れた計画だそうです。ただ、心配なことに、需要見積もりにおいてBRTを考慮していません。ルート等が不確実だからということですが、同じようなところに2つあるだけに、需要を食い合うことになります。まだBRTの場合は投資が少額ですが、地下鉄はつくってしまったらその投資を回収するのは多くの利用が必要です。
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