大阪府、大阪府都市開発を南海に750億円で売却へ
大阪府は泉北高速鉄道などを運営する第三セクター、大阪府都市開発の株式を売却して民営化する計画です。公募の結果、781億円を提示したアメリカ投資ファンド、ローンスターに売却することになりました。ただ、大阪府都市開発の株式を売却するためには、大阪府議会で可決されないといけません。しかし、ローンスターが優れているのは価格面だけで、内容については次点の南海に比べて大きく劣っていたために、与党の維新の中からも造反議員が出て、議案は否決されました。維新は造反した4人を除名し、大阪府議会で過半数割れしました。
その後、いずれは民営化されるとはいえ、動きは止まるものだと思っていましたが、想定していたよりも早く事態が動きました。南海と随意契約を結んで、750億円で売却することになったのです。公募の時点では南海は720億円を提示したのですから、ローンスターよりは少ないものの、大阪府などはローンスターの提示額の中間ぐらいの収入を得ることになります。沿線が待ち望んでいた大幅な値下げも実現します。現在、難波-和泉中央間は620円しますが、これが540円に下がります。泉北高速の運賃が高いとよく言われますが、それは泉北高速の運賃水準が高いのではなく、南海などに乗り継がない限り都心に行くことができないからです。仮に泉北高速が南海の一路線ならば、難波-和泉中央間は560円になります(光明池-和泉中央間の加算運賃20円を含みます)。破格の値下げです。なお、今回、大阪府都市開発の株の転売禁止期間は15年に延長されました。
もちろん、大阪府都市開発の株を南海に売却する話も、大阪府議会の承認を得る必要があります。2014年度の早い段階で議案を大阪府議会に提出しますが、南海はローンスターのような外資ではなく、地元に根付いてきた老舗です。しかも、提案内容は優れています。否決されるようなことはないでしょう。
もっとも、大阪府都市開発の売却によって多額のお金が入る大阪府ですが、そのお金は(泉北高速以外の部分もあるとはいえ)、泉北高速沿線の人があまり使わないであろうところを中心につぎ込まれます。「戦略4路線」と位置付けられる北大阪急行、大阪モノレール、なにわ筋線、西梅田十三新大阪連絡線の新設、延伸事業につぎ込まれます。なにわ筋線はともかく、あとは使うことの少ない路線です。
(参考:MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140221/waf14022114090020-n1.htm、Bloombergホームページ http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N1C0EE6KLVRG01.html)
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Comments
>南海はローンスターのような外資ではなく、地元に根付いてきた老舗です。しかも、提案内容は優れています。否決されるようなことはないでしょう
維新の指導力もガタ落ちです。
公共性のある企業の売却は、住民の利便性等多面的な配慮が必要なのに、単に価格が高いだけで飛びついたのは失策でした。
しかも、こうした批判があっても、橋下市長らは「住民が値下げを希望するなら地元で負担を」等と突き放したような言い方をしてきた。
批判に耳を貸さず、自己正当化のための強弁を続けたものの、最終的には撤回・謝罪に追い込まれるということを、何度やってきたことか。
一見、威勢のいい言動は市民受けするかもしれないが、結局、言うだけで何も実行できないなら、「言うだけ番長」になりかねない。
Posted by: かにうさぎ | 2014.02.26 09:57 PM
かにうさぎさん、おはようございます。
* 公共性のある企業の売却は、住民の利便性
提案内容を重視せず、価格のみを重視したのは大きな失敗でした。
Posted by: たべちゃん | 2014.02.27 05:37 AM