大井川鐵道、電車の本数を大幅削減
SLが走ることで知られる、大井川鐵道。夏には「きかんしゃトーマス」も走ります。そういう話題のある大井川鐵道ですが、3月26日からSL以外の運行本数を大幅に削減します。
大井川鐵道本線(金谷-千頭間)の電車は、現在は1日14往復走っていますが、3月26日のダイヤ改正後は金谷-千頭間の8往復と金谷-家山間の1往復に削減する方針です。千頭-井川間の井川線もこれまでの1日4往復と一部折り返しを、1日3往復と一部折り返しに減らします。通学客の利用がある朝夕の時間帯は本数を確保しますが、昼間は大きく減り、これまで最大2時間だった運転間隔は、4時間を超えます。千頭発の金谷行きの始発が35分遅くなり(千頭6:04発)、金谷発の千頭行きの最終が43分繰り上がります(金谷発20:28発)。これだけ減れば、今月で引退する元京阪3000系の代替車両は期待できません。
このようにSL以外の運行本数を大幅に削減するのは、沿線人口の少ない大井川鐵道において(しかもその人口は減っています)、電車事業が慢性的な不採算状態に陥っているため。鉄道事業収入はSLが9割を占めているという特殊な鉄道なのです。大井川鐵道全体も、2011年度は約7700万円、2012年度は約1800万円の損失を出しました。2013年度も2011年度並みの赤字が見込まれています。2013年末の借入金残高は35億円を超えます。
しかも、2013年4月から12月までの団体バスツアー予約客が前年同期比で46%も減ってしまいました。ツアーバスが廃止され、本来の意味での観光バスである大井川鐵道へのツアーも影響を受けたのです。大井川鐵道はSLの観光収入で成り立ってきた鉄道なので、この収入が減ることは大問題です。
この本数削減により年間で約2300万円のコスト削減を見込みますが、この状態では今後の存続が危ういです。そこで大井川鐵道は、沿線の島田市長、川根本町長に、今後の路線の存廃や、存続する場合は大井川鐵道への支援など、地域公共交通機関としてのありかたを検討する協議会の設置を求めました。島田市、川根本町には補助金や固定資産税の減免も求めるようです。
(追記1)
多客期には、金谷-千頭間に急行を1往復させます。この急行に乗るには、電車急行券(大人150円、子供80円)が必要です。なお、どの車両が使用されるかは決まっていません。
(追記2)
2014年度について言えば、「きかんしゃトーマス」の予約が好調なため、黒字が見込まれます。そういうことから、地元自治体の危機感は薄いようです。
沿線人口が希薄な中、今まで自力で運営できたほうが奇跡です。「きかんしゃトーマス」の効果は一時的なもので、根本的に地元が支えるという姿勢を見せなければ、廃止になっても文句は言えないでしょう。
(参考:中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20140204/CK2014020402000094.html、MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/region/news/140205/szk14020502070001-n1.htm、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20140203-OYT8T01234.htm、http://www.yomiuri.co.jp/local/shizuoka/news/20140619-OYTNT50258.html、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXNZO66300980T00C14A2L61000/、静岡新聞ホームページ http://www.at-s.com/news/detail/933008772.html、大井川鐵道ホームページ http://www.oigawa-railway.co.jp/20141130rinji_kyuko.html)
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