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沖縄都市モノレール、浦西まで一括開業の予定だが

 以前の記事で、延伸区間(首里-浦西間)のうち、首里-石嶺間(0.9キロ)だけを先行して開業させるという案があるということを紹介しましたが、沖縄県、那覇市、浦添市、沖縄都市モノレールによる担当者レベルの勉強会の結果、採算性などの面から先行開業させずに浦西まで一括して開業する予定です。

 といいますのも、先行開業する時期は安全性などを考慮すると早くても(以前の話から遅れて)2018年夏になるようです。浦西までの延伸は2019年春の予定なので、たった半年では費用対効果が低いとみているのです。

 その費用対効果については以下のように計算されています。2012年7月に沖縄県が社団法人日本モノレール協会に発注した「沖縄都市モノレール運行計画検討委託業務」報告書によれば、複線にすれば全線開通より1年、単線では1.5年早く開業できるとしています(先ほども述べたように、その後の事情が変わり、石嶺までの先行開業時期は早くても全線開業の半年ほど前になっています)。部分開業の建設費は、全線開通の際に首里-石嶺間で必要な額と比べると、複線で約11.37億円、単線でも約1.38億円余計にかかります。複線の建設費がかかるのは、分岐器の費用約8億円がかかるからです。このほか、複線だと支柱高アップのための基礎工事費、信号保安設備費もかかります。運賃収入から人件費などの運営費を引いた収支は、複線が約7600万円、単線が約1.14億円なので、差し引きすると、複線だと約10.61億円のマイナス、単線でも約2400万円のマイナスとなります。

 もっとも、用地買収のペースは場所によって大きく異なっています。那覇市が担当する首里-経塚駅付近は88~97%ですが(数字は3月末の見込み)、浦添市が担当する京塚駅付近-前田間はほとんど進んでいないところもあります(経塚駅付近は18%しか進んでいません)。沖縄県が担当する前田-浦西間は28%です。沿線の用地買収が2015年3月(2015年度末説もあり)までに終わらないときは現時点でほぼ用地買収を終えている(97%)、首里-石嶺間の先行開業の話が再浮上する可能性もあります。ただ、先ほども述べたように、複線の対費用効果が悪いことから、(あくまでも暫定ということで)単線で開業させる可能性が高いと考えられます。
(参考:琉球新報ホームページ http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-221844-storytopic-82.html、沖縄タイムスホームページ http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=65055、http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=65397)

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