本庄早稲田駅開業から10年
上越新幹線の本庄早稲田駅が開業してから10年が経ちました。本庄早稲田駅は、熊谷と高崎の間にできた駅で、約115億円の建設費をかけてつくられました。埼玉県や本庄市など周辺自治体の負担と、企業や住民の寄付で賄っています。駅名は近くにキャンパスがある早稲田大学の名前が入っています。大学の名前が入った駅名はたくさんありますが、新幹線には軽い駅名と言えます。
しかし、利用者は伸び悩んでいます。平日朝夕はビジネスマンの通勤客が多いですが、それ以外は閑散としているようです。JR東日本高崎支社は開業前、本庄早稲田駅の乗降客数は1日約4300人と見込んでいました。しかし、開業直後の約2100人よりは徐々に増えましたが、それでも当初見込みを下回っています。4000人前後です。利用者のうち定期券客が6割を占めています。
その原因として考えられているのが、停車本数の少なさです。朝ラッシュ時の7時台の東京行きは多いのですが、日中は1時間に1本しかありません。東京から埼玉県北部や群馬県の工業団地への日帰り出張客が使うと想定されていましたが、本数が少ないので、少々遠くても、隣の熊谷や高崎を使う人もいます。地元の本庄市はJR東日本に対して停車本数の増加を要望していますが、その動きはありません。利用状況が芳しくないからです。
もっとも、駅が開業するときには、違う構想もありました。「本庄新都心」です。埼玉県や本庄市は駅建設に合わせて、駅周辺の農地約154ヘクタールを再開発して、商業施設や住宅が集まる新市街地にする計画でした。400億円以上の事業費をかける計画だったのですが、これが頓挫してしまいました。
原因は小泉首相の構造改革、事業主体の地域振興整備公団が廃止されてしまったのです。新たにできた都市再生機構はこの事業を引き継ぎましたが、仕組みが変わり自前で事業費を出せなくなり、事業は当初の4割ほどに縮小され、埼玉県や本庄市も一部を負担しないといけないようになりました。ようやく2009年に大手ホームセンターのカインズの本社が進出決定し、それがきっかけとなったのか、ほかの土地もすべて処分できるようになったようです。将来は利用者が増え、停車本数が増えるかもしれません。
(参考:朝日新聞ホームページ(会員登録要) http://digital.asahi.com/articles/CMTW1403261100005.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_CMTW1403261100005、http://digital.asahi.com/articles/CMTW1403271100004.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_CMTW1403271100004)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 貨物新幹線を導入するかどうかは2030年に決定(2023.02.05)
- 「WEST EXPRESS 銀河」と熊野のトロッコに乗る(2)(2023.02.05)
「JR東日本」カテゴリの記事
- 春も只見線に臨時列車(2023.01.30)
- 塩尻-長野間の臨時特急は「信州」(2023.01.31)
- 都会の通勤定期でローカル線を維持する必要はない(2023.01.26)
Comments