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三陸に鉄道は無駄、BRTで十分との考え

 東日本大震災で大きな被害を受けた三陸鉄道は、震災から3年余り経った4月6日、全線復旧しました。100億円近い復旧費用は国が出しています。しかし、三陸鉄道は利用者が少なく、20年も赤字が続いています。そのため、鉄道を復旧させるのは無駄で、BRTで十分だという考えがあるようです。

 この考え方を否定することはできません。いくら地元が鉄道を望んでいるとは言っても、輸送需要が少ないのが事実なのです。東日本大震災の影響がほとんどない2010年度の輸送密度は、北リアス線が480人/日、南リアス線が254人/日です。どう考えても鉄道が成り立つところではありません。正直言って岩手県内で鉄道が必要なのは、東北新幹線、東北線、IGRいわて銀河鉄道、田沢湖線ぐらいです。

 その点、BRTなら安上がりにできます。「閉塞」と呼ばれる鉄道独特の信号システムを構築する必要がなく、車両も鉄道車両より大幅に安いバスで済みます。建設費で比較すると、一桁安い金額でできます。建設費も維持費も安いのです。

 まだ第三セクターの三陸鉄道はいいです。建設費は国が出しましたが、維持費は基本的に地元が負担します。もっと問題なのは、JRの鉄道復旧。こちらもBRTで十分なぐらいの需要しかありません。2010年度の数字で見ると、気仙沼線柳津-気仙沼間が839人/日、大船渡線気仙沼-盛間が426人/日、山田線宮古-釜石間が693人/日です。しかも、首都圏の莫大な需要に支えられた黒字企業のJR東日本の場合は、三陸鉄道みたいに国が支援することができません。株式を上場している民間企業として赤字疑いなしの事業に何百億円も無駄な費用を出すわけにはいかないのです。BRTのように、できる範囲で利便性の向上に努めるのが精一杯の誠意です。

 JR東日本は山田線を鉄道で復旧させるため、JR東日本が140億円かけて施設を復旧させたうえで運行を三陸鉄道に移管するを出しましたが、地元に拒否されました。どうしてもJR東日本ならば人件費にしろ何にしろコストはかかりますが(ローカル線で働いているからといって、給料を下げるわけにはいきません。東京に本社を置く超巨大企業としての給料を払わないといけないのです)、第三セクターの三陸鉄道ならコストは下げられます。事実、三陸鉄道の営業係数は135(2006年度)で、約600と推測される気仙沼線や大船渡線よりははるかに良いです。もちろん、営業係数はいろいろ推測の要素が多く、正確な分析はできないですが、おおまかな傾向はつかめるでしょう。JR東日本は「赤字路線を地元に押し付けようとしている」と批判されているようですが、事実は全くの逆です。地元がJR東日本に負担を押し付けているのです。どうしても鉄道がほしければ、地元が責任をもって運営をしなければならないのです。
(参考:J-CASTニュース http://www.j-cast.com/2014/04/07201456.html、JR東日本ホームページ http://www.jreast.co.jp/railway/pdf/20140425tadami.pdf、http://www.jreast.co.jp/rosen_avr/pdf/2008_2012.pdf)

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