イーグルバスの路線バス改善策について
川越市に本社を置くイーグルバスは、1980年に創業し、観光バス等を運行してきました。そのバスが路線バスの運行を始めたのは、2003年のこと。前年の2002年に改正道路運送法が施行されたのを受けてのことです。そのイーグルバスですが、大手路線バス会社が撤退した赤字路線を引き継ぎ、ビッグデータによって改善を図り、利用者の増加を図っています。
きっかけとなったのは、2006年に川越市の隣の日高市の要望によって、路線バスの運行を行うようになったこと。そこで社長自らが大学院に入学してまで行ったのが、「運行状況の可視化」です。それまで路線バスは、いったん車庫を出ると、混雑率や遅延時間といった運行状況を把握することができませんでした。それを改善するために導入したのが、センサーを応用した「乗降カウントシステム」。車両にGPS、乗降口の上部に赤外線乗降センサーを設置しました。停留所ごとの乗客数や乗客密度、バスの位置や運行にかかっている時間を把握することができるようになりました。このデータに顧客アンケートの結果を加味して、運行ダイヤの最適化を行いました。実際の運行状況に合わせるようにダイヤを設定し、利用者の少ない区間の運行を減らしたり、逆に利用者の多い区間や時間帯には増やしたりするようにしました。病院など集客力のある場所には停留所を新設しました。これまでバス路線の採算性を判断するのは、1路線単位でした。しかし、このシステムの導入によって、1分単位や1キロ単位で判断できるようになりました。しかも、システム自体、毎年見直しています。最終的には、路線の廃止にも使われます。
さて、バス路線の状況を把握するために、顧客アンケートを用いるところはたくさんあります。しかし、これを鵜呑みにすると失敗することがあります。イーグルバスにもそういうことがありました。電車との乗り換え時間が短いというアンケート結果を鵜呑みにして、電車との乗り換え時間を3分から10分にしたところ、利用者は減ってしまったのです。その原因は、アンケートに回答した人は高齢者が多く、通勤通学客は3分の乗り換え時間で十分だったということ。そこで、通勤通学の時間帯の乗り換え時間は3分、日中は10分にすると、利用者は元に戻りました。しかも、イーグルバスは民間ですが、公営バスの場合、議員という厄介な存在がいます。次の世代ではなく次の選挙のことばかり考える議員は、どうしても人数の多い高齢者の声を聞きます。その結果、お金を出して乗る人がめったにいない路線が残るのです。お金を出して乗る利用者のことは考えず、少子高齢化の時代ではとても将来維持できないような極端な優遇措置がとられている高齢者や、その高齢者に甘い議員のおかげで、必要な路線に投資できず、縮小策をとったほうがよい路線が延命されています。
(参考:日経BigData http://business.nikkeibp.co.jp/article/bigdata/20140217/259878/)
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Comments
顧客の動向を詳しく掴む方法として
ICカード(SFや定期券)の情報を
更に活用してほしいと思っています。
自治体の優待で乗れる高齢者は自然に除かれますし
朝の行きだけを利用する人の割合を見たりすれば
帰りの深夜バスの導入可能性もわかります。
Posted by: しぃろ | 2014.05.08 10:46 AM
しぃろ さん、おはようございます。
* 顧客の動向を詳しく掴む方法として
確かに利用状況を正確につかむ必要があります。現状を知らないと改善点も見つかりません。
* 自治体の優待で乗れる高齢者は
ICカード化を行うところもあります。正確な補助金算定に使えます。
Posted by: たべちゃん | 2014.05.09 05:46 AM
自治体優待のICカード化、そのような使い方も可能だとは気がつきませんでした。
ありがとうございます。
Posted by: しぃろ | 2014.05.09 05:28 PM
しぃろさん、おはようございます。
* 自治体優待のICカード化、
補助金を出す自治体側も財政的な余裕はありません。無駄なお金は出したくないところです。
Posted by: たべちゃん | 2014.05.10 05:49 AM