「しまかぜ」と「つどい」で伊勢参り
4月29日のことですが、伊勢に行ってきました。
近鉄名古屋7:11発の急行に乗って伊勢市へ。直前の特急に乗っても良かったが、伊勢市には20分ほどしか差がつかない。名古屋線沿いには桑名、四日市など中小都市が連続しているため、急行と言えどもそれなりに速いのだ。JRと並行しているためサービスもよく、前のほうには転換クロスシートの車両がついていることも多い。もっとも、乗った近鉄名古屋7:11発の急行は6両ともロングシートだったが。またこの急行は松阪行きだったので、終点の松阪で向かいに停まっていた名張からの急行に乗り換える。
伊勢にもかつて、路面電車があった。それを模してつくられたのが「神都バス」、後ろも路面電車らしくできている。「神都バス」は1日5往復していて、伊勢市9:10発の便に乗る。内部も昔の路面電車風によくできている。
しかし悲しいことに乗客がいない。直前に同じ内宮前に行くバスが出ているせいもあるが、私ひとりだけ。この「神都バス」には運転士のほか、女性の車掌も乗っている。乗客ひとりだけでは彼女の人件費も出ない。伊勢神宮参拝にはまだ早い時間帯らしいが、ほかの便を見てもガラガラ。やはり「神都バス」には通常の運賃のほかに290円の特別料金が必要なことがネックになっているのだろう。改造に要した費用は回収できないが、通常の運賃だけで乗ることのできる路線バスとして客を乗せて走らせたほうが余程よさそうだ。余談だが、路面電車を模した「神都バス」は電気で走るわけではない。ほかのバス同様、軽油で走るのだ。
内宮を参拝した後、おはらい町、おかげ横丁を散策してから再び伊勢市に戻る。帰りに乗ったのは、電気で動くバス(内宮前11:35発)。「ポケットモンスター」の「ピカチュウ」が描かれている。「ピカチュウ」は電気の力を持つキャラクターらしい。この1日4往復する電気バスは通常の運賃だけで乗ることができるが、内宮前を出ると外宮前まで停まらないこともあり、通常の路線バスの枠外で運行されている。PR効果の高い内宮へのバスに投入するのはともかく、ほかの路線バスに混ざって通常のダイヤで運行しても良さそうだが。こちらは行きの「神都バス」より若干多い5人ほどが乗った。発車間際になって乗ってきた客もいた。
伊勢市からさらに先を目指す。次に乗るのは「つどい」、普通列車用の車両を改造してつくられた、3両編成の観光列車だ。定員80人の定員制で、大人300円の観光列車券は近鉄主要駅で売られている。伊勢市始発だが、伊勢市は2面2線のホームしかなく、列車を停めておく場所がない。12:20の発車時刻直前になって伊勢中川方面から「つどい」はやってきた。係員に観光列車券を見せて、車内に入る。子供連れが多い。
「つどい」は先ほども述べた通り、3両編成。先頭の3号車には子供用運転台のほか、窓側に向けて座席が並んでいる。2号車の前にはバーカウンター(いわゆる売店)、後ろはイベントスペースとなっていて、座席部分はほんのわずか。全て窓側を向いているのは3号車と同じ。一番後ろの1号車は、前が3号車と同じ窓側を向いた座席、後ろは子供が遊ぶことができるスペースとなっていて、「風のあそびば」の名前の通り、外からの風が吹き込む構造となっている。ただし、乗車した4月29日は雨が降っていたので、風が吹き込まないようになっていたが。
鳥羽を出ると、志摩市による振る舞いが行われる。「つどい」独特のサービスで、地元の特産品(食べもの)が少しもらえる。2号車のバーカウンターに行くともらえる。29日の振る舞いは、ひじきの煮物だった。バーカウンターではビール、おつまみ、スイーツも販売していて、買い求める客は多い。2号車のイベントスペースには地元の特産品が並べられていたが、そちらはあまり売れていないようだった。
賢島で遊覧船に乗っても良かったが、雨が降っていたので、戻ることにする。賢島13:45の普通伊勢中川行きに乗る。車両そのものは大阪や名古屋で見かけるのと同じ、4扉のロングシートだが、2両編成のワンマンカー。無人駅では扉が開かない、後ろの車両に座る。賢島を出たときはガラガラだったが、有人駅では後ろの車両にも乗り込む人がいて、それなりの客数になる。意外だったのは、鳥羽以南でも複線区間が長いこと。単線のほうがむしろ少ない。単線区間は中之郷-船津間、上之郷-志摩磯部間しかない。志摩線は1時間に特急2本、普通2本が基本パターン、単線でもできないことはないが、余裕があった時期に整備をすすめたからだろう。宇治山田で降り、行きには時間の都合上行くことができなかった外宮とせんぐう館に行く。
伊勢市から本日のメインイベント、近鉄の誇る豪華特急、「しまかぜ」に乗る。通常の特急料金のほかに、「しまかぜ特別車両料金」(乗車距離によって720〜1030円、個室だとさらに追加料金要)が必要だが、運行を開始して1年余りが経つのに、週末を中心に満席で乗ることができない日が多い。この切符も1か月前に手に入れたのだ。
指定された車両は先頭の1号車。ハイデッカーの車両だ。網棚もあるが、扉付近にはロッカーがあり、乗客は無料で使用できる。階段を登って座席に行く。座席は1列+2列の横に3席、黄緑色の大きな椅子が並んでいる。指定された座席に座る。背もたれはクッションになっていて、ボタン操作でリズムよく背もたれの空気が入ったり抜けたりする。マッサージチェアの機能があるのだ。
「しまかぜ」の売りは4号車のカフェ。簡単な食事ができる。カフェは販売カウンターだけでなく、買ったものを食べることができる座席もある(自分の席に戻って食べることができるメニューもある)。すべて窓側を向いた座席が、1階に6席、2階に13席ある。「しまかぜ」でダブルデッカーになっているのはここカフェだけなのだ。
食事メニューとしては海の幸ピラフ、松阪牛カレー、特製うな重があるが、まだ夕食には早い時間なので、サンドイッチとコーヒーのセットを頼む。満席だったが、しばらくして2階席が空き、係員に案内された。サンドイッチとコーヒーも運ばれ、いつもより高い視点からの景色を楽しむ。周りを見ると、カレーなどの食事メニューを頼む人もいるし、お酒(地ビールなども売っている)を頼む人もいる。なかなか楽しいエリアだ。「しまかぜ」に乗る機会があるならば、カフェには是非寄ることを勧める。
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Comments
なかなか盛りだくさんの一日でしたね。
近鉄志摩線ですが、前の遷宮に会わせて大部分の複線化(というより新線建設に近い)を行いました。
その当時は最大で1時間当たり特急9本普通2本が運転された時間帯があったと記憶しています。
昔は、伊勢から大阪・名古屋へ毎時3本の特急が走っていましたが、今では2本、寂しくなりました。
Posted by: ▲ 飛遊人 | 2014.05.03 07:54 PM
▲ 飛遊人さん、おはようございます。
* 近鉄志摩線ですが、前の遷宮に会わせて
前回の遷宮のときですから、20年前の話ですね。あのときは近鉄も体力があったのでしょう。
Posted by: たべちゃん | 2014.05.04 05:21 AM