「北斗星」「カシオペア」も北海道新幹線開業時に廃止か?
先日、大阪と札幌とを結ぶ豪華寝台列車、「トワイライトエクスプレス」が2015年3月に廃止されるという話を書きましたが、ほかの豪華寝台列車、「北斗星」と「カシオペア」(ともに上野-札幌間)も安泰ではありません。「トワイライトエクスプレス」、「北斗星」、「カシオペア」はともに人気列車なのですが、存続できない事情があるのです。以前に書いた、客車の寝台列車が消えてしまう危険性が高いのです。
「北斗星」に関しては、車両の老朽化という問題があります。「トワイライトエクスプレス」同様、国鉄時代の古い車両で、どうにもならないのです。しかし、「カシオペア」の車両は1999年と新しく、その理屈は成り立ちません。
「北斗星」「カシオペア」(そして「トワイライトエクスプレス」も)が存続できない理由、それは北海道新幹線の開業にあります。2016年春に新青森-新函館間が開業すると、新幹線と在来線が共用する、青函トンネルなどの電圧は20000ボルトから25000ボルトに上がります。これまで使われた機関車は使えません。この事態に対処するため、JR貨物は新しい機関車をつくりますが、JR北海道はつくる予定がないのです。機関車の製造費は新幹線(1両2~3億円)よりも高いのです。今のところ、借りるという話も聞きません。貨物と共用する区間において、新幹線の保守時間の間合いをどうやって確保するのか、という問題もあります。本来、新幹線では6時間を保守時間としていますが、貨物列車がたくさん通るため、4時間にする案が国交省で検討されているようです。当然ながら、2018年から行う予定の、青函トンネルの一部列車200キロ運転の設定にも苦労をしました。
ただ、「北斗星」「カシオペア」の運行は、第三セクターにおいては貴重な財源になっています。青い森鉄道では年間旅客収入約19億円のうち4億円、IGRいわて銀河鉄道では約15億円のうち3億円が寝台列車の通過で得られるものです。北海道新幹線の開業によって江差線五稜郭-木古内間も第三セクターとなりますが、寝台列車が走り続けたならば、ここにも約1億円の線路使用料が支払われます。
実は、鉄道事業の売上高が800億円台のJR北海道にとっても寝台列車は貴重な収入です。「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」の運行によって得られる収入は年間27億円とする試算もあります。
(参考:朝日新聞ホームページ(会員登録要) http://digital.asahi.com/articles/ASG5X4S39G5XIIPE00S.html?iref=com_alist_6_01、東洋経済ONLINE http://toyokeizai.net/articles/-/38893)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 京都市交通局、「バス1日券」を廃止(2023.02.02)
「JR北海道」カテゴリの記事
- 2023年3月ダイヤ改正発表(1)(JR北海道)(2022.12.17)
- 日本ハム新球場への運行計画について(2022.12.31)
- 冬の「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」は枚数制限なし(2022.11.23)
- JR北海道、除雪時間確保のため、週末の深夜便等運休(2022.12.07)
「JR東日本」カテゴリの記事
- 春も只見線に臨時列車(2023.01.30)
- 塩尻-長野間の臨時特急は「信州」(2023.01.31)
- 都会の通勤定期でローカル線を維持する必要はない(2023.01.26)
「北海道・東北私鉄」カテゴリの記事
- 秋田内陸縦貫鉄道に乗らない市民が9割、財政支援の打ち切り等を求めるのが7割(2023.01.07)
- 買い物をすると、路面電車無料(2023.01.15)
- 山形鉄道が米坂線を業務委託で運行?(2022.11.21)
- 貨物専用線になっても旅客運行を求める?(2022.12.06)
Comments