広島に227系
分割民営化から25年以上たっても、JR西日本の広島エリアでは国鉄時代につくられた古い車両が走り続けています。この事態に対処するため、2017年度までの5年間の中期経営計画において、広島支社管内に新型車両を入れることを表明していましたが、ついにその概要が発表されることになりました。
新型車両は227系、2018年度までに広島エリアの山陽線、呉線、可部線に276両(3両編成64本、2両編成42本)を投入し、115系などを置き換えます。今年度は43両を投入します。少し古いデータで2013年1月末時点のものですが、JR西日本の115系は岡山電車区に173両(4両編成16本、3両編成31本、2両編成8本)、下関総合車両所広島支所に88両(4両編成22本)、下関総合車両所に184両(4両編成44本、2両編成4本)あります。広島エリアに投入するということなので、下関総合車両所広島支所と下関総合車両所の115系を中心に置き換えていくのでしょう。
227系はステンレス車体で、外観、内装ともに広島らしさを象徴する親しみを感じさせる赤色を基調としています。厳島神社の大鳥居、もみじ、広島カープをイメージするものです。最高速度は110キロで、転換クロスシートです(車端部はロングシート)。省エネのため室内灯にはLEDを採用しています。車内の安全性向上のため、とっさの際につかまりやすい形状、オレンジ色調の吊手、手すりを採用し、大型袖仕切りを採用し、手すり、荷物棚端部を曲線化しています。バリアフリー対応設備を充実し、LED式車内表示装置を設置し、列車種別・行先表示の一体化及びカラーLEDの採用を行います。
227系には様々な安全性向上対策がとられます。開発を進めてきた「新保安システム」を初めて車両に搭載しました。「新保安システム」とは、車両にデータベースを登録することで、従来のATSの機能に加えて様々な運転支援機能を実現することができるシステムで、地上設備などの設備が完了次第、使用を開始する予定です。当初は白市-岩国間で使用開始しますが、将来的には近畿エリアでも展開する予定です。地上子ではなく無線による情報取得方式も開発します。地上子式より機能が拡大することができるからです。また、JR西日本の安全研究所などによる、操作しやすい運転台の開発に関する研究成果などを踏まえて、速度計・圧力計などの運転台計器類を液晶画面にて表示させる装置を新たに採用しました。戸挟み安全対策についても、従来の安全対策に加えて、今回新たに側引戸に傘などが挟まれ、引き抜こうとした際の戸先ゴム内の圧力変動を検知し、音声警報及び表示灯により運転士に知らせる機能を採用しています。そのほか、JR西日本の新車で導入している車両異常挙動検知装置や先頭車間転落防止ホロの設置、衝撃吸収構造などの安全対策も引き続き採用しています。
(追記1)
227系には愛称がつくことになりました。「Red Wing」です。車体前面、側面、編成間転落防止ホロに、ロゴマークを貼り付けます。
(追記2)
227系は既存車両とは併結できません。227系同士しか併結できないのです。また、227系はワンマン運転にも対応可能となっています。
(参考:JR西日本ホームページ https://www.westjr.co.jp/press/article/2014/06/page_5790.html、https://www.westjr.co.jp/press/article/2014/06/page_5792.html、http://www.westjr.co.jp/press/article/2015/03/page_6919.html、「鉄道ジャーナル」2013年4月号 鉄道ジャーナル社、「鉄道ジャーナル」2015年4月号 鉄道ジャーナル社、「鉄道ファン」2015年3月号 交友社)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
「JR西日本」カテゴリの記事
- 「はるか」は山科発着に(2024.11.23)
Comments