« 津軽鉄道、DMV導入を断念 | Main | JR東日本、松本-高山間に観光周遊バス運行 »

JR北海道、261系の車体傾斜装置使用中止でまたスピードダウン

 JR北海道は、一連のトラブルの対策として、2013年11月2014年3月にダイヤを改定し、最高速度と運転本数の見直しを行ってきました。

 これまで「スーパー北斗」、「スーパーおおぞら」などJR北海道の特急はスピードダウンを行ってきましたが、「スーパーとかち」、快速「エアポート」は最高速度130キロ運転を続けてきました。しかし、8月30日にダイヤ改定を行い、最高速度を120キロにします(快速「エアポート」については、札幌-小樽間は従来から時速120キロ運転です)。「スーパーとかち」はこれまでの最速2時間28分(札幌-帯広間、以下同じ)、平均2時間36分から最速2時間39分(改定前より11分延)、平均2時間45分(改定前より9分延)となります。快速「エアポート」はこれまでの最速36分(札幌-新千歳空港間)から37分に1分延びます。

 ほかの路線でもスピードダウンが行われます。函館線の「スーパー北斗」のうち、2号は停車駅が少ないものでした。しかし、改定により登別、伊達紋別、洞爺にも追加停車し、ほかの「スーパー北斗」「北斗」と変わらなくなります。当然ながら最速も遅くなり、改定後は7号、11号の3時間半ちょうどです。室蘭線の苫小牧-室蘭間では、朝の普通列車の増発を行います。3本増えます。

 宗谷線の「スーパー宗谷」も所要時間が増えます。これまでの最速4時間58分(札幌-稚内間、以下同じ)、平均5時間4分から最速5時間5分(改定前より7分延)、平均5時間6分(改定前より2分延)となります。実は、「スーパーとかち」、「スーパー宗谷」の所要時間が増えるのは、「スーパーとかち」のスピードダウン以外の要因があるのです。キハ261系にはカーブでスピードを落とさずに走るため、車体下の空気ばねの空気量を調節して車体を傾ける車体傾斜装置というものがあります。2度傾斜させることにより、半径600メートルの場合、曲線通過速度が90キロから115キロに25キロもアップします。振り子システムに比べると効果は小さいですが、装置の構成が簡単というメリットがあります。この車体傾斜装置を使わなくなるのです。カーブを高速で走行することによる車両や軌道への負担軽減や、車体を傾斜させるために空気ばねに空気を供給する機器のトラブルを未然に防ぐのが狙いです。車体傾斜装置の取りやめにより、「スーパーとかち」は札幌-帯広間で6分、「スーパー宗谷」は札幌-名寄間で2分遅くなります(実際には、単線区間の行き違いなどの影響も受けるので、所要時間の延びは前後します)。キハ261系は2015年度以降、追加投入する予定ですが、新しく投入するのには車体傾斜装置がありません。このことについて不思議に思っていたのですが、謎が解けました。それほど速くない、単に新しい車両が増えるだけです。

 なお、2014年度中に引退する予定の711系電車は現在、小樽-旭川間で30本走っていますが、ダイヤ改定により16本を721系に置き換えます。

 今回のダイヤ改定で一連の見直しを終えますが、これらの減速、減便により利用者は減り(道東方面は本数が減ったこともあり、年末年始、ゴールデンウィークともに前年同期より2割程度減少しました)、JR北海道は年間16億円の減収を見込んでいます。JR北海道によれば減速を始めた2013年11月から2014年3月の間、10分以上の遅れが出たディーゼル特急の車両故障は前年同期に比べて、約4割減少しました。減速は当分続けるようで、利用者が逃げる状況は当分続きそうです。
(参考:JR北海道ホームページ http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140704-1.pdf、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXNZO73789670U4A700C1L41000/?n_cid=TPRN0011、毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20140705k0000m040082000c.html、北海道新聞ホームページ http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/549409.html、http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki3/549417.html)

| |

« 津軽鉄道、DMV導入を断念 | Main | JR東日本、松本-高山間に観光周遊バス運行 »

鉄道」カテゴリの記事

JR北海道」カテゴリの記事

Comments

はじめまして! いつも貴重な情報をありがとうございます。
関西在住ですがJR北に最も関心があり、頻繁に渡道しています。
減速減便ダイヤで体感速度としては北斗系統はかなり余裕のある設定となりました。
8月改正で2号は3駅追加停車でも既存停車駅全てで時刻変更がなされないようになっています。

今後も包括的な交通情報に期待しています。
たくさん勉強させてもらっています。

Posted by: taku | 2014.07.06 12:46 PM

 takuさん、おはようございます。

* 8月改正で2号は3駅追加停車でも

 時刻表で確認しましたが、所要時間が変わっていないのは意外です。イメージ的には遅くなっているように見えましたが。

Posted by: たべちゃん | 2014.07.07 05:13 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference JR北海道、261系の車体傾斜装置使用中止でまたスピードダウン:

» 【JR北海道】26年8月ダイヤ改正 [かにうさぎの部屋]
JR北海道では、本年8月30日にダイヤ改正を行う。内容としては、特急「スーパーとかち」、快速「エアポート」の最高速度を130km→120kmへの引下げ、261系で運転されている特急「スー... [Read More]

Tracked on 2014.07.05 06:38 PM

» 【JR北海道】8月30日にダイヤ改正を実施。「スーパーとかち」「スーパー宗谷」「快速エアポート」で速度引き下げを実施。711系電車の一部置き換えも [阪和線の沿線から]
JR北海道では、8月30日(土)にダイヤ改正を実施することを発表しました。 平成26年8月ダイヤ改正について(JR北海道|プレスリリース) 今回のダイヤ改正も、昨年11月のJR北海道 ...... [Read More]

Tracked on 2014.07.06 08:54 PM

« 津軽鉄道、DMV導入を断念 | Main | JR東日本、松本-高山間に観光周遊バス運行 »