宇都宮LRT、事業費は最大412億円に
宇都宮のLRT計画については当blogで何回か取り上げましたが、事業費が最大412億円(宇都宮市部分のみ、以下同じ。ちなみに芳賀町部分は40億円の見通しです)と、従来の想定(約260億円)を約1.6倍上回ることが判明しました。
それが判明したのは、8月26日に開かれた、宇都宮市と芳賀町による「第5回芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」において。宇都宮市が示したのです。
これまでの事業費約260億円は、2001年から2002年にかけて実施した調査を基に計算したもの。それがなぜ大幅に膨れ上がったのかといえば、施工単価の見直しや現在の技術水準への対応(走行する道路や橋の強度を東日本大震災を踏まえたものにします)を行ったほか(これで約27億円増えます)、沿線事業所の従業員アンケート結果に基づいて利用者の見込み数を増やしたためです。実は従業員アンケートの結果がよく、車両を増やさないといけないようになったのです。LRTを利用すると回答したのは23.3%(このうち、快速がなくても利用するのは13.5%)で、マイカー通勤者の19.1%がLRTに乗り換えると回答したのです。これまでの見込みではマイカー通勤者の3.6%がLRTに乗り換えるとしていましたから、うれしい方向で修正することになったのです。最低でも1日1万人以上の需要見込みがあるのです。これまでの試算では18メートル級の車両を使うとしていましたが、これが30メートル級(3両編成)となり、必要な編成数も10編成から18編成に増やしたのです。このため車両費は約37億円増加したのです。また、勾配や曲線を抑えるために2区間を高架化することになり約46億円増え、快速を走らせるために2か所追越線などを整備することにより約6億円増えるなど、全体で従来の試算より152億円増えることになりました。
アンケート結果がよかったため、収入の見込み額も増えます。従来の試算では7.44億円ですが、今回のアンケートでは快速がなくても利用するという「ケース1」の場合で7.84億円以上(この計算には通勤通学で宇都宮駅方面に向かう利用者からの収入は考えていないようです)、快速があれば利用するという「ケース2」の場合では12.55億円以上となります。対する運営費は「ケース1」で7.16~9.24億円、「ケース2」では8.2~10.49億円となり、快速運転を行うことにより収支がよくなることが明らかとなりました。ちなみに「ケース1」でピーク時6分間隔、「ケース2」では4分間隔を想定しています。
ルートも明らかになった部分があります。併用軌道区間では道路の真ん中をLRTが走るのが原則となります。宇都宮駅東口から国道4号線の交差部までは現在6車線の道路を4車線化します。国道4号線との交差部では、4車線ある跨道橋を2車線化して軌道を通します。国道4号線から新国道4号線までの区間は、現在4車線ありますが、東行きは2車線、西行きは1車線となります。新国道4号線との交差部は、盛り土部分をくぐるかたちとなります。鬼怒川を越えたところでは短い区間ながら4車線が2車線となります。また、鬼怒川左岸の一部と清原工業団地北端付近-野高谷交差点付近では軌道を高架化します。車両基地は新国道4号線付近につくります。25編成を収容することのできる規模でつくられます。
LRTができて車線が少なくなると、一見、渋滞が悪化すると思われます。しかし、予測は逆です。1台を1~4人で使うマイカーが減り、キャパの大きいLRTに置き換わるので、渋滞が緩和されます。宇都宮市は、平日朝に通勤の車で混雑する柳田大橋の1時間当たりの交通量は7時台に7.6%、8時台に9.9%減るとみています。
(追記1)
宇都宮駅西側(3キロ)の建設費は123億円と見込んでいますが、こちらはまだ見直しがされていないので、事業費が増える可能性は高いです。
(追記2)
宇都宮のLRTは、全線複線でつくられます。事業費は約452億円(快速を運行する場合は約458億円)、1日の利用者数は15200~23200人と想定しています。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/local/tochigi/news/20140821-OYTNT50444.html、http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20140725-OYT8T50026.html、下野新聞ホームページ http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/politics/news/20140725/1666444、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/articles/ASG8P45GRG8PUUHB002.html、http://www.asahi.com/articles/ASG8V66NBG8VUUHB01S.html、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2014/08/29/231080.html、http://response.jp/article/2015/06/15/253460.html)
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