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北陸新幹線、北海道新幹線開業時期前倒しへ

 2015年に北陸新幹線、2016年に北海道新幹線が開業したら、当分の間新規開業する新幹線はありません。今後の開業予定は、2022年度に長崎新幹線(武雄温泉-長崎間)、2025年度に北陸新幹線(金沢-敦賀間)、2035年度に北海道新幹線(新函館北斗-札幌間)となっています。長崎、北陸はともかく、北海道は気の遠くなるような数字です。

 そこで与党は、北陸新幹線と北海道新幹線の開業を早めることを求めています。北陸新幹線は3年、北海道新幹線は5年の前倒しを求めています(長崎新幹線に関しても可能な限り開業時期の前倒しを求めています。技術的な問題はともかくとして)。新幹線に限った話ではないのですが、開業しないと効果は生み出されないのです。24日に政府と与党の協議が行われ、開業時期を前倒しすることは決まりました。与党だけでなく、政府も国交省が2015年度予算案の概算要求で開業時期の前倒しを求めているのです。

 ただ、開業の前倒しをするにはどこかから新たな財源を調達しないといけません。4つの案が検討されています。このうち確実に実現できるのは、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が金融機関から約2000億円借りるという案です。新幹線開業後、JR各社が支払う線路や駅の使用料を担保に借りるのです。このことにより、北陸新幹線が1年程度、北海道新幹線が2年程度、開業が早くなります

 ただ、与党はこれだけでは満足していません。北陸新幹線で3年、北海道新幹線は5年早めるように求めていてます。これを実現されるためには、ほかにも財源を探さないといけません。そこで出ている二つ目の案が、JR九州の上場益を充てる案です。1000億円以上を見込むことができるという話もありますが、法律上、売却益は旧国鉄職員の年金に充てることとされています。この法律自体を変えないといけません。

 三つ目は線路の貸付料の支払い期間を30年より延ばす案です。整備新幹線は開業後、30年間は貸付料を支払うこととなっていますが、その後は決まっておらず、政府とJR各社が話し合います。JR各社は反発していますが、30年経ったら整備新幹線の受益がなくなることはありませんし、(JR各社が買い取らない限りは)貸付料は払わないといけないのです。しかも、新幹線の延伸によって利用者がさらに増えるというケースがあります。北海道新幹線の開業によって利用者が増える東北新幹線を有するJR東日本が典型例です。むしろ、その後の新幹線の延伸を反映した、貸付料の増額への見直しが求められます。

 四つ目は整備新幹線の予算そのものを増やすことです。マスコミが騒ぎそうですが、今のところ整備新幹線は一定の成果を収め、今後開業する区間も在来線時代の実績からそれなりのものが期待できます。新幹線のような高速鉄道網こそ、鉄道のもっとも得意とするものであり、開業後はマスコミの方々も使います。整備新幹線よりはるかに大きい道路予算の無駄を探したほうが効果は高いです。

 政府・与党は予算案が決まる12月までに、北陸新幹線、北海道新幹線の前倒しの幅や財源を決めます。先ほども述べたように、新幹線は早く完成しないと効果は得られません。なるべく早く完成することが望まれます。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140924-OYT1T50003.html、NHKホームページ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140924/k10014841151000.html、朝日新聞ホームページ(会員登録要) http://digital.asahi.com/articles/DA3S11367865.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11367865)

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