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JR北海道、新型特急車両285系、DMVの開発を中止

 広くて人口の希薄な北海道では、特急の高速化は必須です。そこでJR北海道は、従来の振子車よりも速度を向上させた、新型車両の開発を行っていました。

 その新型車両は、以前にも取り上げたことがあるのですが、複合車体傾斜システムとMA(モータ・アシスト)ハイブリッド駆動システムにより、スピードアップと省エネルギー化を両立するという画期的な車両です。複合車体傾斜システムとは傾斜角6度の振子装置に、傾斜角2度の空気バネ車体傾斜を付加して、傾斜角を8度としたものです。MAハイブリッド駆動システムは、既存気動車の動力システムに、バッテリー、インバータ、モータによる動力を組み合わせたものです。次世代の特急気動車にふさわしいスペックです。2006年から複合車体傾斜システムを開発し、2007年からはMAハイブリッド駆動システムの開発に着手しました。2011年4月からは試作車の設計、製作を始めています。トラブルが相次いだ後も開発を続ける姿勢を見せていました。これまでに25億円をかけました。

 しかし、一連の安全対策とあと1年半に迫った新幹線の開業準備に限られた人、時間、資金等を優先的に投入する必要があります。新型特急車両は新しい技術を多く採用し、高性能なものでありますが、JR北海道は、(1)速度向上よりも安全対策を優先すること (2)コストとメンテナンスの両面から過大な仕様であること (3)従来形式での車両形式の統一によって、予備車共通化による全体両数の抑制(30両ほど減らすことができるようです)と機器共通化によるメンテナンス性の向上が図られること から、開発を中止することにしました(島田社長によれば、新型特急車両の開発中止は、減速減便を実施した時点から考えられるシナリオだったようです)。

 新型特急車両の開発中止に伴い、老朽化した特急気動車の当面の更新には、既存の最新型で実績のある261系気動車の製作を継続することとします。ただ、この261系もこれからつくられるのは、車体傾斜装置のないバージョンであり、今までの261系に比べて性能が劣るものであります。183系程度の性能を満たすもので、単に新しい車両です。JR北海道の特急気動車はあと10年で261系に統一されるようで、振子車の281系、283系も引退するようです。かなりのスピードダウンです。北海道新幹線も当面は新函館北斗止まりであり、札幌まで伸びるのは20年以上後です。しかも、道東や道北はそれ以後も在来線に頼ります。札幌近辺以外は普通列車は期待できるレベルになく、特急の速度向上は必須です。遅い261系に頼るのは、短期的にはともかく、中長期的には苦しい話です。

 とは言っても、新型特急車両の試作車は9月末に出来上がります。すでに285系という名前もあります。これについては、軌道及び電気設備を検査する在来線用総合検測車として使用することも考えているようです。

 話は変わりますが、開発を中止するのはもうひとつ、DMVもあります。こちらは正直言ってメリットがなく、開発中止は妥当でしょう。鉄道をはがして、バスにしたほうがよいところです。JR北海道にはそういう、鉄道で存続させるに値しない路線がごろごろしています。

(追記)
 DMVが北海道でうまくいかなかったのには、雪に弱いという欠点があるからです。軽量であることから雪を踏み分けながらの走行ができず、わずかな積雪にも乗り上げてしまうようです。
(参考:JR北海道ホームページ http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2014/140910-1.pdf、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ10053_Q4A910C1TJ1000/、朝日新聞ホームページ(会員登録要) http://digital.asahi.com/articles/ASG9B6KGVG9BIIPE02N.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG9B6KGVG9BIIPE02N、http://www.asahi.com/articles/ASG9B5SW1G9BIIPE01H.html、「鉄道ジャーナル」2017年10月号 鉄道ジャーナル社)

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Comments

 交通機関にとってスピードは命ですが、、、
 目先の自体に振り回され(自業自得ではありますが)車体傾斜しない261系で統一するとは、高速道路との競争を放棄して安楽死の道を歩むのでしょうか。
 在来線を、旭川(岩見沢かも)~小樽、札幌~新千歳空港のみにする覚悟なんでしょうかねぇ??

Posted by: ▲ 飛遊人 | 2014.09.11 07:55 PM

 ▲ 飛遊人さん、おはようございます。

* 目先の自体に振り回され(自業自得ではありますが)車体傾斜しない261系で統一するとは、

 短期的にはともかく、中長期的には自分の首を絞める選択となることでしょう。

 スピードはJR発足時程度の水準になり、しかも高速道路はそのころと違い、整備されています。特急利用者はバス、マイカー、航空機にとられて落ち込み、緩慢たる死を招くことでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2014.09.12 06:10 AM

JR北海道としては、経営方針が変わらない限り、高速化は、諦めたと思います。
新幹線に優先する為といっても、新青森ー新函館北斗の100数十キロ程度でメリットがあまりないのに、道内よりも重点におくとは理解に苦しみます。函館方面は、新幹線の札幌開通まで今の状態にする意思の現れです。

そもそも、マスコミ各社が無理なスピードアップといって高速化は、悪と植え付けた。更には、気道車なら、100キロ程度で十分としておけばいいと言うものも現れた。

高速道路も数年後には、釧路方面は、釧路市の直ぐそばまで到達する、。マイカーと高速バスに負け、負のスパイラルになるだろう。安全対策まで資金不足などで手をつけられなくなるだろう。

Posted by: たかちゃん | 2014.09.12 08:03 AM

こんにちは。いつも楽しみに記事を拝読しています。

DMVは,廃止したくても出来ない路線を言い訳的に維持するための車と言えそうです。
今回の連続不祥事関連で,超閑散路線の維持がJR北海道の負担になっているから路線廃止やむなしという空気が醸成されたということで,DMVは出番を失ったということでしょう。
まもなくそれらの路線(どの線からか,具体例は分かりませんが)の廃止が俎上に出ると思われます。

同様に新型高性能特急車も,長距離幹線系線区を維持するためには必須ですが,その開発を中止するということは,幹線からの撤退をも視野に入れての判断だろうと想像できます。
新型車の性能を発揮するには地上設備の改善も必要ですが,そこまでの投資を回収できる見込が立たないので,それらの区間は諦めて事実上マイカーやバスに明け渡すことを考えているのでしょう。

最終的には,飛遊人様のおっしゃるように,おおよそ現電化区間以外の在来線旅客営業から手を引く算段なのではないでしょうか。

Posted by: (yo) | 2014.09.12 12:45 PM

そもそも、マスコミ各社が気動車での無理なスピードアップと大きく報道し、スピードアップは悪というイメージを植え付けことからはじまる。

おそらく、前のような130キロの高速運転は行われない可能性が高い。更に、速度を落とせば安全だと間違った方向に行っている気もする。

そういう結果、車体傾斜も振子もないキハ261で統一する決断になったのではないか。

おそらく、これを続けると、高速道路の延伸なので長期的には経営が更に悪くなり、安楽死するだけだ。釧路方面なら、数年後に阿寒ICまで伸びる予定となっている。

会長、社長を政府が絡んでいるので、道内の在来線よりも新幹線だけを優先したのではと疑ってしまいます。


Posted by: たかちゃん | 2014.09.14 08:27 AM

 たかちゃんさん、おはようございます。

* 新幹線に優先する為といっても、新青森ー新函館北斗の

 (実際にはしないですが)方法論としては、新幹線の運行をJR東日本に委託するという手段もあったのですが。新函館北斗まで開業している段階では、そういう方法もありでしょう。

* 高速道路も数年後には、釧路方面は、

 早速2015年春に白糠まで開通します。
(参考:北海道新聞ホームページ http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/562693.html

Posted by: たべちゃん | 2014.09.16 06:39 AM

  (yo) さん、おはようございます。

* 今回の連続不祥事関連で,超閑散路線の維持が

 そもそもDMVが走るような路線は、鉄道で存続させることが不適当な路線です。札幌近郊でない限り、普通列車しか走らないような路線は、廃止となっても文句は言えないでしょう。

 おまけに言えば、札幌及びその他の主要都市近郊以外は、石勝線みたいに特急のみの運転にするというのもありでしょう。

* 同様に新型高性能特急車も,長距離幹線系線区を

 当然ながら客は減ります。座して死を待つようなものです。

Posted by: たべちゃん | 2014.09.16 06:47 AM

 たかちゃんさん、おはようございます。

* そもそも、マスコミ各社が

 鉄道を経営するわけではないので、マスコミ様は気楽なものです。スーツを着る人が乗っていない鉄道に未来はありません。

 130キロなら危険としても、仮に100キロなら安全化といえば、そんな保証はどこにもありません。乗り物である限り、危険性はゼロにはなりません。もっとも、危険性の観点からいえば、一番危ないのは車ですが。安全性云々を言うのなら、車を使わないのが一番です。

Posted by: たべちゃん | 2014.09.16 06:52 AM

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