JR西日本、D51を復活へ
JR西日本は、国鉄時代の1979年から山口線でSLを運行してきました。また、京都には国鉄が全国からえりすぐりのSLを集めた梅小路蒸気機関車館があり、JR西日本がこれを承継してきました。動態保存しているSLは8機あります。
ただSLはかなり古くにつくられた車両であり、老朽化しています。ほかにもいろいろな課題があるにもかかわらず、JR西日本は産業革命の原動力となり近代日本の産業遺産のひとつであるSLを後世に継承することは社会的使命だと考えています。もともとSLの解体検査(全般・中間検査)は旧鷹取工場で行ってきましたが、阪神大震災以降に鷹取工場は網干総合車両所に移転し、SL検修業務が梅小路にやってきました。しかし、梅小路は仕業・交番検査という軽微な検査をやってきたところで新たに解体検査を行うには設備の増強が必要であり、しかも扇形車庫(100年前に建設され、現存する最古の鉄筋コンクリート造り)は重要文化財に指定されているため設備更新や大規模修繕はできません。
そこでJR西日本は今後少なくとも数十年程度は安定的にSLの動態保存が継続できる体制を整備することにしました。以前にも書きましたが、SLの解体に特化した専用検修庫を京都鉄道博物館に隣接する梅小路機関区内に設置します。使用開始は2015年秋以降です。ボイラー検修場を設置し(これまではその都度メーカーまで搬送していました)、天井クレーンなどの大型装置を一新することにより車両整備の作業性が向上するとともに、京都鉄道博物館と一体化し、京都鉄道博物館に来館した人がSL検修の作業風景を見学することもできます。
ただ、設備だけ出来てもSLの動態保存ができるわけではありません。SL独特の技術を備える社員の中長期的な人材確保が必要なのです。SLのメンテナンスをするのは約30人いますが50代が中心で、若い20代、30代の社員は5人しかいません。今後10年で20人ぐらいを育てたいと考えています。
ここからが本題です。SL「やまぐち号」「北びわこ号」で使用してきたC57-1は、車両の老朽化のため2005年度から2014年6月にかけて(向こう数十年の使用に耐えうるような)大規模修繕を行ってきました。そこで、現在主に梅小路蒸気機関車館だけで構内運転しているD51-200(1938年製)の大規模修繕と本線運転用の改造を行い(すでに修繕作業は始まっています)、本線での運転を復活させます。2017年度以降、少し牽引力の小さいC56-160を置き換えて、C57とともにSL「やまぐち号」「北びわこ号」の牽引機関車として使用します。
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/press/article/2014/10/page_6307.html、http://www.westjr.co.jp/press/article/2014/10/page_6309.html、産経WEST http://www.sankei.com/west/news/141017/wst1410170070-n1.html)
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