スカイマーク、2015年2月からJALとの共同運航か?
円安による燃料費の増加とLCCの登場により、危機的な状況に陥っているスカイマーク。2015年3月期の最終損益が136億円の赤字と過去最大になる見通しで、しかも以前に書いたとおり、航空機の購入契約の見直しによりエアバス社から多額の違約金(最大700億円)などの支払いを求められています。
この危機的な状況にあるスカイマークが、JALと提携交渉を行っています(エアアジアとの話は経営権などが問題となり、11月半ばまでに打ち切りました。ほかの航空会社とも話がありましたが、うまくいきませんでした)。羽田と神戸・福岡・鹿児島・那覇・新千歳を結ぶ路線について、2015年2月からJALとの共同運航を検討しているようです。羽田発着の全便36往復が対象となり、スカイマークの便にJALの便名を付けます。スカイマークは営業力の強化(搭乗率が上がります)、JALは高い収益が期待できる羽田発着の強化が狙いです。しかも、JALは資本参加を求めていません。独立した立場を維持できることは魅力的です。スカイマークはこの提携により、座席の約2割をJALに提供し、年間80億円の増収効果が見込めるようです。
しかし、共同運航はスカイマークとJALが合意すればいいのではありません。利用者が多い羽田発着路線などについては、国交省の認可が必要です。しかも、JALは公的資金の注入と会社更生法の適用で再生したばかりであり、2017年3月期までは新規投資や買収などは制限されています。そこと連携するのは公正な競争をゆがめるという問題があるため、簡単にはいかないとも言われています。ANAの反発は必至です。そのため、国交省はJALだけでなくANAとも共同運航することを求めているという話もあります。
(追記1)
スカイマークは、ANAとも提携に向けて交渉に入るようです。国交省や自民党の意向が反映しているようです。自民党がJALを毛嫌いしているのは、民主党政権時代に公的資金でJALを再建したためです。
(追記2)
結局、スカイマークはJAL、ANAの両方と共同運航をすることになりました。羽田を発着する、神戸・福岡・鹿児島・那覇・新千歳の5路線を中心に、2015年3~4月から始めます。5年間限定です。スカイマークの便の座席のうち約20%がJALやANAの分となります。スカイマークは年間約80億円の売り上げ増を見込んでいます。
(追記3)
これまでJALやANAの傘下に入らなかったスカイマークですが、ANAの出資を受け入れることを考えているようです。ただ、20%以上の出資を受け入れると、羽田空港の発着枠を減らされるため、出資比率は20%弱となるようです。
(追記4)
ANAとの交渉がうまくいかず、結局ANAの出資は受け入れないことになりました。
(参考:NHKホームページ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141121/k10013392961000.html、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21HWZ_R21C14A1EA2000/、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141121-OYT1T50132.html、産経ニュース http://www.sankei.com/economy/news/141121/ecn1411210033-n1.html、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/articles/ASGD97VJNGD9ULFA02Z.html、http://www.asahi.com/articles/ASGDH7QSDGDHULFA04X.html、朝日新聞2015年1月10日朝刊 中部14版、朝日新聞2015年1月15日朝刊 中部14版)
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