名古屋市、「敬老パス」負担増先送り
名古屋市には、65歳以上の市民が市営地下鉄や市バスにごくわずかの負担で乗ることができる、「敬老パス」というものがあります。高齢者にとってはありがたい政策ですが、問題なのは高齢者の増加によって名古屋市の負担が増えること。2013年度の事業費は131億円、このうち利用者の負担はたったの11億円で、あとは税金で賄っています。今後も名古屋市の負担が増えることは容易に予測されます。
そのため、「敬老パス」の抜本改革が必要とされていますが、数が多い高齢者の既得権益のため、なかなか改革が進みません。有識者らの審議会は2013年に、負担金の引き上げを名古屋市に答申し、それに沿って名古屋市の担当部局で検討していましたが、今回も抜本的な見直しが先送りされることとなりました。河村市長が利用者が「敬老パス」交付を受ける際に支払う負担金の増額を認めなかったのです。今回は、昼間にバスを使う場合が多い利用実態に合わせて(「敬老パス」利用者の75%は10~16時に利用しています)、名古屋市が交通局に支払う金額の計算方法を改めましたが(昼間割引を適用させます。これで6~7億円支払金額が減ります)、単に交通局が減収となるだけです。高齢者に適正な負担をさせることのみが唯一の解決策です。
今後、事業費が過去最大だった2003年度の138億円に消費税率引き上げ分を考慮した142億円を超える恐れがある場合は(2019年度ごろに超えるとみられています)、「敬老パス」制度を見直すとしていますが、市長や市議会が次の世代でなく次の選挙を気にしている限り(一部の議員はある程度の負担は課すべきとしていますが)、抜本的な改革はできないでしょう。「敬老パス」に限らず、負担させられるのは現役世代、子供、そして将来生まれてくる人々です。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLASFD19H2K_Z11C14A1CN8000/、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20141120/CK2014112002000045.html、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20141119-OYTNT50128.html)
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