整備新幹線開業前倒し、北陸新幹線金沢-福井間2020年開業か?
北海道新幹線新函館北斗-札幌間、北陸新幹線金沢-敦賀間の開業を前倒しするという話は何度か出ていますが、8日の政府・与党ワーキンググループで開業前倒しが決まりました。北海道新幹線新函館北斗-札幌間は5年前倒しして2030年度に、北陸新幹線金沢-敦賀間は3年前倒して2022年度にします。長崎新幹線についてもできるだけ早くする方針です。なお、敦賀駅の新幹線と在来線は約200メートル離れていますが、JR西日本は新幹線駅に在来線を引き込む工事を行うようで、200メートルも歩くということはないようです。
そして、北陸新幹線金沢-福井間にはさらなる前倒しを求める声があります。2020年に行われる東京オリンピックに間に合わせるためなのですが(東京オリンピック見物の外国人を福井まで引っ張る?)、太田国交相はさらなる前倒しについては否定的です。用地取得が順調に進んだとしても、そもそも5年少々しかなく、新九頭竜橋のように技術的に難しいものがあるからです。冬季の走行試験にはさらに2年かかり、橋梁工事の5年と合わせて最低7年は必要なようです。また、福井までを先行開業するならば、福井駅周辺に簡単なものでも車両基地を用意することも考えなければなりません。
さて、整備新幹線建設につきものの財源ですが、北海道新幹線の5年前倒し、北陸新幹線の3年前倒しに必要となるのは約5400億円。めどはたっています。約2000億円は、線路や駅を建設する「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」による銀行からの借り入れで賄います。将来入る貸付料を担保に借り入れます。貸付料の一部から並行在来線を走るJR貨物に払う貨物調整金を見直し、建設費に充てることのできる額を増やします。約2000億円捻出できます。また、「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の想定金利を見直し、現在の2%から下げます。300億円弱を捻出できます。開業前倒しで増収が見込める貸付料の増加額約120億円も財源です。残る900億円については、建設期間の16年で割り、国費を毎年35億円増額し、地方自治体の負担金も増やします。今までの整備新幹線の効果を考えると(在来線では遅くて車などほかの交通機関に対抗できない)、国費等を増やすのは王道でしょう。このように北海道新幹線の5年前倒し、北陸新幹線の3年前倒しに必要な財源は確保できていますが、今のところ、金沢-福井間の前倒しに必要な財源の確保はできていません。
(追記1)
北陸新幹線金沢-福井間については、今年の夏までにさらなる前倒しが可能か検討することとなりました。
(追記2)
整備新幹線前倒しのため、国と地方は合わせて約840億円を追加投入します。2015年度から16年間に分けて投入します。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/shimen/news/20150108ddm001020162000c.html、時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/zc?k=201501/2015010800851&g=eco、http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015032000418、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2015010902000059.html、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H6E_Y5A100C1PP8000/、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2015/01/10/241267.html、http://response.jp/article/2015/01/14/241644.html、朝日新聞1月15日朝刊 中部14版、北國新聞ホームページ http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20150115102.htm)
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Comments
>福井までを先行開業するならば、福井駅周辺に車両基地を用意することも考えなければなりません。
この点は敦賀も同様でしょう。
3年前倒しにより、FGT完成前に敦賀開業すれば、フル規格車両の増備とともに、車庫も必要です。
3年後にFGT車両ができて「サンダーバード」が直通運転することになれば、敦賀は単なる経由点に過ぎなくなるのに、大規模な車庫を作るのかという疑問がある。
このため、福井or敦賀開業前倒し時点では、特例としてFGT完成までは在来線特急を全廃せず、半分程度は金沢までの直通を維持すべきでしょう。
もっとも、そんなことをするのなら、何も急いで前倒しなどせず、FGT完成時に敦賀開業でよいというのが率直なところです。
少なくとも、名古屋や大阪の利用者にとっては、迷惑なだけでしょう。
Posted by: かにうさぎ | 2015.01.18 10:38 PM
かにうさぎさん、こんばんは。
* この点は敦賀も同様でしょう。
敦賀は一定の期間、フル規格新幹線の終点となりますので、フリーゲージトレインの成否にかかわらず、ある程度の車庫設備は必要となります(東京方面からの折り返し設備も要ります)。そこは待避設備すらない福井と違うところです。
そもそも、以前( https://tabechan.cocolog-nifty.com/note/2014/11/post-ca39.html)に書きましたが、フリーゲージトレインは富山と大阪を結ぶものであり、名古屋方面には行かないようです。そのことが望ましいかはともかく、名古屋方面は(北陸新幹線が米原経由で全線開業しない限り)敦賀で乗り換えしなければなりません。フリーゲージトレインの成否にかかわらずです。
つまり、敦賀開業と同時に「つるぎ」あたりが敦賀まで延長され富山-敦賀間の列車となるとともに、「サンダーバード」、「しらさぎ」の接続列車になればいいのです。新幹線の輸送量から考えると、在来線2列車の接続を受けることも難しくはないでしょう。
* このため、福井or敦賀開業前倒し時点では、特例として
金沢暫定開業段階でも、乗り換えをさせているのですから(しかも、接続はよくないこともあります)、期待はしていません。
* もっとも、そんなことをするのなら、何も急いで前倒しなどせず、
フリーゲージトレインの成否はわからないですし、できればさらに利便性は向上するので、できる限り前倒しするのは良策でしょう。新幹線区間が短い富山とは異なり、こちらはそれなりの速達効果は発揮します。
Posted by: たべちゃん | 2015.01.19 09:59 AM
福井延長の場合、福井は暫定的な終点なので車庫を設けることはせず、「敦賀側に本線を利用した留置線ができて必要に応じて金沢から回送列車を出して対応する」ということになると思います。
そんな関係で新幹線の本数が確保できないことも考えられますが、その代わりにサンダーバードの金沢発着が(在来線の車庫等の関係も含めて)暫定的に残るのではないかと思います。
Posted by: うえしょう | 2015.01.20 01:05 AM
うえしょうさん、おはようございます。
* 福井延長の場合、福井は暫定的な終点なので車庫を
国鉄時代なら、新幹線と特急を並行して走らせることもできたでしょうが、今の整備新幹線では新幹線が開業すると並行在来線は分離されてしまいます。そのため、富山への「サンダーバード」等も金沢で打ち切られてしまいました。
同時に並行して走らせることができたらいいのですが、期待はできないでしょう。
Posted by: たべちゃん | 2015.01.20 05:44 AM