« 貴重な存在となった、北の夜行列車に乗る(2) | Main | 貴重な存在となった、北の夜行列車に乗る(4) »

貴重な存在となった、北の夜行列車に乗る(3)

 久慈からは4月に全線復旧した、三陸鉄道に乗る。JRの駅舎を出て、三陸鉄道の駅舎に行く。三陸鉄道久慈駅の駅弁と言えば、NHKの朝のドラマ、「あまちゃん」で有名になった「うに弁当」だが、売り切れ。野辺地で駅弁を買っておいて正解といったところか。その三陸鉄道だが、窓口が混み合っている。「こたつ列車」の出る時間(久慈12:15発)だからだ。「こたつ列車」は、ボックスごとにこたつが置かれている列車。お座敷列車を使っている。運賃のほかに310円の指定席料金がかかる。2両編成で前が「こたつ列車」、後ろが通常の特別料金がいらない車両。「こたつ列車」のことは知らなかったので、後ろの車両に乗る(もちろん、三陸鉄道は「青春18きっぷ」が使えないので、自動券売機で切符を買う)。ただ、通常の車両とは言え、全線復旧に伴い投入された新車。ボックスシートにテーブルが備え付けられており、弁当を食べるときなどは便利だ。

 三陸鉄道の列車は景色のいいところで減速する。「あまちゃん」で袖が浜駅として登場した堀内では2分停車し、撮影できる。ちゃんと袖が浜駅の駅名標も残っている。ところで三陸鉄道は全線復旧まで3年を要したことからもわかる通り、東日本大震災で大きな被害を受けた。ところどころあらゆるものが流され、何もかもなくなってしまったところがある。忘れてはならないことだろう。もっとも、気にかかることがある。三陸鉄道は観光客で賑わっているが、鉄道に沿って高速道路ができつつある。当然ながら国道があるのだから、採算がとれない高速道路をつくるのは無駄としか言いようがない。人口が減少していく日本なのだから、やみくもに公共投資をすればいいものではない。

 時間の都合で、宮古で三陸を南下するのはやめ、内陸に行くことにする。宮古から盛岡に行く鉄道は山田線だが、この山田線、並行して走る国道を通るバス、「106急行」に完全に負け、区間運転を除くと1日4往復しかない。あまりにも利用者が少ないため、冬季に営業を取り止める駅がある。ただ年末年始は、ちょうどいい時間に臨時列車が運転されている。宮古14:07発の快速「ふるさと宮古」だ。三陸鉄道の宮古着は13:54だから、本当にちょうどいい接続だ。1日1往復運行される「ふるさと宮古」は、キハ58とキハ28から成る、3両編成。キハ58はとっくに引退したと思っていただけに、意外な再会だ。ただ、車両は内外ともに大きく変えられ、両端は展望車となっている。中間車の一部を除いてハイデッカー構造で、使われてはいないが、カラオケ設備もある。車体は青く塗られ、「わんこきょうだい」が描かれている。「ふるさと宮古」は区界まで坂を上り続ける。雪に白く染まった谷あいを、旧型のキハ58が苦しそうに上っていく。人家はなく、あるのは線路と国道と川だけだ。区界を過ぎて下り坂になっても人家は見当たらない。期間限定で増発実験を行っている上米内を過ぎても、あまり人家はない。山岸のあたりで急に増えるのだから、上米内発着にしているのは設備の都合なのだろう。

 今夜の宿は石巻。東北線で小牛田まで行き、そこから石巻線に乗り換えるが、このまま普通列車を乗り継いでも、小牛田の接続はよくない。それならということで、どこかで途中下車して晩にする。盛岡16:30発の北上行きに乗る。701系の4両編成。前のほうは混んでいたが、後ろはそれほどでもなく、座ることができた。花巻で下車、暗くなった雪道を歩いて行ったのは、「やぶ屋」。宮沢賢治が農学校の教師であったとき、よく行った店である。「やぶ屋」ではわんこそばもやっているが、今回食べたのは天ぷらそばとサイダー。宮沢賢治が食べたメニューだ。今注文すると天ぷらそばが税抜き650円、サイダーが税抜き200円だが、当時は天ぷらそばが15銭、サイダーが23銭とサイダーのほうが高かったのだ。ハイカラな部類だったのだろう。来た道を歩いて駅に戻る。

 花巻18:58発の一ノ関行きに乗る。701系の4両編成であることには変わりがない。最初は立つ人がいたが、北上、水沢あたりで降り、一ノ関に着くころには空いていた。一ノ関では仙台行きに乗り換え、これも701系の4両編成だが、帯の色が仙台支社色になっている。一ノ関までの列車から乗り継ぐ人は少なく、一ノ関で乗り換えさせるのは妥当といったところ。小牛田で降り、21:06発の浦宿行きに乗るのであるが、向かいの4番線から出るはずの浦宿行きがホームにいない。3番線と4番線の待合室で列車が来るのを待つ。仙台からの列車もやってきて、待合室の椅子が埋まる。発車の5分ほど前になって、浦宿行きがホームに入線する。キハ48の4両編成で(ただし八戸線のとは違い、石巻線のキハ48にはデッキはない)、前2両が「石巻線マンガッタンライナー」。2両目のボックスシートに座る。

 駅を出てまっすぐ歩き、突き当たりに看板があるのでそれに従って行ったら、今夜(29日)の宿のマイルーム石巻。駅から5分少々で着く。マイルーム石巻はワンルームのアパートを改装したようなところ。受付で鍵をもらい、アパートに入る。バスとトイレは部屋の中にあり、食事は事前に注文すれば別のところで食べることができる。(続く)

| |

« 貴重な存在となった、北の夜行列車に乗る(2) | Main | 貴重な存在となった、北の夜行列車に乗る(4) »

旅行・地域」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

JR東日本」カテゴリの記事

北海道・東北私鉄」カテゴリの記事

東北」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 貴重な存在となった、北の夜行列車に乗る(3):

« 貴重な存在となった、北の夜行列車に乗る(2) | Main | 貴重な存在となった、北の夜行列車に乗る(4) »