阪神新型ジェットカーは扉開閉ボタン付き
開業当時の経緯から、駅と駅との間隔が狭い阪神。後から迫ってくる特急等から逃げ切り、素早く待避線に入ることができるように、普通用の車両は特別なものを使っています。加速や減速性能に優れたものに使っています。「ジェットカー」の名前はここからきています。車両の塗装も暖色をベースにした急行用とは違い、寒色(青)をベースにしています。
その阪神の普通用車両に、新しいものが加わります。2015年8月から導入されるこの車両は5700系といい、2015年度は4両1編成が製造されます。20年ぶりの普通用新車です。5700系はその後増備予定で、1977年から使われてきた5001系全13編成を順次置き換えていきます。1編成あたりの定員は座席173人、立席341人の合計514人です。
5700系の外観は、普通用車両の伝統を引き継いで、ステンレス車体にブルーを配色しています。ドア付近には、各駅に停車する普通車のやさしさを表現した円形グラフィックをデザインしています。内部は豊かな摂津灘の海をイメージして、床や座席にきらめく水模様をアレンジしています。吊手やドア付近の取手も、海を連想させるブルーを配色しています。
5700系の特徴としては、(1)環境への配慮、省エネルギー (2)安全、快適な車内空間の提供 (3)バリアフリーの充実 が挙げられます。7人掛けのロングシートの中間部や端部には衝突時の安全対策としての仕切りを置き、ドア付近の立ちスペースを拡大し、乗り降りしやすくなります。乗車時間が短いので、乗り降りしやすいのは重要でしょう。意外なのは、空調運転時の客室内の保冷、保温のため、乗客自らが操作する扉開閉ボタンを設置していること。温暖な大都市圏を走る阪神電車には一見すると不要な設備とも思えますが、頻繁に停車を繰り返し、しかも待避待ちも多い阪神ジェットカーならその必要性は分かります。
(追記1)
5700系の愛称が、「ジェット・シルバー5700」と決まりました。運行開始は8月下旬の予定です。
(追記2)
阪神5700系は、8月24日に営業運転を始めました。当面は、主に梅田-高速神戸間を1日4往復します。
(追記3)
5700系の運行開始当初は固定されたスケジュールで運行していましたが、2015年12月1日からは、日ごとに異なるスケジュールにより運行されることとなりました。
(追記4)
5700系は短い時間の乗車が見込まれるので、一部の座席は工夫して短時間の乗車に適したものになっています。「ちょい乗りシート」です。
(参考:阪神ホームページ http://www.hanshin.co.jp/company/press/pdf/20150330-5700kei.pdf、http://rail.hanshin.co.jp/car_5700/、神戸新聞NEXT https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201503/0007869316.shtml、マイナビニュース http://news.mynavi.jp/news/2015/07/26/173/、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/articles/ASH8S5SHWH8SPTIL01Y.html、「鉄道ジャーナル」2018年1月号 鉄道ジャーナル社)
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