兵庫県知事、「米原ルート」に否定的な発言
北陸新幹線金沢-敦賀間は建設中ですが、敦賀以西のルートは決まっていません。「若狭ルート」、「米原ルート」、「湖西ルート」の3案がありますが、それぞれに一長一短があります。
北陸新幹線の最終目的地、大阪がある関西の府県からなる関西経済連合は、この3案のうち「米原ルート」を推していました。建設費が安いことから、費用対効果に優れているとしてです。しかし、この関西経済連合の長を務める井戸兵庫県知事自らが、これに対して否定的な発言をしたのです。
井戸知事の発言は間違っていません。「米原ルート」には決定的な欠点があるのです。同じ新幹線でありながら、新大阪まで直通せず、米原で乗り換えを迫られるという危険性があるからです。北陸新幹線の運行主体となるJR西日本も「米原ルート」には否定的な見解を出しています。現状では、当面は敦賀接続のフリーゲージトレイン、最終的には3案のうち唯一JR東海様に頭を下げずに新大阪まで直通することのできる「若狭ルート」しか方法はありません。
さて、北陸新幹線には、金沢-福井間を2020年度に先行開業させるという話があります。ただ、2020年度までは5年しかないので、与えられた時間は非常に短いです。九頭竜川、手取川の架橋工事のほかに、えちぜん鉄道の高架化事業も絡みます。えちぜん鉄道は高架化のため、すでに完成した北陸新幹線の高架を借用します。9月27日から北陸新幹線の高架走行を始め(約800メートルの区間にわたり新幹線上を走行し、福井駅のほか新福井駅も新幹線上に移されます)、2018年10月まで続きます(このときにえちぜん鉄道の高架が完成し、新しくつくられた高架線路をえちぜん鉄道の電車は走ることになります)。しかも、国交相は走行試験をするための期間として二冬が必要だとしています。2020年度に開業させるためには、2018年度に完成させないといけません。半年もない期間で福井駅付近を完成させる必要があるのです。そもそも2023年に敦賀まで伸ばすのもギリギリの日程のようで、福井までを2020年度に開業させるのは非常に厳しいようです。
(追記)
4月24日に大阪市内で行われた広域連合委員会で、井戸兵庫県知事が「米原ルート」を否定する発言についての釈明を行いました。とは言っても、「米原ルート」に大阪まで直通しない危険性があるという根本的な欠点がある以上、今後も蒸し返される話といえます。
(参考:中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20150408/CK2015040802000018.html、http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20150406/CK2015040602000023.html、http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20150424/CK2015042402000011.html、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2015/08/25/258609.html)
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Comments
兵庫県・井戸知事の発言、個人的にはホンネかもしれません。兵庫県は北陸新幹線については、地元負担することはないのだし、米原より小浜の方が時間短縮効果も大きいのだから、兵庫県の利用者としては小浜の方が有利なのは事実です。
しかし、関西広域連合の長としてこの論議の取り纏めに関わった立場からすれば、多額の地元負担を迫られる大阪府や京都府の立場も理解しているはずです。2府県にとっては、米原以上の負担を負っても、それに見合うメリットがない。
米原がダメだから小浜と言っても、今度は負担増加を懸念する地元が反対と、堂々巡りの挙句、永久にFGTが固定化されるだけでしょう。
Posted by: かにうさぎ | 2015.05.06 09:09 PM
かにうさぎさん、おはようございます。
* 2府県にとっては、米原以上の負担を負っても、それに見合うメリットがない。
正直言って、フル規格新幹線同士なのに、新大阪まで直通する保証のない「米原ルート」にはつくる意味がありません。つくらないほうがよい、最悪の案です。
* 永久にFGTが固定化されるだけでしょう。
富山-大阪間の直通ができるのであれば、当座の問題は解決できるのですから(しかも関西の自治体の負担は一切ない)、フリーゲージトレインが実現するのであれば、そこで話が止まる可能性は十分にあります。
Posted by: たべちゃん | 2015.05.07 05:35 AM