大井川鐵道、北海道のホテル会社が経営再建へ
大井川鐵道が厳しい経営環境であることは以前にも書いたとおりですが(関越道のツアーバス事故でツアーバスに対する規制が強まり、法規制が強まったため、ツアー客が減ったのです。沿線人口も減り、普通列車の本数もそれに合わせて減りました。乗客数はピーク時の2割、2012年度の旅客輸送密度は662人です)、新しい動きがありました。関連会社の大鉄商事とともに、29日に政府系ファンドの地域経済活性化支援機構が再生支援を決定したのです。
新しいスポンサーは、北海道でホテルを運営する、新ひだか町のエクリプス日高。静内ウエリントンホテル(現:静内エクリプスホテル)を再生した実績があります。大井川鐵道は現在、名鉄が議決権ベースで約10%を保有していますが(大井川鐵道は1960年代に経営危機に陥り、名鉄が支援したという経緯があります)、それをエクリプス日高に実質無償で譲渡し、経営から撤退します。名古屋から離れていて、本業との相乗効果が見込めないからです。経営撤退により数億円の損失が出ますが、それでも構わないとのことです。その後大井川鐵道は8月末に増資を行い(3億円程度の株式を発行し、エクリプス日高に割り当てます)、エクリプス日高は約90%の株式を持つことになります。大井川鐵道には約35億円もの有利子負債がありますが(年間の支払利息も8000万円を超えます)、静岡銀行など取引金融機関は債務免除を行います。
(追記1)
大井川鐵道関連なので、併せて書きます。
大井川鐵道には元西武の電気機関車が3両あります。SLを金谷に乗り入れさせるために購入したのですが、ATS設置費用の3000万円が捻出できませんでした。そのため、SLの金谷乗り入れは中止となり、電気機関車は5年前から車庫で放置されたままです。
(追記2)
金融機関の債務免除に加えて、客単価の大きい「きかんしゃトーマス」の運行で(本線の利用者が0.4%減ったにもかかわらず)売上高が6%増えたなどの理由で、大井川鐵道の2016年3月期の営業利益は前期比50%増の約1.25億円、最終利益は1200倍の24億円にもなりました。2016年4月27日、地域経済活性化支援機構は再生支援の完了を発表しています。
(参考:北海道新聞ホームページ http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0139341.html、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLZO87411900Y5A520C1L61000/、http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ29HTH_Z20C15A5TJC000/、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20150529/CK2015052902000105.html、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2015/05/30/252347.html、東洋経済ONLINE http://toyokeizai.net/articles/-/73517?page=3、タビリスホームページ http://tabiris.com/archives/oigawa-3/)
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