「106急行」も宅配便の荷物を載せる
以前、宅配便を載せる路面電車について紹介しましたが、新たな話が出てきました。
岩手県北バスとヤマト運輸は、岩手県北バス2路線のバスを改造して、そこに宅配便を載せる、「貨客混載」を6月3日から開始しました。バス路線の生産性向上による路線網の維持(宅配便を運ぶことで輸送料収入が入り、中山間地域のバスの維持ができます)と物流の効率化による物流網の維持(不足している長距離ドライバーを節約できます)が主な目的です。すでに路線バスで宅配便を運ぶという取り組みは岩手県交通が行っていて(1993年から、北上市と西和賀町の間で、通常の路線バスを使った宅配便輸送を行っています)、岩手県北バスは全国2例目です。
「貨客混載」を行うのは、「106急行」と、宮古から重茂<おもえ>半島に行く路線(「重茂路線バス」)の2つ。バスは宅配便を積むことができるように、車両後部1/3の座席を撤去して(45席から32席に減ります)、荷台スペースをつくりました(専用の荷台スペースを設けるのは全国初です)。荷台スペースには専用ボックスを搭載し、その中に宅配便を入れます。なお、「106急行」には「ヒトものバス」と銘打ったラッピングをしています。
すべての便で「貨客混載」を行うのではなく、行うのはそれぞれ1日1便。これまで、北上市の物流ターミナルから宮古営業所へ大型トラックで運び、そして宮古営業所から18キロ離れた重茂半島まで集配車両で運んでいました。「貨客混載」を開始した後は、まず北上市の物流ターミナルから盛岡西営業所まで大型トラックで運び(10:00発、11:00着)、盛岡西営業所で主に重茂半島行きの宅配便を「106急行」に乗せ、宮古営業所まで運びます(盛岡西営業所11:20発、盛岡駅11:40発、宮古駅13:55着、宮古営業所14:10着)。宮古営業所から重茂半島までは「重茂路線バス」で運び(宮古営業所15:20発、宮古駅15:35発、重茂16:30着)、岩手県北自動車の重茂車庫でヤマト運輸のセールスドライバーに宅配便を渡します。
この「貨客混載」は将来、拡大する可能性があります。国交省が検討を始めていて、タクシーが荷物を運んだり、トラック(宅配便の配送車)が旅客を運んだりしてもいいようになるかもしれないようです。
(追記1)
10月1日から、新たな区間でバスによる宅配便輸送を始めます。
その区間は宮崎交通の西都市と西米良村を結ぶ路線。バス3台を改造し、車体中央の8席をつぶして荷物のスペースにします。西都市から西米良村には配達用として1日1便を運行し、途中の停留所や終点でヤマト運輸のトラックに積み替えます。反対の西米良村から西都市には集荷用として1日2便を運行します。ヤマト運輸は配送の効率化ができ(これまで約50キロ、1時間半かかるところを1日3往復していました。また、これまで15時ごろだった当日発送の集荷締め切り時間が17時に伸びます。なお、トラック輸送も並行して続けます)、宮崎交通はヤマト運輸から輸送料をもらい、路線の維持につながります。
また、2016年6月からは宮崎交通の延岡市と高千穂町を結ぶ路線など2路線でも行います。
(追記2)
ヤマト運輸はこれらのバスによる宅配便輸送につき、国からの補助金を受けていないようです。
(参考:岩手県北自動車ホームページ http://www.iwate-kenpokubus.co.jp/uploads/kakyakukonsai.pdf、岩手日報ホームページ https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20150604_1、産経ニュース http://www.sankei.com/region/news/150604/rgn1506040017-n1.html、http://www.sankei.com/region/news/150925/rgn1509250048-n1.html、タビリスホームページ http://tabiris.com/archives/kakyaku-konsai/、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2015/09/25/260652.html、DIAMOND online http://diamond.jp/articles/-/89212?page=2、乗りものニュース http://trafficnews.jp/post/52147/)
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