JR東日本、気仙沼線、大船渡線の鉄路存廃につき7月に提示
東日本大震災により、気仙沼線柳津-気仙沼間(55.3キロ)と大船渡線気仙沼-盛間(43.7キロ)は鉄路が不通となり、現在はBRTで仮復旧しています。6月5日のことですが、この両線の復旧について沿線自治体の首長(気仙沼、登米、南三陸、大船渡、陸前高田)らと国、JR東日本が話し合う会議が国交省内で行われました。復興調整会議は震災後の2011年7月以降、開催されてきましたが、JR東日本が復旧の試算を示した2014年2月以降、開かれていません。話し合いは停滞しているのが現状のようで、課長などの実務担当者ではなくてトップクラスが話し合うことによって解決するのが狙いです。
BRTは暫定的な復旧方法として行っています。最終目標は震災前と同じ鉄道での復旧なのですが、簡単にできるわけではありません。多額のお金が必要なのです。震災前と同じように線路を敷いたらいいのではなく、津波等の災害を配慮しなければなりません。防潮堤やかさ上げ工事によって、震災前と同じように敷くことができないところもあります。必要なその額は気仙沼線が700億円、大船渡線が400億円。合計1100億円のうち、震災前の状態に戻す費用、すなわちそれぞれ300億円と130億円はJRが負担しますが、ルート移設などにかかるそれぞれ400億円と270億円、あわせて670億円の公的支援を国、県、沿線自治体に求めています。
しかし、国は国費の投入には否定的です。JR東日本は黒字なので、自力で復旧するのが原則だというのです。とは言っても、JR東日本が黒字なのは首都圏や新幹線の輸送があるためで、三陸で稼いでいるわけではありません。次回、7月後半に開催予定の次回会議で、JR東日本は両線の存廃について方針を示すとしています(会議終了後、JR東日本側が明らかにしました)。もともとこの両線に大きな需要があったわけではなく、震災前から減り続け、利用者は震災前を下回っています。とても鉄道としてやっていける路線ではないでしょう。BRTになってから、所要時間はかかりますが、本数は極めて多くなりました(3倍になった区間もあります)。地元の人や自治体の首長の中にも、BRTを評価する声があります。JR東日本にお金を出させるだけの態度では、BRTのまま固定化されても文句は言えないでしょう。
(参考:河北新報ホームページ http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201506/20150603_13028.html、http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201506/20150606_73015.html、THE WALL STREET JOURNALホームページ http://jp.wsj.com/articles/JJ12502424013908653454719386087691730891540、岩手日日新聞社ホームページ http://www.iwanichi.co.jp/temp/2188.html、朝日新聞ホームページ(会員登録要) http://digital.asahi.com/articles/ASH653T77H65UNHB00R.html、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/local/miyagi/news/20150605-OYTNT50363.html)
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Comments
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気仙沼線の復旧費用は700億円と400億円、どちらでしょうか?
Posted by: 日置りん | 2015.06.20 08:12 AM
日置りんさん、おはようございます。
* 気仙沼線の復旧費用は
ありがとうございます。記事は修正しました。
Posted by: たべちゃん | 2015.06.20 11:08 AM