山陽電鉄、直通特急にも対応できる6000系導入
山陽電鉄は、主に普通列車用として使われてきた3000系の代替として、新型車両6000系を導入します。特急用の5030系以来、19年ぶりの新車で、2015年度は3両編成2本を製造します。1編成約4.5億円で、2016年春から運行します。
6000系のコンセプトは、「環境にやさしく、安全・快適な車内空間の提供」。普通車の運用も、直通特急の運用もこなす汎用車です(直通特急として運用するときは2本を併結して6両編成とします)。先ほども述べたように3両編成で、Mc+T+Mcの組み合わせです。定員は先頭車122人(うち座席41人)、中間車135人(うち座席49人)です。アルミニウム合金車体で、無塗装。運転席下、ドア(3扉です)がコーポレートカラーの赤(より深みのあるイノセントレッド)で塗られ、窓の上下に赤い帯があります。ドア横には、朝日をイメージしたオレンジのグラデーションをデザインしています。座席配置はロングシート(バケットシートを採用しています。柄は兵庫県花の「のじぎく」です)。ライバルのJR西日本が転換クロスシートだけに、直通特急用としては接客設備に劣るかもしれません。山陽電鉄はこれまでクロスシート車を直通特急用として使ってきましたが(これまでロングシートしかなかった阪神も、直通特急ができたため部分的に転換クロスシートを導入しました)、新しい6000系はロングシートとなりますから。座席端部の仕切板にはガラス等を使用し、開放感を出しています。
6000系は、省エネ化で既存車両の3000系に比べて、電力量を約40%削減しています。電力回生ブレーキの使用範囲を拡大したVVVFインバータ制御装置を採用し、前照灯や室内灯などすべての照明をLED化しています。アルミニウム合金車体で基本的には塗装が要らないことも環境負荷の低減に貢献しています。騒音の軽減のため、全閉外扇型誘導電動機を採用し、モータ駆動音を低減します。フラット防止機能付きブレーキシステムにより、ブレーキをかけるときの車輪へのダメージを抑制し、走行中の騒音を軽減するとともに、乗り心地の向上を図ります。安全面としては、台車単位でブレーキ制御を行うことできめ細やかなブレーキを実現するとともに、故障時のバックアップ機能を強化しています。事故や急ブレーキ時、室内設備やほかの乗客と衝突しないように、仕切板を大型化し、握り棒を新設します。ドアが閉まるときの挟み込み対策として、ドアが閉まるときは一定時間ドアが閉まる力を弱め、引き抜きやすくするという戸挟制御機能を設けます。ホームからの転落防止対策として、6両編成で運用するときは先頭車間にも転落防止ホロを取り付けます。
全車両に車いす、ベビーカースペースを設け、優先座席のシートは青(通常は赤)、吊輪はオレンジ(通常は白)にします。出入口をわかりやすくするため、誘導鈴とドア開閉予告灯をすべての出入口に設け、車内のドア両端部と足元を黄色に塗ります。LCD車内案内表示器を1両に3か所設け、行先、駅名マップ、乗換案内、ドア開方向等、様々な情報を知らせます。日本語のほか、英語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語でも表示します。空調装置も改良を加え、きめ細かな制御を行います。座席は1人当たりのシートピッチを広げ、背もたれの高さを長くしています。
(追記1)
2016年4月27日にデビューした6000系には扉個別スイッチがあり、一部の駅において、通過待ちや接続待ち等により長時間停車する際、半自動となります。
(追記2)
6000系にはワンマン機能もあるようです。
(追記3)
2019年のことですが、6000系に4両編成のバージョンができることとなりました。
(参考:山陽電鉄ホームページ http://www.sanyo-railway.co.jp/media/1432015565.pdf、http://www.sanyo-railway.co.jp/index/topics/detail.html?topics_id=1051、毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20150523k0000m040018000c.html、「鉄道ジャーナル」2016年8月号 鉄道ジャーナル社、鉄道ホビダス rail.hobidas.com/rmn/archives/2019/07/60004_1.html)
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