JR東日本、気仙沼線と大船渡線の鉄路復旧断念
以前に書いた記事の続報です。
7月24日に国交省で沿線自治体首長会議の第2回会合が開かれました。ここでJR東日本は気仙沼線、大船渡線沿線の登米、南三陸、気仙沼、陸前高田、大船渡の5市町に対して、鉄路の復旧を断念し、BRTによる本格復旧を提案しました。もともと震災前から利用者が少なく、大量輸送機関として鉄道の特性を十分に発揮できる水準を下回っている状況で、さらに震災からの復旧で多額の費用がかかるからです。BRTなら、運行本数や駅の位置なども地域の実情に合わせてできるのです。延伸によって、東北新幹線の駅へのアクセス向上も行うようです。
各自治体はBRTのルートや駅拡充などの検討をして、それぞれの考えを年内に示すことになっています。沿線5市町のうち、気仙沼を除く4市町はJR東日本の提案をおおむね評価していますが(今後、住民に説明して、年内に行われる次回会合までに受け入れるかどうかを判断します)、気仙沼市の菅原市長は、提案を評価していません。気仙沼線はローカル線でありながら、比較的新しいため、仙台まで快速運転できたのです。BRTだとそれができないので、不満なのです(ただ、陸前高田、大船渡の意向も考慮するとの発言もあります)。確かにそれは言えますが、JR東日本ではそれは無理です。山田線のように、第三セクターをつくり、そこに移管するしかないでしょう。
(参考:河北新報ホームページ http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201507/20150725_12015.html、毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20150725k0000m040106000c.html、岩手日日新聞社ホームページ http://www.iwanichi.co.jp/ichinoseki/3867.html)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 阿佐海岸鉄道、車両不具合で当分の間運休(2024.10.07)
- 新金貨物線の旅客化はバスで対応?(2024.10.12)
「JR東日本」カテゴリの記事
- 新金貨物線の旅客化はバスで対応?(2024.10.12)
- 山田線、並行するバスと共同経営へ(2024.10.11)
- 秋田港クルーズ列車、廃止か?(2024.09.30)
- 米坂線でイベントをしたが、バスの利用者は増えず(2024.09.29)
- 上越新幹線で自動運転(2024.09.23)
「バス」カテゴリの記事
- 新金貨物線の旅客化はバスで対応?(2024.10.12)
- 美祢線に快速バス(2024.10.06)
Comments
総論としては致し方ないところです。
快速で仙台~気仙沼2時間は惜しいところです。
・通常期でも3両編成・指定席付の2往復
・多客期は最大5両編成の3往復
と、気仙沼線は唯一、三陸の不通区間では、鉄道の特性を発揮できる区間でしたので、残念なところです。
気仙沼市長の言うように、地域輸送はBRTで十分ですが、都市間輸送の観点がJRの現時点での説明では不十分ですので、
・専用道や三陸道の整備と絡めたBRT高速化
・大船渡線の高速化による一ノ関駅(新幹線)へのアクセス向上
などといった方策をJRは示す必要があるでしょう。
BRTにしても、路線バスよりはマシですが、国道45号経由の高速バスより鈍足で(志津川~気仙沼で比較)、「Rapid」というより「バス専用道」の域をでていません。
鉄道でいう「閉塞信号」や「踏切」で必ず一旦停止・徐行しているなど、せっかく導入した運行システムは宝の持ち腐れ状態ですが、逆に経費をさほどかけずに時間短縮できる余地は十分にありますので、こちらもJRには努力をお願いしたいところです。
また、専用区間の延長や、一般道出入口の優先信号など、まだ打つ手はあります。
いずれにせよ、「BRTによる本復旧」では、ローカル鉄道の「鉄道以外での再生」の先進事例として、成功することを祈ります。
Posted by: つばめ800 | 2015.07.27 10:35 AM
つばめ800さん、おはようございます。
* 気仙沼線は唯一、三陸の不通区間では、鉄道の特性
気仙沼線は都市間輸送もできる唯一の区間ですが、それをするには第三セクター化が不可欠でしょう。
* 鉄道でいう「閉塞信号」や「踏切」で必ず一旦停止・徐行している
BRT側を優先扱いにすることによって、スピードアップを図ることができるのではないでしょうか?
Posted by: たべちゃん | 2015.07.28 05:43 AM