JR北海道、2016年春にディーゼルカーの普通列車を15%削減
JR北海道の非電化区間の主力はキハ40ですが(普通列車用ディーゼルカー217両中、約2/3を占めています)、老朽化・劣化が激しく(製造してから30年以上経過しています。ちなみに、普通列車用ディーゼルカーで一番新しいキハ201でも、19年経過しています)、車両の故障や使用不能等が頻発しています。しかも、増加傾向にあります。運休及び30分以上の遅延を起こす車両故障の数を見ると、2014年度は前年の1.5倍近い、32件にもなっています。新型車両を投入する予定はありますが、もう少し先のことです。
このような調子の悪い車両を廃車すれば(とりあえず老朽化の進んだ10両を廃車するようです)、残った車両でダイヤを組まないといけません。しかも、ディーゼルカーで運転される普通列車については、乗客の減少傾向が続いています。それなのに、分割民営化以来ほとんど本数の見直しはなく、1列車あたりの乗車人員はかなり少なくなっています。2014年度の調査によれば(対象はディーゼルカーで運転されている普通列車548本)、1列車あたりの乗車人員が5人以下の列車が10%、5~10人の列車が11%もあります。100人を超えるのは9%しかありません。
そこで、2016年3月のダイヤ改正において、設定本数で15%程度(各線区平均)の見直しを行います(具体的な実施内容は冬ごろに改めて発表されます)。本数にして80本程度です。20人以下の列車(10人以下のものを含めて全体の約4割)が見直しの対象となります。運転本数のほか、編成両数を減らすところもあります。例えば、札沼線の浦臼-新十津川間は現在の1日3往復から1日1往復になります。このように本数を減らせば、新しくつくる車両を減らすこともできます。10両減らすことができ、20億円弱の節約になります。本数の減少によって燃料費や修繕費も減り、年間1.4億円の収支改善につながると考えられています。
また、JR北海道には利用者がほとんどいない駅、駅周辺に民家がない駅が多数あります。JR北海道の453駅のうち、1日平均乗車人員が1人以下が16%(71駅)、1~10人が20%(90駅)あります。100人もいれば、上位1/3に入ることができるのです(乗車人員の数字は異常値の影響を避けるため、5年間の平均値を使用しています)。驚く数字です。このように利用者がほとんどいなくても、駅がある限り、定期的に巡回及び施設の維持管理を行っています。人件費のほか、電気代、除雪費、修繕費が発生し、特に除雪については、要員の確保も難しいのです。施設の老朽化が進み、近い将来にはホームや駅舎の抜本改善、立て直しなどが必要になることもあります。そこで、以前にも書いたとおり、2016年3月に極端に利用者が少ない駅を廃止ことにします。10人以下の駅(161駅)が対象のようで、小幌を含めた9駅を廃止するようです。年間計約1500万円の除雪費のほか、1駅につきホームや駅の更新費500~1000万円が節約できるようです。無人駅化も進めます。10月1日に上幌向、清水沢を無人化し、鷲別、奈井江、赤平、芦別、留辺蘂、美幌、美深でも無人駅化を検討します。人件費など年間約9000万円が節約できるようです。
相変わらず地元マスコミはのんきに非難していますが、このような状況では経営できないことは明白でしょう。どうしても減便や廃止をされたくなかったら、口を出すのではなく、お金を出さないといけないのです。
(追記1)
釧網線も普通列車上下27本のうち、少なくとも6本について、2016年3月に減便するようです。減便の対象となるもののうち2本は、釧路11:46発川湯温泉行きと、その折り返しの13:40川湯温泉発釧路行きです。
(追記2)
室蘭線の鷲別駅は、10月31日で窓口の営業を終了します。
(追記3)
根室線の赤平駅は、窓口業務などを赤平市がJR北海道から受託することにより、無人化は免れることになりました。現在の駅員2人のうち1人を嘱託として雇用し、切符の販売、駅舎の管理などを行います。定期券や指定券も発売します。営業するのは平日の7:10~15:25だけで、駅員が出勤できないときは赤平市の公共施設の職員が対応します。
切符の販売手数料や駅舎管理の委託料がJR北海道から赤平市に支払われるので、赤平市の実質的に負担する人件費は年間約40万円程度です。
(追記4)
赤平と芦別の「みどりの窓口」は、2016年3月25日で廃止されます。それ以降は、赤平市、芦別市によるきっぷ販売が行われます。赤平は3月28日から、平日(年末年始は休み)の7:00~14:30のみきっぷの販売が行われます。芦別の営業開始日、営業時間、休業日は未定です。
(参考:JR北海道ホームページ http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150930-1.pdf、http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/151015-1.pdf、http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160219-3.pdf、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLZO92277800Q5A930C1L41000/、http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ30HY5_Q5A930C1TJC000/、レスポンスホームページ http://response.jp/article/2015/10/01/261157.html、北海道新聞ホームページ http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0185530.html、http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0029351.html、http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0187810.html、毎日jp http://mainichi.jp/select/news/20151001k0000e040167000c.html、朝日新聞ホームページ(会員登録要) http://digital.asahi.com/articles/CMTW1512110100002.html?rm=150)
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Comments
古い記事へのコメントで申し訳ありません。
今回の減便の理由として、利用者の減少のほかに「キハ40系の老朽化」があげられています。ただ、再生協議会に指摘された赤字路線7路線8区間のうち、宗谷本線名寄以北、釧網本線、花咲線、留萌本線はキハ54系が充当されています。
これら路線が減らず、ほかの区間が減るとも考えられませんので(現実に釧網本線は減便報道がある)、上記理由と整合性を持たせるとなると、キハ54系の運用拡大の可能性もあるのかもしれません。
Posted by: 東怪人 | 2015.10.09 09:55 PM
東怪人さん、こんばんは。
* これら路線が減らず、ほかの区間が減るとも考えられませんので
キハ54もそう新しくはないでしょうが、キハ40よりはましでしょうから、こちらの運用が増えることは想定できるでしょう。
Posted by: たべちゃん | 2015.10.09 10:34 PM