稚内-サハリン間の航路は第三セクターで
9月で運航を終えたハートランドフェリーの稚内-サハリン航路。この航路について稚内市が新会社を設立し、航路を維持する意向であることは以前にも書きましたが、その続報です。
稚内市が10月1日の稚内市議会全員協議会で示した内容によれば、稚内市と市内外の民間企業が共同出資する資本金3億円の第三セクターを年内に設立し(稚内市の出資比率は1/3です)、実際の運航は交渉中の船舶管理会社に委ねます。船はハートランドフェリーが使用していた貨客船、「アインス宗谷」を4.1億円で買い取ります。その費用は北海道などから財政支援があるようです。
運航本数は増やします。2015年度は6~9月に28往復するだけでしたが、2016年は6~12月の50往復に増え、最終的には4~12月に75往復になります。ロシア人向けに72時間までのビザを免除したり、船内、稚内市内に免税制度を導入したり、逆に日本人に対しては観光誘致を行い、旅客数を2015年の4401人から5年後の2020年には7500人に増やします。貨物は道北の農産物の輸出やサハリンの水産物の輸入を拡大し、2015年の192トンから6年後の2021年には3000トンに増やします。これで6年後、2021年の単年度黒字を目指すとのことです。
貨物は15倍にも増やすというバラ色の計画で、実現可能なものかは疑わしいですが、ともかくこの計画で運航するようです。実際には、運航に必要な船員の確保がうまくいっていないようで、2016年度からの運行を危惧する声もあります。また、例年、ハートランドフェリーは11月上旬に翌年の運航計画をロシア当局に提出していましたが、この状況ではそれが出せるのか不透明で、そういう点からも危惧する声があります。
(追記1)
ところがこれまでサハリン航路で使われてきた「アインス宗谷」を外国船籍に切り替えることは難しかったようで、工藤稚内市長は12月18日、サハリン航路の2016年度の定期運航を断念することを明らかにしました。2016年度は別の貨客船をチャーターして、貨物主体で運航することを目指します。
(追記2)
2016年については、ロシアの船会社がシンガポールの船会社から270トンの双胴型客船(定員80人)をレンタルして運航する方向です。7月中旬から9月中旬にかけて、週2便程度運航する予定です。ただし、双胴型客船なので、車両は運べません。
(追記3)
2016年のサハリン航路は、7月25日から9月16日の間、16往復運航する計画です。なお、使用される船は本来200人乗りのものを80人乗りに改造し使用するようです。
(参考:日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLZO92348560R01C15A0L41000/、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20151002-OYTNT50027.html、北海道新聞ホームページ http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0214776.html、http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/dohoku/1-0287752.html、タビリスホームページ http://tabiris.com/archives/saharin-4/)
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