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北陸新幹線に乗る(6)

 魚津で富山地方鉄道に乗り換え。富山地方鉄道(駅名は新魚津)はあいの風とやま鉄道の駅の海側にあるが、連絡通路はなく、いったん改札を出て左側にある地下通路に入らないといけない。地下通路の途中で狭い階段を上ると富山地方鉄道の駅だ。今日(9月13日)、明日の2日間、富山地方鉄道に乗るので、路面電車を含めて全線2日間乗り放題の、「全線2日フリー乗車券」を買い求める。渡されたのは、消費税率が5%だったときのもの。値段を訂正しておらず、富山駅や新黒部はない。次の宇奈月温泉方面は13:42発だが、せっかくフリーきっぷがあるので、迎えに行くことにする。反対の新魚津13:02発電鉄富山行きに乗る。線路の整備がよくないようで、よく揺れる。

 中滑川で下車。ここから「アルプスエキスプレス」(中滑川13:31発)に乗るわけだが、とても特急が停まる駅とは思えない。休日だからか、無人駅である。隣の、あいの風とやま鉄道に併設された滑川のほうが賑わっているようにも見える。「アルプスエキスプレス」がやってきた。西武特急「レッドアロー」を改造した3両編成である。真ん中の2号車は特急料金のほかに座席指定券が必要な車両で、売店もある。持っている「全線2日フリー乗車券」には特急料金は含まれているが、座席指定券は別払いなので、自由席に乗る。自由席とは言ってももともと有料特急用車両であり、さらに水戸岡氏によって床をフローリングにするなどリニューアルされているので、特急料金を取る特急らしくなっている。デッキの近くにはテーブルのある席もある。2号車の指定席と売店に行く。指定席にはなぜかところどころに本棚があり、「鉄道ジャーナル」などの鉄道関係の本が充実している。座席指定料金を払っていないので、見るのはやめておく。売店は誰でも利用できるようで、名水でつくられたサイダーを注文する。3号車に戻って飲む。サービスは結構充実している。

 北陸新幹線黒部宇奈月温泉に隣接する、新黒部で下車。もともと新幹線駅の仮称は新黒部で、それに合わせて富山地方鉄道も新幹線駅の接続駅を新黒部と命名したのだが、新幹線のほうは観光客の誘致を狙ってか、黒部宇奈月温泉とした。富山地方鉄道もそうしたいところだが、終点の宇奈月温泉と混同してしまうため、仮称のままにしたのだ。両駅の間には道路があり、車に注意しながら渡らないといけないが、横断歩道(信号はない)は新幹線の下にある。両駅の間は、雨に濡れずに移動することができるのだ。黒部宇奈月温泉に着いてしばらくすると、東京と金沢の両方から「はくたか」がやってきた。いくつかの旅館が出迎える。観光地らしい光景だ。次に乗る列車までもう少し時間があるので、駅近くの土産物屋などがある、黒部市地域観光ギャラリーに行く。接続待ちの時間つぶしにはよさそうだ。もう少し時間があったら、2階にあるいろいろな展示をじっくりみたいところだ。乗りたい列車の少し前に、宇奈月温泉行きの列車(新黒部14:29発)が到着。宇奈月温泉への客が乗り込む。いくら鉄道があるとはいえ、宇奈月温泉の旅館から送迎バスを出さず、ローカル鉄道に乗せるのは地理に明るくない客にとって不親切のようにも思えるが、宇奈月温泉への客が乗らなくなって鉄道が廃止されたら困るのだろう。富山地方鉄道の鉄道線の輸送密度は1660人(2012年度)、1989年度の3710人に比べると半減している。区間に区切って見ると、電鉄富山−東新庄間は5000人もいるが、末端の浦山−宇奈月温泉間は500人以下らしい(数字は2011年に富山県議会で報告されたもの)。結構危機的な状況だ。

 次に乗る列車がやってきた。真ん中に2階建ての車両を連結した、「ダブルデッカーエキスプレス」(新黒部14:32発)だ。最初は乗車時間が10分ほどと短いこともあり、追加料金のいらない平屋の自由席に座っていたが(しかも車内はガラガラ)、ここで2階建てに乗らないと意味がないということに気づき、真ん中の指定席に行く。2階建てのダブルデッカーは富山地方鉄道に1両しかないが、京阪旧3000系の車両は富山地方鉄道にたくさん走っているのだ。車掌がやってきたので、座席指定料金220円を払う(ちなみに指定席の2号車は、座席指定料金を払わないと乗車できない。写真を撮ろうとすると追い払われる)。指定席はもっとガラガラ。2人しか座っていない。これで2階建て車両に乗ることができたが、正直言ってこれでは座席指定料金を払うには値しない。もともと京阪では2階建て車両を含めて運賃だけで乗車できたのであり、「アルプスエキスプレス」のような特別さがないのだ。「ダブルデッカーエキスプレス」を特急料金や座席指定料金を徴収する列車にしたいなら、もっとリニューアルしなければならないだろう。本家京阪の取り組みが参考になるかもしれない。

 新魚津に戻る。このままあいの風とやま鉄道の列車(魚津15:26発)が来るのを待ってもよかったが、まだ時間がある。そう思っていたら、向かいに元東急の車両がやってきた。2扉クロスシートが原則の富山地方鉄道にあっては、4扉ロングシートは異色の車両だ(ただし、使用する扉は車端部の2つだけで、中ほどの2つは使わない)。事前にダイヤを調べていなかったので、乗り遅れないよう、次の経田までとする。経田で待っているとしばらくして反対の電鉄富山方面がやってきた。こちらも元東急の4扉ロングシート。実はロングシートの2つとも、宇奈月温泉発着なのだ。富山近郊の上市ぐらいならともかく、いくら経営が厳しいとはいえ、はるばる宇奈月温泉までロングシートに揺られるのは考えものだろう。(続く)
(参考:「鉄道ジャーナル」2015年8月号 鉄道ジャーナル社)

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