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近鉄名阪特急に個室、汎用特急は大幅リニューアル

 私鉄最大の路線網を誇る近鉄には、毎日たくさんの特急が走っています。歴史的にも、1947年に戦後日本の私鉄で初めての座席定員制有料特急の運行を開始して以来、70年近い歴史を誇っています。

 近鉄の特急は大きく分けて3つに分かれます。長距離都市間輸送を担う「アーバンライナー」、伊勢・志摩方面への長距離観光輸送を担う「しまかぜ」や「伊勢志摩ライナー」、中距離から長距離まで幅広く運用する汎用特急(2階建ての「ビスタカー」もここに含まれます)です。

 近鉄は社内の「次世代特急プロジェクトチーム」で特急について全面的に見直しています。名阪特急を中心に今後の特急のありかたについて様々な検討をしています。伊勢・志摩方面への特急についても、さらなる充実を図って検討を予定しています。

 近鉄特急の今後の方向性は次の通りです。まず名阪特急は、大阪-名古屋間の長距離都市間輸送として、ビジネス目的のほか観光目的にも快適に使ってもらえる特別な特急を目指します。具体的には、1人用個室の導入などプレミアム感を演出する座席の設定を行い、WiFi、大型テーブル、座席コンセントなどのビジネス向けの各種設備を充実させます。最高クラスの1人用個室は水平に倒れるシートが設置されます。現在名阪間を走る「アーバンライナー」の後継となるこの車両は、2020年ごろに運行を開始する予定です。最高クラスの料金は現行の「アーバンライナー」より高くなりますが、新幹線よりは安くする方針です。

 伊勢・志摩方面への特急は、大阪・京都・名古屋-伊勢志摩間の長距離観光輸送として、ファミリー、女性グループ、カップル、外国人客など幅広い人に利用してもらえる特急を目指します。具体的には、グループで楽しく過ごすことのできる座席配置をとり、展望にも気を使った客室にするほか、長時間車内で楽しむことのできる映像コンテンツの配信も行う予定です。

 そして、通勤、ビジネス、観光や日常での利用など、幅広い目的で使われる汎用特急。従来同様、需要に応じて編成両数を変えることができるようにします。特急全体に共通する事項としては、車内販売または自動販売機により飲食サービスを向上させ、外国人にもわかりやすい案内表示や案内放送を行います。全列車に喫煙室を設置することにより分煙を強化し、特急券購入方法の容易化及び多様化を図ります。当然ながら、ダイヤは使いやすいものにします。

 さて、このたび大きく変わるのは汎用特急。特急車両のうち標準軌用の12400系・12410系・12600系(40両)、30000系(60両)、22000系(86両)、22600系(32両)、狭軌用の16000系・16010系(10両)、16400系(4両)、16600系(4両)の合計236両について、外観カラーリングを変更します。これまで近鉄特急のカラーは、1958年の初代ビスタカー(世界初の2階建て高速電車)以来、オレンジと紺のツートンカラーでしたが、クリスタルホワイトをベースにブライトイエローとゴールドを加えたものにします。カラーリングの変更は12月から2019年度まで行います(22000系以外の車両は、2016年4月から順次行います)。

 汎用特急の主力である22000系は、リニューアルも行います。座り心地を向上させた新しいシートにするほか、車内案内表示器や行先表示器のカラーLED化、トイレへの温水洗浄便座設置を行います。座席にはコンセント、カップホルダー、物掛フック、傘ホルダーもつきます。バリアフリー対策として、車椅子対応の多目的トイレ(オストメイト付き)の設置やドアチャイムなどを設置します。分煙の強化のため、喫煙室を設置します(客室内は全席禁煙)。4両編成のものには自動販売機もつきます。ただいま1編成目のリニューアル工事を行っていて、12月13日から営業運転を開始する予定です。2015年度は4両編成3本のリニューアルを行い、2019年度までに全車両のリニューアルを終えます。

 12月5日には、リニューアル車両の有料試乗会、撮影会が行われます。大阪発と名古屋発それぞれ200人を募集します。大阪発は行き、名古屋発は帰りにリニューアル車両に乗ることができます。11月13日から近鉄各駅営業所で申し込みを受け付けます。旅行代金は大阪上本町駅からの場合、弁当などもついて大人5500円、子供3980円です(近鉄名古屋駅、近鉄四日市駅からの設定もあります)。

(追記)
 22000系はリニューアルすることによって、各車両とも22600系(4両編成)と同じ定員になります。22000系の一部車両には荷物置き場も備えられます。
(参考:近鉄ホームページ http://www.kintetsu.co.jp/all_news/news_info/toxtukyuutennbou.pdf、中日新聞ホームページ http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015110501001471.html、「鉄道ジャーナル」2016年2月号 鉄道ジャーナル社)

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