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向谷氏の鉄道館、ホームドアを開発

 線路への転落や列車との接触など、ホーム上での事故を防ぐには、ホームドアが有効とされています。国交省によれば、2015年3月時点でのホームドア設置駅数は615駅。10年前の273駅と比べると倍以上に増えています。地下鉄などで導入が進んだためです。2月に閣議決定された国の交通政策基本計画によれば、2020年度までにホームドアを設置する駅を約800駅にするのが目標です。

 しかし、ホームドアを設置するにはかなりの費用がかかります。ホームドアは重たいので、ホームの補強工事が要ります。その補強費用を含めると、1駅当たり数億円から十数億円の費用がかかります。また、ホームドアを導入するためには、同じ車両ばかりが走る路線でないといけません。地下鉄で導入が進んでいるのはそのためです。地下鉄の車両は基本的には同じタイプの通勤型電車ばかりですから。

 ただ、安全面を考えるとホームドアの普及を進めたほうが望ましいです。そこで国交省による技術支援を受けた新型ホームドアの試験等が行われています。2013年から2014年にかけて東急や相鉄で実証試験が行われました。ドアではなくワイヤーやバーを昇降させるタイプです。JR西日本も自社で開発したロープ昇降式のものを六甲道で運用しています。2016年春には高槻の新設ホームでも導入する予定です。山手線でホームドアを導入したJR東日本も2015年3月から拝島で昇降バー式による試験を行っています。

 昇降式は、ホームドアとは違って戸袋が不要であるため、開く部分の幅を広くすることができます。3扉車と4扉車というように、ドア位置が異なる車両にも対応できます。板状の扉ではなく、ワイヤーやバーなどを使うため、軽量化され、ホームの補強費用はいりません。ただ、ホームには板ではなく柱やワイヤー、バーがあるだけなので、視覚障害者にとっては完全にはカバーされないという欠点もあります。

 そこで新たなタイプのホームドアを開発した会社があります。それは向谷氏が社長の音楽館。向谷氏は音楽家ですが、鉄道ファンとして知られています。音楽館は列車の運転シミュレータや駅の発車メロディなどを製作していますが、ホームドアの開発は初めてです。鉄道向け電気機械開発の大誠テクノ(本社:大阪市)と共同開発したホームドアは、動きは一般的なホームドアと同じですが、板状の扉の代わりにバーを使っているため、軽くなっています。一般的なホームドアは扉1つ分で約380キロありますが、バーになっているこのタイプは扉1つ分で150キロです。板状の扉ではなくバーになっているので、ホームの眺めを損なうことなく、乗務員からもホーム上の様子が見えやすくなるというメリットがあります。また、板状の扉では開いたときに隣同士の扉が重ならないようにしないといけないですが(こうしないと本体が厚くなってしまいます)、バー式だとバーの形状を工夫することにより、隣同士のバーを重ねることもできます。開口幅を広くとることができ(試作したものの開口幅は2.8メートルあります。開口部の左右から長さ約1.3メートル、直径4~5センチの棒が伸びます)、車両の扉の位置が少々異なっても対応できます。停車位置が少々ずれても支障がないため、目標位置に自動で列車を停止させるTASC(定位置停止支援装置)などを導入する必要がなく、そういう面でもコストの削減ができます。

 このバー状のホームドアは今年の春から開発を始め、すでに特許も取得しています。11日から13日にかけて幕張メッセで開かれた第4回鉄道技術展にも出品しました。今後は耐久試験を行い、国交省の支援の対象になれば、実際に駅での実証試験を行います。音楽館はコストの面でホームドアを導入することのできない中小の事業者にこのバー状のホームドアを提案する予定です。
(参考:東洋経済ONLINE http://toyokeizai.net/articles/-/90219、産経ニュース http://www.sankei.com/economy/news/151111/ecn1511110060-n1.html)

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