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阪堺の廃止区間と紀州鉄道のレールバスに乗る(2)

 JRは新今宮で降りたので、大阪環状線に沿ってひと駅歩いて新今宮に戻る。大和路線にひと駅乗り、天王寺からは「くろしお3号」(天王寺9:21発)。途中まで快速に乗ってもよかったが、「くろしお3号」は和歌山と海南しか停まらない。天王寺から快速に乗っても途中で抜かれてしまうのである。大阪環状線のダイヤが乱れていたので遅れを心配したが、ほぼ定刻。ビジネスにもいい時間帯のため、指定席も自由席も混んでいる。ほぼ座席が埋まり、通路側に座る。

 「くろしお3号」は287系の特急。カーブの多い紀勢線では振り子式の列車が使われ、カーブ区間の速度向上に役立ってきたが、この287系は振り子式ではない、普通の車両。カーブに差し掛かかるとスピードを落とす。ライバルの車は高速道路の整備で速くなっているのに、こちらは逆戻り。利用者が減るのは当たり前である。鉄道への補助の話になると弱者対策のみが取り上げられるが、弱者対策こそ小回りの利く車に委ねたほうがよく、大都市圏以外の鉄道はいかに車から利用者を移行させるかが重要である。ただ運賃が安すぎるので、普通列車はうまみがない。それなりの料金収入があり、ある程度の距離の乗車が見込める、特急に狙いを定めないといけない。車からシフトしてもらうには、特急のスピードアップこそ重要だ。理想は新幹線。どんなにスピードを出しても、新幹線には勝てない。話を「くろしお3号」に戻す。「くろしお3号」は和歌山県の県庁所在地、和歌山で多くのビジネスパーソンを降ろす。自由席は2席を一人で使う状態になり、指定席のほうが混んでいる。いつの間にか全列車が停まるようになった海南での乗降は少なく、そのまま次の御坊に行く。

 今回、御坊を訪れた目的は、紀州鉄道に乗るため。日本で実質的に一番短い鉄道である紀州鉄道にはレールバスが走っているが、このたび、信楽高原鐵道の車両を購入した。レールバスは老朽化しているので、近いうちに置き換えがなされると考えられる。JRから分離された第三セクターが続々誕生したころは全国各地にレールバスが走っていたが、置き換えが進み、今は貴重な存在。それに乗りに御坊まで来たのだ。紀州鉄道のホームはJRに間借りした0番線。切符は駅では買えず、そのままレールバスに乗ればいい。御坊から乗るときも駅員に紀州鉄道に乗ることを伝えれば、切符なしにホームに入ることができる。さて、「くろしお3号」のほか、和歌山方面と紀伊田辺方面、両方の普通列車の接続を受けたはずの御坊10:58発レールバスだが、乗ったのは私を含めて3人。1人は学門で1人は紀伊御坊で降りたので、そこから先は1人だけ。御坊を出てすぐの田園地帯でもよく揺れる割には時速30キロしか出さない。しかし距離が短いのでたった8分で終点の西御坊に到着。

 折り返しのレールバスの発車は約40分後。このまま駅にいても仕方がないので、市内の散策に出かける。駅にある地図で町の様子を簡単につかみ、出発。町のシンボルである本願寺日高別院に行こうと思ったが、幼稚園として使っているため、中に入ることができず。そこから北のほうに歩くと、紀伊御坊に着いた。折り返しの発車時刻の10分前、ちょうどいい時間だ。紀伊御坊は紀州鉄道の中心となる駅で、車庫もある。信楽高原鐵道から来た車両のほか、もう1両のレールバス(今は使われていないらしい)、それにかつて使われていた古い車両もあるが、どうやら今現在使えるのは今回乗ったレールバス、キテツ2だけらしい。当然紀伊御坊から乗った(11:43発)のもキテツ2。こちらは乳幼児を含めて8人乗っていた。

 次の列車は御坊12:02発の「くろしお16号」、15分弱時間があるので、駅の外に出てお土産の不足分と昼食を買おうとする。お土産は買えたが、弁当を売っている店はない(喫茶店やうどん屋はあるが、時間がない)。かつてなら、駅弁や車内販売があったが、どちらもなくなっているのだ。仕方なくコンビニで買うが、どこにでもあるものではなく、手作りと思われるサンドイッチにした。車内で食べたが、結構具は分厚かった。「くろしお16号」に乗る。お昼なので利用者は少なく、車両の前後にしかない、コンセントの近くの席を確保することができる。ちなみにこの「くろしお16号」は289系、もともと名古屋と北陸を結んでいた683系「しらさぎ」を改造し、10月31日にデビューしたばかりの車両である。ただ、新宮寄りのグリーン車の外観が違うことを除けば(しかも287系は半室グリーン車、289系は全室グリーン車)、287系と289系は似ている。683系がそうであるように、289系も振り子式ではない。カーブのスピードは遅い。この「くろしお16号」は行きの「くろしお3号」とは違い、急行並みによく停まる。藤並にも停まるようになったので、和歌山までで4駅だ。ただ、どの駅も時間帯のせいか、利用者は少ない。やはりたくさん乗ってきたのは和歌山、ここで窓側は埋まる。快速があまりにも遅いから(ごく一部を除いて、快速でも熊取以南各駅停車することが原因)、天王寺まででも自由席で1000円近くするにも関わらず、特急を選ぶ人がそれなりにいるのだ。快速の速達化をあきらめるなら、「くろしお」の間に入る、新大阪−和歌山間の短距離特急があってもよさそうだ。特急料金の工夫はいるだろうが。天王寺−和歌山間の自由席特急料金は500円が理想だが、さすがにそれは無理だろう。とはいえ、50キロ以下の650円にはしたいところだ。

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