御堂筋線にグリーン車の椅子
大阪市交通局は、2011年から市営地下鉄御堂筋線に30000系を導入していますが、2016年秋ごろに導入するものについて、さらなる快適性向上を目指します。
具体的にどういうものでしょうか? ひとつひとつ見ていくことにしましょう。まず、室内デザインについては、都会的なイメージの中に、未来に向けての新たな風を盛り込んだデザインとしています。全体的に白色系の明るい配色とし、調光、調色照明の効果をアップさせます。乗降口の扉はブロック調デザインとし、全体的にクールな色調とすることで都会的なイメージを演出します。座席端部の袖仕切り、座席、貫通扉は流線型デザインを採用し、新たな流れを表現します。床にはイチョウのデザインを取り入れます。御堂筋のイチョウ並木を表現します。
女性専用車両については、女性職員へのアンケート及び女性の利用者からの意見を基に、女性が利用しやすい女性専用車両にしています。一般車との配色を変えることで女性専用車両であることをわかりやすくし、荷棚の高さを一般車よりも100ミリ低くして使いやすくし、吊り手の配置と高さを見直して握り棒を増設します。
車内照明は時間帯によって変わります。サーカディアンリズム(概日リズム、生物に備わる昼と夜をつくり出す1日のリズムのことです)に基づいて時間帯を制御するとともに、車内照明に幸せを感じるともいわれている桜色を加えました。車内照明に桜色を加えるのは国内初です。しかも、桜色には2種類あります。ひとつはソメイヨシノ、もうひとつはしだれ桜です。シャープが開発したソメイヨシノは癒し、光によるストレス感が少ないという意味で目に優しい、集中しやすいなどの効果が検証されている色です。そして、調光、調色式LEDによる間接照明で、季節や時間帯に合わせた車内空間を提供します。すなわち、朝から夜にかけて、電球色→白色→昼白色→しだれ桜→ソメイヨシノ→電球色と変化します。
車内で次の駅や行き先などを乗客に伝える車内案内表示器が2画面化されます。2画面が一体となって千里中央からなかもずまでの状況を伝えるとともに(新箕面まで延伸しても対応できそうです)、動画広告や天気予報などの表示も可能です。また車内には通勤車両では国内初めてとなる空気浄化装置(プラズマクラスター装置)を配備しています。これは御堂筋線の既存車両での試験データを基にして、鉄道車両用に新規開発したものです。デザインは都会的な車内イメージと調和する、流線型となっています。
そしてタイトルに取り上げた椅子。快適な座り心地を追求し、新幹線グリーン車と同等のシートを開発しました。ただし、地下鉄なので、ロングシートです。利用実態を考えて、10~30分の着座で快適性を維持することができる形状となっています。クッション性を向上した低反発素材を導入しています。また、ロングーシートと言えども1席ごとに分割しているので、隣からの揺れが軽減されます。座面だけでなく背ずりもバケット構造となっていて、座席区分を明確化しています。座面や背ずりについては配色を変更し、背ずりを明るくすることで車内イメージを明るくします。座面は灰色基調ですが、一般座席の背ずりは赤、優先座席は青をベースにしています。座席については足元も変わります。影をなくすことが安心感につながるということから、通勤車両で初めて、座席下をやさしく照らす、足元照明を採用しています。
なお、さらなる快適性向上を目指すために追加でかかる費用は1編成あたり約5000万円、2016年秋に1編成導入したのち、2017年度に5編成を導入し、全41編成中6編成がさらなる快適性向上を目指したものとなります。
(追記)
デザインを一新した30000系第4編成は2016年10月20日にデビューします。なかもず11:38発から運行を始めます。
(参考:大阪市交通局ホームページ http://www.kotsu.city.osaka.lg.jp/general/announce/w_new_info/w_new/list_h27_all/20151214_R1_30000kei.html、http://www.kotsu.city.osaka.lg.jp/general/announce/w_new_info/w_new/list_h28_all/20161013_30000debut.html、産経ニュース http://www.sankei.com/region/news/151215/rgn1512150071-n1.html)
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