« 北海道中央バス等、札幌-函館間の高速バスを新函館北斗経由に | Main | 太陽光で走るバス »

佐賀県はフリーゲージトレインにこだわり、長崎県は2022年度にこだわる

 肝心の技術開発がトラブルで遅れている、フリーゲージトレインについての続報です。

 以前の記事で佐賀県は、相変わらず当初予定通りの2022年でのフリーゲージトレイン方式による長崎新幹線開業を求めていると書きましたが、さすがにそれは無茶だったようで、佐賀県の考えとしては少々遅れてもよいからフリーゲージトレインでの開業を求めているとのことです。佐賀県にとっては現在の225億円の負担でも重いのに、フル規格化などのほかの方式による建設になれば、費用負担の話を一からしなければならないからです。ですから、少々遅れてもフリーゲージトレインに固執しないといけないのです。新幹線と在来線を乗り継ぐ「リレー方式」ですら拒否をしています。「リレー方式」で行くということは、フリーゲージトレインがうまくいかなかったという証拠(フル規格化に進みやすい)なのですから、佐賀県としては受け入れることができないのでしょう。

 これに対して長崎県は2022年度の開業を強く求めています。フリーゲージトレインにするか「リレー方式」にするかは国が決めることとし、こちらは絶対にフリーゲージトレインでなくてはならないということではないようです。そもそもフリーゲージトレインが実現するかということ自体に疑念を示している意見も出たぐらいですから。長崎県が2022年度での開業を強く求めているのは、長崎などの沿線市が2022年度の開業に合わせて区画整理事業などの駅周辺開発を行っていて、開業の遅れは街づくりに大きな影響を与えるからです。両県では考えかたに大きな違いがあります。

 さて、国(国交省)としては政府与党合意に従って、フリーゲージトレインで2022年度までの開業を目指すことには変わりがないとしていますが、実際に技術開発が進まない限り、どうしようもありません。政治家に何を言われようが、不完全な技術ではどうしようもないのです。JR九州もトラブルでフリーゲージトレインの開発が1年半空きましたが、開発工程を見直すことも考えているようです。ただ、安全性を無視してフリーゲージトレインを導入するわけにはいきませんので、いわば努力目標です。この後、技術開発が順調に進めばそれはそれでいいのですが、間に合わない場合は、国と沿線県で再協議をして新たに決めなおすしか仕方がないでしょう。
(参考:佐賀新聞ホームページ http://www.saga-s.co.jp/column/sinkansen/21001/259795、http://www.saga-s.co.jp/column/sinkansen/21001/262526、http://www.saga-s.co.jp/column/sinkansen/21001/260480、http://www.saga-s.co.jp/column/sinkansen/21001/264223)

| |

« 北海道中央バス等、札幌-函館間の高速バスを新函館北斗経由に | Main | 太陽光で走るバス »

鉄道」カテゴリの記事

整備新幹線」カテゴリの記事

Comments

新幹線は技術と安全と信頼と将来性があって初めて成り立つものだと私は考えます。
方式にこだわるのではなく安全、技術を大切にすべきではないかと思います。佐賀・長崎の自治体政治レベルではどうしようもないところもありますので・・・。

個人的にはもう少し国が先導しても良いのではないかと考えています。新幹線は国家のプロジェクトです。不平不満はでるでしょうが、地方自治体の政治家や役人のプライドだけでは利用者本位の新幹線は出来ないと私は思います。(現段階ではリレー方式の方が技術が確立していて建設した施設も有効活用できて一番良いと私は考えているのですが・・・)

Posted by: Soleil | 2016.01.03 09:05 PM

 Soleilさん、こんばんは。

* 新幹線は技術と安全と信頼と将来性があって

 フリーゲージトレインの開発が進んでいるのであればそれでいいのですが、それがうまくいっていない以上、遅らせるかほかの方式にするかの見直しは要ります。

* (現段階ではリレー方式の方が

 ただ、永久的に乗り換えさせるわけにはいきません。「リレー方式」は近い将来、フル規格になるのを前提としたものです。フリーゲージトレインが実用化せず、佐賀県がお金を出したくないのなら、これまた技術的に確立しているスーパー特急しかありません。

Posted by: たべちゃん | 2016.01.04 09:48 PM

>佐賀県がお金を出したくないのなら、

本当に佐賀県にメリットのない話なのか?
フル規格かミニ新幹線なら新大阪まで直通できるし、佐賀県西部からは時短効果も大きいはず。

博多に近いから要らないというなら、なぜ佐賀空港なんか作るのかという突っ込みを入れたくなります。

昔から、「佐賀もんが歩いた後には草も生えない」等と悪口を言われている土地柄ですが、目先の金を惜しんでいるだけのように思えます。

負担の割にメリットが少ないから、属地主義に基づく負担の一部は長崎県に肩代わりするにしても、一部は追加負担に応じるなど、柔軟な対応を考慮できないものか。

>技術的に確立しているスーパー特急しかありません。

ミニ新幹線方式も検討するべきでしょう。
リレー暫定開業でも、肥前山口-武雄温泉間の複線化工事が必要で、後でフル規格に変更すると、この投資が無駄になってしまうから、この区間は標準軌単線を並立する形で線増するべきでしょう。

残る肥前山口-新鳥栖間をどうするかですが、ミニ化程度の負担なら、長崎県が肩代わりしても、大きな負担にならないなら、それで話が決まる可能性もあります。

いずれにしても、佐世保線複線化工事着手のタイミングもあるため、徒らに見通しがなく、山陽への直通もできないFGTに拘るのは得策ではありません。


Posted by: かにうさぎ | 2016.01.09 12:08 PM

 かにうさぎさん、こんばんは。

* 本当に佐賀県にメリットのない話なのか?

 確かにフル規格などにすると新大阪直通などのメリットはあるのでしょうが、佐賀県はとにかくお金は出したくないのでしょう。

* ミニ新幹線方式も検討するべきでしょう。

 これも佐賀県がお金を出したくないことを反映させたものです。ミニ新幹線なら肥前山口-武雄温泉の改軌工事をしないといけませんから。

Posted by: たべちゃん | 2016.01.11 08:58 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 佐賀県はフリーゲージトレインにこだわり、長崎県は2022年度にこだわる:

» 【長崎新幹線】単なる精神論? [かにうさぎの部屋]
佐賀県議会最大会派の自民党(石井秀夫議員団会長、26人)は17日、フリーゲージトレイン(FGT)の開発遅れが問題化している九州新幹線長崎ルートに関し、FGTで2022年... [Read More]

Tracked on 2016.01.03 08:21 PM

« 北海道中央バス等、札幌-函館間の高速バスを新函館北斗経由に | Main | 太陽光で走るバス »