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JR北海道は札幌近郊でも赤字、10人以下の駅が3割

 JR北海道は29日、道内の全14路線30区間について、2014年度分の輸送密度、営業損益、営業係数(管理費を除いたものと含めたものの両方)を発表しました。以前、輸送密度が500人未満の線区についての輸送密度、営業損益、管理費を除いた営業係数は発表されていますが、これを全線区に拡大したのです。

 管理費とは、直接的な運行費用のほかにかかる、本社・支社の管理部門の費用のことです。これを加えると、当然ながらローカル線の営業係数は悪化します。一番営業係数が悪かった、留萌線留萌-増毛間は管理費を加えることによって、4161円から4554円に増えます。100円の収入を得るのに、4554円もかかるのです。

 赤字になっているのは、ローカル線だけではありません。札幌近郊や、特急がたくさん通る路線も赤字です。すべての線区で赤字になっているのです。札幌近郊の札沼線桑園-北海道医療大学間(輸送密度16873人)、函館線札幌-岩見沢間(輸送密度43025人)、千歳・室蘭線白石-苫小牧間(輸送密度43433人)、函館線小樽-札幌間(輸送密度44099人)に関しては利用者の乗車区間が特定しにくいとして営業係数は一括していますが、そこでさえ管理費を含めると赤字です(営業係数は107、管理費を除くと91。管理費を除いても黒字になるのは札幌近郊のみ)。営業損益は約26.6億円の赤字です。特急がたくさん通る室蘭線東室蘭-苫小牧間(輸送密度7736人、営業損益は約16.6億円の赤字、管理費込み営業係数153円)、函館線岩見沢-旭川間(輸送密度9320人、営業損益は約25.2億円の赤字、管理費込み営業係数143円)でさえ赤字です。また、輸送密度が500人以上の路線でも、営業係数が悪い路線があります。室蘭線沼ノ端-岩見沢間(輸送密度516人、営業損益は約11.3億円の赤字、管理費込み営業係数1011円)、函館線長万部-小樽間(輸送密度675人、営業損益は約20.7億円の赤字、管理費込み営業係数570円)あたりが該当します。ちなみに廃止された江差線木古内-江差間は鉄道ファンの「努力」の結果、輸送密度618人、営業損益は約0.6億円の赤字、管理費込み営業係数314円となりました。

 今回、すべての線区の輸送密度が発表されましたので、今後の参考のため、これまで取り上げなかった路線について、輸送密度を紹介していきましょう。営業係数は挙げませんが、悪いほうからいきます。室蘭線室蘭-東室蘭間は1342人、富良野線富良野-旭川間は1406人、宗谷線旭川-名寄間は1512人、石北線上川-網走間は1051人、石北線新旭川-上川間は1489人、江差線五稜郭-木古内間は4377人、根室線帯広-釧路間は2259人、函館線函館-長万部間は3765人、室蘭線長万部-東室蘭間は5022人、石勝・根室線南千歳-帯広間は4270人、海峡線木古内-中小国間は3851人です。

 また、JR北海道が毎年11月に調査した結果、1日平均乗車人数(5年間の平均)が10人以下という極端に利用の少ない駅が159にものぼることが判明しました(以前の記事と少々違いますが、2015年11月の数字を反映させたのでしょう)。そのうち、1日平均乗車人数が1人以下という駅は58もあります。

 2016年度中の廃止を目指している留萌線留萌-増毛間は、両端の留萌、増毛を除く7駅が10人以下、そのうち5駅が1人以下でした。3月26日のダイヤ改正で廃止される8駅について言えば、石北線旧白滝を除いて1人以下でした(旧白滝は1人超10人以下)。駅がある限り、利用者が少なくても維持管理をしなければなりません。ポール1本で済むバスと違い、手間がかかります。施設も老朽化します。JR北海道は極端に利用の少ない駅について、将来的にも廃止を進める考えです。

(追記)
 極端に利用の少ない駅を地図にすると、場所によっては10人以上の利用のある駅がごく少数というところもあります。
(参考:北海道新聞ホームページ http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0228850.html、http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0229045.html、JR北海道ホームページ http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160210-1.pdf)

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Comments

何を今さらという感じ。千歳線だけは、なんとか黒字だと思っていたが、それも赤字とは。
だからこそ、高速道路や航空機に勝つため、特急の高速化等も行った。しかし、事故の頻発で、マスコミ等により、高速化が悪という変な方向にいった。もはや、JRには未来はなく、多額の赤字の垂れ流しになるであろう。
管理が一番かかるのが冬季だから、線路の除雪を自治体に任せるか、全線の運行中止も必要と思える。札幌圏でも赤字なのはその辺もあるのでは。

地方の赤字路線を廃止しても赤字事態はあまり変わらないのでは。
北海道事態が人口減少でさらに車社会だから札幌圏でも儲かるわけがない。

Posted by: たかちゃん | 2016.01.31 04:16 PM

 たかちゃんさん、おはようございます。

* しかし、事故の頻発で、マスコミ等により、高速化が悪という変な方向にいった。

 車などほかの交通機関なのに明らかに速くないと鉄道は使ってくれません。マスコミは気楽です。

* 管理が一番かかるのが冬季だから、

 ローカル線は除雪をあきらめ、雪が融けるまでバスで代行するのも手でしょう。道路は国や地方自治体が除雪してくれますから。通年バス代行なら、線路の維持費もいりません。

* 地方の赤字路線を廃止しても赤字事態は

 管理費を圧縮する最大の方法は、JR東日本に吸収合併されることです。

Posted by: たべちゃん | 2016.02.01 06:04 AM

北海道の冬季について、たしかに、そのような方法もある。ただ、高齢者と学生しか必要としていないから、代行バスというよりも、自治体のコミニティーバスと学生ならスクールバスで十分ではないかということになる。

ちなみに、北海道の冬季は長く、早ければ10月頃から雪が降り始め5月ぐらいとみていい。5月でも、大量に雪が降る場合がある。

JR東日本と合併と簡単に言っても、東日本自体にも不通区間以外でも多数の赤字路線があるから、それ以上の赤字路線受け入れないだろう。
赤字路線を、首都圏(特に山手線等)で維持している。

Posted by: たかちゃん | 2016.02.01 01:15 PM

 たかちゃんさん、こんばんは。

* ただ、高齢者と学生しか必要としていないから、代行バスというよりも、

 そんなレベルなら、公共交通機関の必要性はありません。JRに押し付けるのは間違いです。

* JR東日本と合併と簡単に言っても、

 鉄道としてその特性を発揮できそうな、幹線だけに絞られることでしょう。バスで十分なローカル線は北海道や沿線市町村が責任を持てばいいのです。

Posted by: たべちゃん | 2016.02.02 09:23 PM

いずれ、ローカル線の採算が悪化することは
国鉄時代には分かっていたのですから

その時点でルールを作って置くべきでした。

Posted by: フリーダム | 2016.02.08 10:02 PM

 フリーダムさん、こんばんは。

* いずれ、ローカル線の採算が悪化することは

 鉄道としての使命を失ったローカル線に関しては、JRから切り離すことができるようにしなければならないです。

Posted by: たべちゃん | 2016.02.08 10:51 PM

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