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「リレー方式」で博多-長崎間1時間26分

 長崎新幹線を新幹線と在来線でつなぐ「リレー方式」でつくるというは以前に書きましたが、国交省は8日、長崎新幹線を「リレー方式」でつくることを佐賀、長崎両県に提案しました。

 「リレー方式」は武雄温泉-長崎間のみ新幹線で建設し、博多-新鳥栖-武雄温泉間は在来線をそのまま使うもの。現在、最速で1時間48分の博多-長崎間は「リレー方式」により22分短縮し、約1時間26分で結ばれます(武雄温泉で同一ホーム上での乗り換え)。前の記事で書いた1時間35分という試算は遅かったようです。ちなみに、フリーゲージトレインが実用化すれば、博多-新鳥栖間も新幹線を走行するようになり、博多-長崎間の所要時間は1時間20分となるようです。

 車両については、開業当初はフリーゲージトレインの先行車(1~2編成)を2022年度前半に投入しますが、それでは到底本数が足りませんので、基本的には武雄温泉で乗り換えます。武雄温泉での乗り換え時間は約3分です。フリーゲージトレインの先行車は九州新幹線博多-新鳥栖間の運行システム改修が間に合わないため、在来線を走行します。その後、フリーゲージトレインの量産車が2025年春に導入され、全面開業するとのことですが、もしその通りうまくいったとしても、3年程度のためのフル規格新幹線車両をどうやって用意するのでしょうか? フリーゲージトレインの先行車を投入することと並んで、地元のメンツを保つことを主眼にしただけの訳の分からない話です。本来なら、フリーゲージトレインが実用化するまで開業を遅らせるか、フリーゲージトレインをあきらめるかのどちらかですから。

 また、「リレー方式」を採ることによって約70億円の追加工事費がかかります。佐賀県は追加費用を請求せず、フリーゲージトレインが実用化するまで今の特急の本数を維持することを国交省に要請していますが、無茶な話でしょう。長崎新幹線開業により嬉野温泉にも駅ができますから、メリットがないとは言えません。長崎県に頼んで出してもらうならともかく、国に頼むのは筋違いでしょう。運行本数については「かもめ」が移ってくる長崎新幹線については心配が要らないでしょうが、長崎新幹線が通らなくなる肥前鹿島については大きな期待はできないでしょう。

(追記1)
 「リレー方式」にすることによる追加負担約70億円は、実質的に国が負担することになりました。

(追記2)
 博多-肥前鹿島間の特急については、「リレー方式」の運行開始から3年間、上下14本を走らせます。3年を経過した後は上下10本になります。普通列車は現行の水準を維持します。また、「リレー方式」の開業後23年間、JR九州が運行を維持します。
(参考:東京新聞ホームページ http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030902000110.html、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLASJC08H59_Y6A300C1LX0000/、朝日新聞ホームページ http://www.asahi.com/articles/ASJ3R5FPNJ3RTTHB00J.html、産経WEST http://www.sankei.com/west/news/160329/wst1603290056-n2.html、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20160329-OYS1T50000.html)

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Comments

山陽新幹線直通は諦めたのでしょうか?
というか、JR西日本の意見を聞かないのはいろいろマズい気がします。(博多駅乗り入れについても)

Posted by: aqua liner | 2016.03.13 10:56 PM

 aqua liner さん、おはようございます。

* というか、JR西日本の意見を聞かないのは

 在来線ホームに発着する限りは問題ないでしょうが、新幹線ホームに乗り入れるときには、JR西日本にも影響しますので、意見は聞いておいたほうが良いでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2016.03.14 05:43 AM

新幹線の本来の目的・・・それは速達効果を最大限に発揮する事だと思います。

フリーゲージには数百億円、それ以上の費用がスピードアップとは無関係な所に使われます。

特殊車両の購入、博多新鳥栖間のシステム改修等。
わずか6分(リレー式比較)の短縮のために一千億円近く・・・。

費用対効果を出すためにはリレー方式として武雄温泉から南は山陽九州新幹線と同じフル規格の車両を走らせるのが設備を生かすためにも一番だと思います。

リレー方式の区間にフリーゲージの車両は必要ありません。

もう、プライド、見栄は捨ててほしいです。

国、佐賀県、長崎県は新幹線建設の本来の目的をもう一度確認し、規格の見直しを行ってほしいと思います。

目先の事に視点を奪われて将来のための戦略的な思考ができていないように見えるのです。

利用者の気持ち、費用対効果、維持の面を考えるならば初期建設費はかかりますが、全線フル規格が一番シンプルで良いと私は考えます(既に建設した設備を最大限有効活用するためにも)。

Posted by: すみれ | 2016.03.16 12:06 AM

 すみれさん、おはようございます。

* 目先の事に視点を奪われて

 まさにその通りで、フリーゲージトレインなら、単なる「かもめ」の置き換えになってしまいます。フル規格にしないと、山陽新幹線への直通はできません。

* 費用対効果を出すためにはリレー方式として

 ただ永久に乗り換えをさせるわけにはいきません。「リレー方式」はあくまでもフル規格が完成するまでのつなぎで、その見込みがないなら狭軌のスーパー特急で建設するしかないでしょう。

Posted by: たべちゃん | 2016.03.16 07:09 AM

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