三江線、自治体やほかの鉄道事業者が引き継ぐと初期費用30~40億円
利用者の極めて少ない三江線でしたが、なかなか廃止の話は出てきませんでした。ところが2015年にその話が出て、(利用者が少ないことも忘れて)地元は反発しています。
そんな中、4月21日、広島、島根両県、沿線全6市町の首長、JR西日本米子支社の担当者ら約40人が出席して、「三江線改良利用促進期成同盟会」の総会が島根県美郷町で行われました。そこで明らかになったのですが、もし三江線からJR西日本が撤退して自治体やほかの鉄道事業者が引き継ぐと、車両や車両基地の維持管理、運転士の養成などの初期費用が30~40億円かかるようです。また、当然ながら自治体等が引き継いでも三江線は赤字経営です。鉄道を維持するには地元自治体の負担が不可欠です。JR西日本の2013、2014年度の年間支出額(約9億円)から自治体の負担額を算出したところ、一番安いみなし上下分離方式(鉄道設備の所有権は鉄道事業者が持ったままで自治体が維持管理する方式)でも年間約3.7億円、自治体が出資する第三セクター方式だと年間約8.5億円かかります。鉄道設備を自治体が保有し、運行は鉄道事業者に任せる上下分離方式だと年間5.7億円の負担です。どの方法でも地元自治体の負担は大きくなります。
総会ではJR西日本の努力不足を指摘する声が大きかったのですが、輸送密度が50人の鉄道(2014年度)です。人口が希薄なところで、少々努力しても5000人になるようなことはありません。鉄道をあきらめ、コストの安いバスにするのがよいということは言うまでもありません。JR西日本は三江線を廃止し、バス転換した場合、初期費用の約10億円を助成するとのことですが、これの上積みを図ることのほうが、無理に鉄道をJR西日本に押しつけるよりもはるかに意味のあることです。
「三江線改良利用促進期成同盟会」は今後、各市町単位で住民説明会を開くようです。
(参考:毎日jp http://mainichi.jp/articles/20160422/ddl/k32/020/464000c、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99992270S6A420C1LC0000/、JR西日本ホームページ https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/data/pdf/data2015_08.pdf)
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