伯備線をフリーゲージで整備するとさらに遅くなる?
伯備線にフリーゲージを導入して、京阪神との間の速達化を図る動きは以前からあります。岡山で乗り換える必要なく、新大阪から米子、松江、出雲市に直通列車が走るのです。
ところが、岡山、鳥取、島根の3県が調査したところ、フリーゲージを導入すれば、逆に8分程度遅くなるようです。フリーゲージ導入により在来線は15分速くなりますが、新幹線区間では逆に23分も遅くなるのです(フリーゲージは300キロは出せないものの、270キロは出せるのですから、そこまでの差はつかないと思われます。新大阪―博多間でも500系「のぞみ」と300系「のぞみ」の所要時間の差は15分でした(それぞれデビュー時の比較)。しかも山陽新幹線で時速300キロを出すことができるのは、姫路より西です)。フリーゲージだと岡山での乗り換えがいらない分、所要時間の短縮が見込めそうですが、軌間を変える際の低速走行で相殺され、効果がないようです。
しかも、在来線の所要時間が短縮するといっても、大幅な改良が必要です。「やくも」は振り子式、紀勢線の「くろしお」がそうだったように振り子式の効果はそれなりにあり、ただ車両をフリーゲージに変えるだけでは遅くなってしまうのです。多数のカーブ、踏切、橋の改良が必要になり、システム改修などを含めた事業費は約2380億円もするのです。
京阪神と鳥取県を結ぶもうひとつの主要路線としては智頭急行経由もありますが、こちらも約1506億円かけて、現行ダイヤより7分短縮するだけとなっています(新大阪-鳥取-米子間)。山陰にフル規格新幹線をつくるなど夢のまた夢であり(それより優先度の高い路線はいくらでもあります)、厳しいのが現実です(ただし、前述したように、判断に至った根拠があやしいところもあります)。ただ、智頭急行経由だと時速160キロの「中速鉄道」レベルでも何とかなる区間であり(全区間在来線なのに、鳥取での乗り換え時間を無視すれば、岡山経由に比べて所要時間は20分程度しか増加しません。しかも、大阪や三ノ宮から直通できます。鳥取、倉吉、米子、松江、出雲市と山陰の主要都市を串刺しできます)、再検討してもよいところでしょう。
(参考:山陽新聞digital http://www.sanyonews.jp/article/336900、山陰中央新報ホームページ http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=558717106、http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=558846106)
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Comments
関西⇔山陰のアクセス改善は自分も智頭急行の強化が望ましいと思っています.
倉吉止まりのスーパーはくとを出雲市まで延長運転するのが妥当だと思います.これなら現状の線路でも大阪⇔出雲市が4時間半程度になるでしょう.
これなら,記事にもある通り京都や新大阪だけでなく梅田や三ノ宮からも直通できるし,山陰の10万人以上の都市である鳥取,米子,松江,出雲を全て網羅できます.
スーパーはくとを延長した場合,やくもは岡山⇔山陰に特化する事になるので本数も半分でよくなるでしょう.
そしてできれば,当初の計画にあった160km/h化や電化を...というところでしょうか
Posted by: 84axgd86dm70 | 2017.03.27 10:14 AM
84axgd86dm70 さん、おはようございます。
* 関西⇔山陰のアクセス改善は自分も智頭急行の強化が
全線在来線でもそれなりの速さで移動できるのは意外なところです。
* スーパーはくとを延長した場合,やくもは岡山⇔山陰に
「スーパーはくと」を延長した場合、当然ながら「やくも」は減便しなければならないでしょう。
Posted by: たべちゃん | 2017.03.28 06:48 AM