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東海道・山陽新幹線、次期車両はN700S

 以前、このblogでも紹介した、東海道新幹線の次期車両。2020年度に投入されるその次期車両について、JR東海から確認試験車(16両)製作の発表がありました。

 2018年3月に完成する予定の確認試験車は、N700系以来のフルモデルチェンジとなる次期車両に反映する技術の最終確認を行うもの。次期車両の名称は、東海道・山陽新幹線車両として定着した「N700」の名称に「S」をつけて、N700Sとします。「S」とは、N700系シリーズ中、最高の新幹線を意味する「Supreme」(最高の)の「S」です。車両はあとで述べる改良により大幅に軽くなり、16両編成でも700トンを下回るようになりました。N700Aに比べても約20トン軽く、0系と比べると300トン近く軽くなっています。なお、東海道新幹線での最高速度は時速285キロのままです。

 N700Sの主な特徴としては、(1)技術開発による新技術の採用(地震時のブレーキ距離の短縮(N700A3次車よりも5%短縮)や「台車振動検知システム」の機能の向上、駆動システムの大幅な小型化・軽量化) (2)徹底した小型・軽量化による「標準車両」の実現 (3)さらなる環境性能の向上 (4)さらなる安全・安定輸送の実現(車両に搭載している機器の状態監視機能の強化、車内防犯カメラのリアルタイム画像の指令等での確認可能化など) (5)快適性・利便性の向上 です。注目するのは(2)で、小型・軽量化の徹底により、これまで実現できなかった最適な車両の床下配置の実現を行います。16両編成の基本設計をそのまま用いて12両編成や8両編成などにも対応させることができます。これまでは変圧器ありの車両が3種類、変圧器なしの車両が3種類あり、そのままでは12両編成等に短縮できなかったのです。この「標準車両」の実現により、高品質の車両を低コストかつタイムリーに国内外を問わず提供することができるようになります。国内では山陽・九州新幹線用の8両編成(2020年代だと「さくら」等も置き換え車両の話が出てくるでしょう)、海外(テキサス、台湾)への輸出に力を発揮するのでしょうか? 目立つところとしては先頭形状が変わります。N700系を踏襲しつつ、三次元形状を考慮したシミュレーション技術を活用して進化させたデュアル スプリーム ウィング形(双対の翼を広げたような形状です)の採用によりトンネル突入時の騒音を低減し、さらに車体の平滑化や形状見直しにより走行抵抗の低減も図ります。ほかの要素と合わせて、N700Aと比較して消費電力量を7%削減する見込みです。グリーン車にはより制振性能の高い「フルアクティブ制振制御装置」を搭載し、乗り心地の向上を行います(量産車ではさらに気流の影響が大きい先頭の1、16号車、パンタグラフのある5、12号車にも「フルアクティブ制振制御装置」を搭載しています)。モバイルコンセントは、普通車においても全座席に設置します。小型・大容量のリチウムイオンバッテリーの採用により、停電時でも一部のトイレが使えるようになり、時速30キロで走行してトンネルなどから脱出することができます。東海道新幹線で一番長い新丹那トンネル(約8キロ)を抜ける程度の性能を目指すようです。地震などによる停電のほか、車両の検修や整備作業のときにもバッテリーの機能は使われるようです。

(追記1)
 N700Sも定員はN700系などと同じく1323人に揃えています。そのため、定員が減る要因になる荷物置き場の設置はできません。

(追記2)
 N700Sは4両でひとつのユニットを構成しますが、4両編成での運転は想定していないようです。故障の際に動力車ユニットが1組だけではユニットカットでの運転ができないからです。
(参考:JR東海ホームページ http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000030982.pdf、日本経済新聞ホームページ http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04060170U6A620C1TI5000/、Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180101-00010003-newswitch-ind、YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180521-OYT1T50043.html、鉄道ジャーナル」2019年1月号 鉄道ジャーナル社、「鉄道ジャーナル」2020年9月号 鉄道ジャーナル社

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