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JR北海道、秋までに廃止候補路線を公表(続報)

 少し前に書いたこの記事についてですが、JR北海道自ら発表があるなど新たな情報が入りましたので、新たな記事として書くことにしました。

 JR北海道は秋までに自社単独での路線維持が可能な線区と、そうでない線区とを分けることにします。そして、自社単独で維持することが困難な線区については沿線自治体に呼びかけて、線区ごとに協議会などの話し合いの場を設けます。その協議会では、経営状況を開示しながら、どの程度のコスト削減や地元負担があれば路線の維持ができるか説明します。コスト削減等の方法としては、駅の廃止や無人化、貨物全盛期につくられた過大な設備のスリム化、列車の本数等の見直し、特急から快速への格下げ、運賃値上げのほか、上下分離方式の導入などが考えられています。当面の間は協議の期限を設けないようですが、経営状況が経営状況なので、いつまでも先送りにはできません。

 気になるのは、どの路線が自社単独での路線維持が困難なのか、ということ。JR北海道は具体的な基準を明らかにしていませんが、鉄道とバスのコストの比率については説明しています。輸送密度が2000人程度の鉄道でも、バスの2.2倍のコストがかかるとしています。燃料費、乗務員のコストなどの輸送に直接必要な費用は賄えますが、車両の維持や修繕等にかかる費用は捻出できません。ローカル線レベルの500人程度なら、バスの5.4倍もかかるのです。輸送に直接必要な費用すら賄うことができません。原則としてインフラを保有しなければならない鉄道とは違い、バスは車両さえ持っていればいいのです。鉄道は環境にやさしいといわれます。しかし、それはある程度需要があることが前提で、廃止になった江差線木古内-江差間で見れば、1人を1キロ運ぶのに必要なエネルギー量がバス(全国平均)の10倍以上、乗用車(全国平均)と比べても3倍以上します。しかも、バスは大量輸送や高速輸送に不向きですが、経路の変更やバス停の設置がしやすく、交換設備の制約がないことからダイヤを柔軟に変更することが可能という長所があります。

 JR北海道の路線で輸送密度が2000人以上の路線は、札幌近郊を除けば、函館、旭川、釧路へ行く幹線ぐらいです。赤字(経営安定基金運用益などで賄いきれず、毎年180億円程度の経常損失が予想されています)の解消のほか、借入金の返済(ピークの2019年度には借入残高が1500億円に達するとされています)やトンネルや橋などの更新を含めると、年間200億円程度の収支改善が必要だといわれています。輸送密度が2000人未満の路線の赤字額の合計が約200億円で、計算上はそういう路線を根こそぎ廃止すると収支が改善できるのです。

 地元マスコミは相変わらずのんきなことを言っていますが、はっきり言って安泰なのは、札幌近郊か1時間に1本特急が通るような路線ぐらいです。ローカル線を中心に輸送密度は落ち続け、大半は国鉄末期に廃線になったレベルを下回っています。札幌近郊以外は人口が減り、高速道路の整備は進んでいます。中には高速料金が不要なところもあります。それぐらいの認識がないといけないでしょう。
(参考:JR北海道ホームページ http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160729-1.pdf、http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160729-2.pdf、北海道新聞ホームページ http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0297874.html、http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0298769.html、http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0070293.html、苫小牧民報ホームページ http://www.tomamin.co.jp/20160741094)

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