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 渥美半島・伊良湖岬の旅

 風邪も完全に治り、どこかに出かけたくなる気分になる土曜日。1枚の切符を手に旅に出た。目指すは、渥美半島。一足早い春を求める旅だ。

 豊橋から豊橋鉄道に乗る。ここを走っている電車は、一見新車のように見えるが、実は名鉄のお古なのだ。電車のモーターの音がその古さを証明する。30分あまりゴトゴトと進むと、終点の三河田原。

 今日のメインの目的地の伊良湖岬は、ここからバスに乗るのだが、その前にちょっと途中下車。道に迷いながら、なんとかして田原町博物館に着いた。この田原町博物館は田原城跡にあり、幕末の思想家、渡辺華山の遺品を展示している。

 渡辺華山は1793年、江戸に田原藩士の子として生まれ、幼少のころから儒学、蘭学を勉強し、ついには江戸家老になった。また、画家としても優れ、なかには国宝に指定されているものもある。1832年、家老になった華山は外政内政ともに優れ、天保の大飢饉のときでも1人の餓死者を出さなかったという。この華山に大きな嵐がやってくるのは1839年のことであった。蘭学者の勢力が強まるのを恐れた幕府は、華山や高野長英などの蘭学者を捕らえた。これが世に言う「蛮社の獄」である。藩主に迷惑をかけたくなかった華山は1841年、自殺した。わずかに48歳であった。

 じっくり博物館の展示を見ていると、時間が経つのは早い。伊良湖岬へのバスの時間が近づいたので、駅に戻ることにする。さすがに今度は、迷わずに行くことができた。

 三河田原駅前からバスは発車する。しばらく進むと、右手に海が見えてくる。久しぶりに見る海だ。バスは国道沿いの道をこまめに停まる。観光地へ行く路線だが、地元の生活のためのバスなのだ。三河田原から50分で、伊良湖岬のフェリーターミナルに到着。このフェリーターミナルは、「伊良湖クリスタルポルト」という名前の、道の駅になっている。伊良湖岬の観光はここが起点となる。

 伊良湖岬で小さなバスに乗り換えた。名を「フラワーシャトル」といい、フラワーパークに向かう。先ほどのバスとは違い、このバスは大混雑。私と同じように「2DAYフリーきっぷ」(名鉄・豊橋鉄道など、名鉄グループ6社乗り放題。2700円。冬季のみ販売)を持っている人が多い。

 バスを途中で降り、今度は歩いてフェリーターミナルに戻る。砂浜の海岸を歩くが、とても歩きにくい。どうやら、道に迷ったらしい。「この先どうしようか?」と思ったが、やっとの思いで国道沿いの歩道に出ることができた。ここからの道は楽。小ぶりな伊良湖岬灯台をまわって、フェリーターミナルに戻った。

 フェリーターミナルのレストランでお昼ご飯。3階のレストランでは「菜の花まつり」に因んで、「菜の花ランチ」がある。それを注文した。「菜の花ランチ」はどのメニューにも菜の花が添えられている。目では菜の花を見ることはできなかったが、テーブルの上はすでに春。おなかもいっぱいで、すっかり満足した。

 フェリーの出発まで時間があるので、1階の「やしの実博物館」で時間をつぶす。世界のさまざまな椰子の実を展示しているほか、渥美半島の自然や文化についても触れられている。大した内容ではないが、暇つぶしにはなる。

 フェリーの出航時間が近づいた。ここから知多半島の南端の師崎まで約40分間の船旅である。朝早く出かけたので、ちょっとしたお昼寝タイム。でもすぐに篠島や日間賀島が見えてくる。もう師崎に着いたのだ。陸上ではかなり遠そうに見える、渥美半島の先端と知多半島の先端は、実はかなり近いのだ。あとはバスと電車を乗り継いで、名古屋に戻るのみ。名古屋に近づくにつれ、急行電車の客はだんだんと増え、車窓にはビルしか見えないようになった。(終わり)

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↑恋路ヶ浜

伊良湖岬のシンボル、伊良湖岬灯台↓

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↑師崎と伊良湖岬を結ぶフェリー

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