大阪市営地下鉄の民営化、ついに実現か?
継続審議が続いていた大阪市営地下鉄の民営化ですが、大きな動きが出てきました。
それは、これまで民営化に反対し続けていた自民が、条件付きながら大阪市営地下鉄の民営化に向けた基本方針案に賛成の方針を示したこと。今回賛成に転じた自民党市議団(20人)に加えて、もともと賛成だった大阪維新の会(37人)、公明党(19人)と合わせると、2/3を明らかに超えます。大阪市営地下鉄の民営化に向けた基本方針案は過半数の賛成で可決できますが、市営としての地下鉄事業を廃止する議案は2/3以上の賛成が必要です。基本方針案は9月に、廃止議案は2017年2月に可決される見込みで、民営化は2018年4月になるようです。
もっとも、自民党が賛成に転じたのですが、裏があります。民営化されると未着工路線が整備されなくなるという懸念がありますが、未着工路線整備に向けた基金創設、新会社の株式は当面の間大阪市が100%を保有、市バスの子会社化、事業計画などの議会報告を義務化、交通政策を担う新たな部局の設置、新会社の社長人事に大阪市が関与する、関西電力株など事業用資産以外は大阪市に残す、など12の条件を吉村大阪市市長に求めます。吉村市長もそれを受け入れる方針です。ところが、未着工路線とは今里筋線のこと。再三、「採算に問題あり」と言われている路線です。こういう赤字路線を押し付けてはいけません。
こう考えると、民営化しても独立した状態にならず、政治の悪影響を受けてしまいます。望ましい民営化の姿とは言えません。
(追記)
吉村大阪市長は、9月29日、今里筋線延伸のための総額500億円の基金創設以外の11の条件について、受け入れる考えを示しました。その基金についても、交通政策全般に活用できるよう、100億円規模のものを創設します。この基金を使って、今里筋線の延伸区間でバス専用道などの社会実験を行います。確かに地下鉄は不要でしょうが、バスでは需要があるところなので、バスに磨きをかけることは必要でしょう。
しかも、今里筋線の将来的な延伸までは否定していないことから、自民党側もこれを評価しているようです。
(参考:YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20160823-OYO1T50002.html、http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20160830-OYO1T50000.html、http://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20160929-OYTNT50260.html、産経WEST http://www.sankei.com/west/news/160829/wst1608290078-n1.html)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 中央線のグリーン車は10月13日から(2024.09.11)
- 小田急、新型「ロマンスカー」投入(2024.09.10)
「大阪市高速電気軌道」カテゴリの記事
- Osaka Metroと北大阪急行、乗継割引を拡大(2024.07.21)
- 中央線の支線は15分間隔で線内折り返し(2024.07.05)
- 箕面萱野に行ってきました(2)(2024.05.08)
- 箕面萱野に行ってきました(1)(2024.05.07)
- 箕面萱野に行ってきました(0)(2024.05.06)
Comments
>こう考えると、民営化しても独立した状態にならず、政治の悪影響を受けてしまいます。望ましい民営化の姿とは言えません。
橋下市長時代に、自民は民営化に反対していた経緯もありますから、同じ案に賛成と言えば、過去の反対は何だったと言われかねません。
原案とは違うものになるのは致し方ありません。
Posted by: かにうさぎ | 2016.09.03 11:17 AM
かにうさぎさん、こんにちは。
* 原案とは違うものになるのは致し方ありません。
よいほうに改善されるならともかく、政治の介入を招くという意味では評価できるものではありません。
新線建設の是非は政治力でなく、利用者がどれくらいいるかで評価しなければなりません。
Posted by: たべちゃん | 2016.09.03 11:50 AM