神戸電鉄粟生線、志染以東も昼間は1時間に1本で十分?
神戸電鉄粟生線はそれなりに利用者がいるにもかかわらず、多額の赤字が出ているので、廃止の話が出ています。2012年度から5年間、神戸電鉄のさらなる自助努力と沿線3市(神戸、三木、小野)による利用促進を前提に、関係自治体が新たな支援を行うという支援スキームを行っていますが、今年度がその最終年度です。その粟生線ですが、現状はどのようになっているのでしょうか? 古い資料ですが、見ていくことにしましょう。
以前にも書きましたが、粟生線の利用者は減り続けています。2014年度の利用者は対前年比2.5%減の656万人、ピークの1992年度の1420万人に比べて46%にまで減少しています。第2次粟生線地域公共交通総合連携計画によれば、輸送人員の目標は700万人ですが、このままだと2017年度以降に500万人台にまで減るといわれています。
経常収支はどうでしょうか? こちらはあまり悪化していないようです。2001年度から11年連続で10億円以上の経常赤字が続いていましたが、2012年度以降は支援スキームと自助努力によって、経常赤字は10億を下回っています。しかし、支援スキームの策定時には予測していなかった電気料金の値上げ(2013年6月の値上げ等で全線で約3億円のコストが増えました)があり、経常赤字は約9~10億円の範囲にとどまっています。神戸電鉄として取りうるコスト削減策は、さらなる運行本数の減少ぐらいのようです。
そして、気になるのが利用状況。結構厳しいようです。1時間に4本維持されている西鈴蘭台-志染間でも、閑散時間帯は1時間に1本程度で足りるぐらいの利用状況です。押部谷以西の三木市、小野市域では、輸送密度が4000人以下にまで減少し、バスでもなんとかなる程度ぐらいになっているようです。
先ほども述べたとおり、今年度が支援スキームの最終年度です。2017年度以降をどうするかという動きが今後出てくるでしょう。地元が積極的に支援して鉄道を維持するか、赤字の額にとらわれて鉄道の廃止を容認するか、動きを注視していきたいところです。もちろん、望ましいのは、それなりの利用者がいることですから、地元の積極的な支援によって鉄道を存続させることです。
(参考:神戸電鉄粟生線活性化協議会ホームページ http://www.aosen-kasseika.jp/material/img/27/08-2.pdf)
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Comments
「粟生線の廃止」というニュースはシミュレーションであっても見てみたいものです。地元が試算を受けて「廃止しても大して悪影響がないな」と判断したら…、ビーチング・アックスならぬ妖刀・粟生が日本の鉄道を斬り倒していくことになるんでしょうか?
Posted by: 日置りん | 2016.09.02 07:37 AM
日置りんさん、こんばんは。
* 「粟生線の廃止」というニュースは
三江線のようなバスでも過大なぐらいのローカル線とは違い、神戸電鉄粟生線はバスでは厳しいでしょう。バスで十分な程度の需要しかなかった三木鉄道とは違うのです。
Posted by: たべちゃん | 2016.09.02 10:15 PM
もともと、粟生線の沿線地域は、昭和期の高度成長・バブルの時代に開発された住宅地です。
今後、人口の都心回帰が進めば、若年層の流出・高齢化により、路線の維持が一層困難になることが予想されます。
加えて、鈴蘭台までの急勾配に対応した特殊車両が必要なこと、車両が古い等イメージの悪さ、新開地止りの不便さ等により、三ノ宮直通の神姫急行バスや、西神中央からの神戸市営地下鉄に利用者を奪われている現状です。
>バスで十分な程度の需要しかなかった三木鉄道とは違うのです。
鉄道に並行する代替バスならそうでしょうが、バスの機動性を生かし、色々な行先(三ノ宮・神戸駅・明石・西神中央・大阪等)設定すれば、代替不可能とも言えません。
Posted by: かにうさぎ | 2016.09.03 11:13 AM
かにうさぎさん、こんにちは。
* 今後、人口の都心回帰が進めば、若年層の流出・高齢化に
神戸電鉄の沿線は神戸市内からも遠いので、これから家を買う人の選択肢から除外されてしまうでしょう。
* 鉄道に並行する代替バスならそうでしょうが、バスの機動性を
三宮へ直通するバスなどは今でもあります。三木市あたりが衰退するという前提で(小野市の鉄道需要は加古川線で賄う)解決してしまうというシナリオは確かにあります。
Posted by: たべちゃん | 2016.09.03 11:48 AM