« 関空に連節バス | Main | 台湾の鉄道に家族連れ車両 »

JR貨物も上場か?

 JR九州が上場した今、残るJR3社(北海道、四国、貨物)のうち、一番上場に近いのはJR貨物と言われています。

 そのJR貨物ですが、好調のようです。トラック運転士が不足しているため、これまでトラックで運んでいたものを鉄道に切り替える動きがあるようです。鉄道なら、1人でトラック何台分の貨物も運ぶことができるのです。

 JR貨物の2017年3月期の経常利益は前期より約3割増え、80億円を上回る見通しです。これまでの最高はバブル時代の1991年3月期の74億円でしたが、それを越えたのです。鉄道事業だけでも3億円の黒字です(前期は33億円の赤字、東京-大阪間などの増発が功を奏しているようです)。鉄道事業が黒字になるのは、分割民営化以来初めてのことです。最終利益は過去最高の約110億円となる見通しです。2016年4月の熊本地震や、北海道にいくつもの台風が来て線路が寸断されるというマイナス要因がありましたが、コストの削減でしのぎました。

 今後は経常利益を2019年3月期に100億円台に引き上げ、上場を狙いますが、ここでネックになるのは線路使用料の問題。JR貨物は一部の路線を除き、JRの旅客鉄道会社の線路を借りますが、その使用料が安めに設定されているのです。アボイダルコストルールという名前で、貨物列車を走らせることによって追加的にかかる費用のみを負担しているのです。整備新幹線開業によってJRから分離された並行在来線会社の場合は、並行在来線会社の経営基盤が弱いことから、国が貨物調整金を払うことで対応しています。このルールだとJR貨物にかなり有利になり、旅客鉄道会社は損をします。貨物列車は重いので、ほかの列車以上に線路が摩耗し、維持コストがたくさんかかります。特に経営が厳しいJR北海道はこのアボイダルコストルールの改定を求めていて、線路使用料が改定されれば、一気にJR貨物の経営が苦しくなります。JR貨物にとって、上場をするうえでの大きな問題と言えるでしょう。
(参考:日本経済新聞ホームぺージ http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ31I0P_R30C17A3EA6000/、産経ニュース http://www.sankei.com/economy/news/170331/ecn1703310011-n1.html、「週刊ダイヤモンド」2017年3月25日号 ダイヤモンド社)

| |

« 関空に連節バス | Main | 台湾の鉄道に家族連れ車両 »

鉄道」カテゴリの記事

JR貨物」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference JR貨物も上場か?:

« 関空に連節バス | Main | 台湾の鉄道に家族連れ車両 »