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片上鉄道に乗る

 4月2日のことですが、片上鉄道に乗ってきました。


 かつて片上鉄道という鉄道があった。柵原鉱山から出た硫化鉄を運ぶ目的でつくられ(1931年全線開通)、貨物や旅客を運んできたが、肝心の鉱山がなくなり、1991年に廃止された。現役時代には乗ることはなかったが、終点に近い吉ヶ原付近が整備され、片上鉄道保存会によって毎月第一日曜日は乗ることができる。翌日は仕事がある日曜日なので行きづらいところだが、このままだと行かず仕舞いになってしまうので、今回行くことにした。

 行きは夜行バスにしてもよかったが、思い立ったときにはすでに満席で予約できず、前日(1日)の夕方から「青春18きっぷ」で西に向かう。相生駅前のホテルに泊まった。相生の駅は本当に新幹線が停まるのか、と思えるような小さい駅。駅を出てすぐのホテルに泊まる。5階だったので目線が新幹線のホームだった。時折通る貨物列車の音が子守唄か。

 相生5:49発の岡山行きに乗る。真っ黄色に塗られた115系の3両編成だが、車内は転換クロスシートに改造されている。相生を出た時点で2人掛けシートに1人ずつ座っている程度の混み具合。岡山近郊で乗るのかと思ったがそうではなく、立つ人もいるが、詰めれば全員座ることができるぐらいだ。

 岡山からは路線バスの乗り継ぎ。まず駅前のバスターミナルから、宇野バスの7:21発ネオポリス東6丁目行きに乗る。朝に都心から離れる便のため、バスには5人程度しか乗っていない。時折乗降が見られる。赤磐市に入り、パークアンドバスライドのある新道穂崎で乗り換え。宇野バスでは「ICOCA」は使えないので現金で払う。340円と結構安い。

 新道穂崎から乗るのは7:55発の赤磐市広域路線バス林野駅行き。かつては宇野バスが林野まで走っていたが、今は一部を除いて途中止まりとなり、先のほうは市のバスに委ねている。新道穂崎での接続時間は4分しかないが、バス停の掲示によれば、遅れた場合でも接続を取るようだ。時間になってワゴン車がやってくる。新道穂崎で降りた3人とここで合流した友人の4人が乗る。途中での乗り降りの動きはあるが、始発から乗った4人は変わらない。赤磐市をようやく抜け、美咲町に入ったところにある高下で、その4人が全員降りる。

 中鉄北部バスのバス停は宇野バス(赤磐市広域路線バスも含む)のバス停から少し歩いたところにある。事前に知っておかないとわからない。定刻(8:58)になって津山方面からバスがやってきて、4人とも乗車。時折細い旧道に入りながら15分ほど走り、吉ヶ原で4人とも降りた。かつて片上鉄道の駅があったところだ。

 片上鉄道保存会による展示運転の始発は10時、まだ45分ほどある。時間があるなら、先になぜ柵原に鉄道が来たのかを勉強しておこう。すぐ近くの柵原鉱山資料館に行く。ここで鉱山のほか、片上鉄道についても勉強しておく。気がついたら始発の10時を過ぎていた。

 駅に戻って300円で「一日会員証」を買い求める。これが展示運転の一日乗車券となっている。乗客として片上鉄道の保存に貢献しているということだそうだ。10:35発の黄福柵原行きに乗る。黄福柵原は展示運転開始後に線路を伸ばしてつくった駅である。現役時代にはなかった駅である。吉ヶ原10:35発は2両編成。前にある、1953年製につくられた片上鉄道オリジナルの車両、キハ312に乗る。黄福柵原でしばらく停まった後、吉ヶ原に向けて走り出す。帰りに乗ったのは、2両編成のもう1両、1936年製のキハ702。背の低いセミクロスシートであることは同じだが、こちらは3扉(キハ312は2扉)。吉ヶ原に戻った後も、黄福柵原との間を何往復もする。

 そうこうしているうちにお昼になった。吉ヶ原で販売している弁当にしようかとも思ったが、売り切れ。しかし、たまごかけごはんの店が歩いて7〜8分のところにあるようなので、そこに行くことにする。たまごかけごはんは岡山県美咲町出身の明治を代表するジャーナリスト、岸田吟香が広めたと言われている。これを6種類のタレで食べるのだ。注文したたまごかけごはん定食には黄ニラ水餃子もあるが、黄ニラは鉱山跡の坑道内で光を浴びずに育てられたものである。天気がいいのか、サイクリングの客が目立つ。

 吉ヶ原を後にする。時刻表を見る限りでは吉ヶ原を通るバスは中鉄北部バスだけだが、実は中鉄北部バス以外にもあるようだ。コミュニティバスの類や「津山まなびの鉄道館」のバスもあるようなので、事前に調べてから行ったほうがよさそうだ。私たちは予定通り、吉ヶ原14:23発の高下行きに乗る。3人が乗車。このまま15分ほどで高下に着くが、接続のバスは1時間以上後。周囲には中華料理屋が1軒あるのみ。橋を渡って20分ほど、赤磐市の周匝<すさい>いうところに行く。ここは旧吉井町の中心だったところで、今日は日曜なので使えないが、平日と土曜は和気へのバスも出ている。ここ周匝にはスーパーもあり、買い物もできる。廃線跡らしきものも見つかった。

 周匝からは宇野バスに乗る。周匝15:40発の林野駅行きは10分あまり遅れてやってきた。終点の林野駅では駅から少し離れた、いつつぶれてもおかしくないような車庫で降ろされる。JRの駅に行く。林野は簡易委託で、事務室には旅行会社が入っている。人気がないので日曜は終日無人かと思ったら、駅員が出てきた。駅の周りには開いている店は全くなく、土産を買うことができない。美作市の代表駅とは思えない状況だ。改札を通ってホームに行く。交換設備が撤去され、1番線のみ。

 林野16:52発の佐用行きはキハ120の1両編成。ただし座席は埋まっていて途中まで座ることができなかった。それだけの需要があるわけではなく、単に「青春18きっぷ」のシーズンだからかもしれない。佐用で乗り換え。同じ1両編成だが、キハ120からキハ122に変わる。姫新線の改良時に投入された、転換クロスシートの車両だ。車両にステップがなく、ホームもかさ上げされている。線路も改良されたようで、カーブでもすいすい走る。播磨新宮でまた乗り換え。同じキハ122だが、今度は2両編成。座席が増えてようやく座ることができる。姫路に近いので客もだんだん増え、再び立つ人も出てくる。

 このまま新快速などを乗り継いで名古屋まで帰ってもよかったが、それでは到着がかなり遅くなってしまう。「青春18きっぷ」を捨てて新幹線に乗る。「エクスプレス予約」で検索したところ、「さくら」と「のぞみ」の乗り継ぎが指示されたので、それにする。10分あまりの乗り継ぎの時間で夕食の駅弁とお土産を買い、ここで友人と別れて「さくら562号」に乗る。九州新幹線用のN700系だが、JR九州の車両である。4列シートの車両に15分しか乗ることができないのは残念だ。新神戸で「のぞみ184号」に乗り換え。臨時列車のため、古い700系だった。
(参考:「たまごかけごはんの店 〜らん〜」でもらったチラシ)

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