長崎新幹線、2022年度のフリーゲージトレイン導入は断念したが
運営事業者のJR九州から厳しい意見が出されても、国としてはあきらめきれないフリーゲージトレイン。
ただ、フリーゲージトレインの技術がまだ確立されていないことは明らかです。国交省は2016年12月から2017年3月末までの間、走行実験を行い、車軸の摩耗の状態を調べました。6本の車軸、合計12か所を分解したところ、8か所で摩耗が見つかったのです。摩耗の大きさが1/100近くになるなど、以前よりは改善されているようですが、それでも2か所は耐久性に問題がある水準(60万キロの走行に耐えることができない)とされています。
さすがにこの状況では、車軸の摩耗対策はまだまだ必要となります。国交省も2022年度に「リレー方式」で暫定開業すること自体は変えませんが、その2022年度にフリーゲージトレインを導入することは断念しました。2025年度に量産車を導入して、フリーゲージトレインを本格的に運行することもあきらめています。どちらも年単位で遅れることになるようです。
フリーゲージトレインにはもうひとつ、課題があります。製造や維持管理にかかるコストが高いことです。従来、新幹線車両の2.5~3倍とされていましたが、特殊な高価な部品の再利用を進めることによって、1.9~2.3倍に抑えることができるようです。ただ、それ以上のコスト削減は難しいようです。フリーゲージトレインのコストが高いことは、運営するJR九州にとっては大きな問題です。7月中に地元佐賀、長崎県のほか、JR九州にも意見を述べる機会があります。そのときにJR九州は独自の試算を与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム検討委員会に伝えます。
(参考:長崎新聞ホームぺージ http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2017/07/15090950051896.shtml、東洋経済ONLINE http://toyokeizai.net/articles/-/180747?page=2)
| Permalink | 0
「鉄道」カテゴリの記事
- 「THE ROYAL EXPRESS」は四国へ(2023.03.29)
- 名鉄、2024年春に値上げか?(2023.03.28)
「整備新幹線」カテゴリの記事
- 北海道新幹線、札幌の車両基地は高架上(2023.02.26)
- 貨物新幹線を導入するかどうかは2030年に決定(2023.02.05)
- 余市-小樽間の第三セクター化試算、経費を過大見積もり?(2023.03.03)
- リニアができれば静岡を通過する新幹線はなくなる?(2023.01.25)
- 北陸新幹線、2023年度初めの新規着工はなし(2022.12.25)
Comments