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中国地方のローカル線の現状を見る(4)

 帰りはバス。広島中心部へのバスは日中でも1時間に10本ほどある。とりあえず17:40ごろにやってきた広島交通のバスに乗る。座席はほぼ埋まっている。途中の乗り降りも盛んで、よく使われているのがわかる。バスはすれ違うのも難しそうな細い道も通る。途中までは乗り降りはあるものの、座席が埋まる程度の混み具合であったが、中心部に近づくと増えていく。立っている人で、外が見えなくなるほど。ところでこのバス、広島に行くことはわかっていたが、どこを通るのかはわからない。答えは意外だった。54号線(アストラムが走る道路)より西の183号線を通って、横川を経由するのだ。思っていたよりかなり西側を通っていたのだ。バスは広島駅行きで、路面電車の軌道に沿って走り、紙屋町、八丁堀で客を降ろしていく。渋滞していたようで可部から八丁堀まで1時間かかった。所定では40分のところだ。私も八丁堀で降りたが、泊まるホテルは白島にあるので、130円払って路面電車に乗る。八丁堀18:40ごろの白島行きに乗ったが、枝線であるにもかかわらず座席はそれなりに埋まっていた。白島からホテルに向かう途中で見つけたお好み焼き屋で夕食にする。

 日付が変わって、翌日の16日、土曜日。台風が近づいているので、それを気にしながらの旅となる。ホテルからは直接新白島に行ったほうが速いのは明らかだが、明るいうちに白島線に乗りたかったので(前日に白島線に乗ったときは真っ暗だった)、白島から八丁堀、本通を経て新白島に行く。路面電車2本とアストラムの乗り継ぎだ。白島6:43発の八丁堀行きに乗る。八丁堀までの運賃を「ICOCA」で払い、同じ「ICOCA」で乗り継いだ2本目の運賃を払えば、自動的に乗り継ぎ運賃が適用される。初乗り運賃を二度払わなくもよいのだ。支線の白島線とは違い、本線系統は単車でも比較的新しい車両が多い。八丁堀から乗ったのは連節車だった。カーブを曲がって本通でアストラムに乗り換え。

 地下区間を3駅だけアストラムに乗って、新白島でJRに乗り換える。新白島7:26発の岩国行きは227系の6両編成。アストラムもそうだったが、JRも休日なのに高校生が多い。混んでいるのでしばらく経って空いてから朝食のパンを食べることにする。それにしても少し前まで旧型ばかりだったのに、今ではステンレスの新型が圧倒的で、国鉄型はむしろ少数派。しばらく来ない間に大きく変わったものだ。

 岩国で錦川鉄道に乗り換え。8:29発の錦町行きは1両編成のワンマンカーだが(水色がベースの「せせらぎ号」)、中ほどは転換クロスシートで小さなテーブルもある。10人で発車したが、(錦川鉄道になる前の)西岩国で早速4人、次の川西で2人降りる。新幹線接続駅の清流新岩国では反対に乗る人がいたので客は8人になる。列車は川に沿って走り(進行方向右側に川がある)、眺めのよいところは途中で徐行する。駅に到着するときは接続するコミュニティバスの案内があり、鉄道とバスの連携は取れているようだ。ほかの駅でもわずかながら乗り降りがあり、錦町には8人で到着。駅脇の車庫には烏山色のキハ40も停まっていた。

 錦川鉄道の前身、国鉄岩日線は錦町までの枝線をつくるつもりで建設した鉄道ではなかった。岩日線の岩は岩国、日は山口線の日原を指す。瀬戸内と山陰とを結ぶ、陰陽連絡鉄道のひとつとしてつくられたのだ。ところが錦町まで開業し、そこから先の六日市までをつくっている途中で建設が中止されてしまったのだ。とは言っても途中まで工事は進んでいる。そのすでにできあがった区間を活用してつくったのが、これから乗る「とことこトレイン」というもの。錦町で降りるときに錦川鉄道の運転士に「とことこトレイン」に乗る旨を告げて証明書をもらい、それを駅隣の販売所に見せると、「とことこトレイン」の運賃が150円引きの500円になる。駅の少し先にある乗り場に着くと、そこに停まっていたのはかつて愛知万博で見た、「グローバルループ」だった。台風前なので客は少なく、5人だけ。「とことこトレイン」は雙津峡温泉までの6キロほどの距離を40分かけて走る。鉄建公団のつくった路線らしく、トンネルが多い。それを逆手にとってトンネルに特殊な石を飾り、特殊な光を当てることによってトンネルの中がイルミネーションになる。「とことこトレイン」はトンネルの中で停まるので、イルミネーションをじっくりと見ることができる。

 「とことこトレイン」の走る区間には駅の設置計画があった。つくりかけの駅を通過する。雙津峡温泉までの間に2駅つくる予定だったが、そのうちひとつはつくりかけで、もうひとつは何もつくっていなかった。よって後者はどこが駅の予定地であったかは、「とことこトレイン」に乗るだけではわからない。それにしても乗り心地は悪い。特にコンクリート舗装の部分はひどい。そうこうしているうちに、雙津峡温泉に到着。そのまま折り返すのはおもしろくないので、帰りは路線バスにするが、1時間余り時間がある。近くにある温泉に入る。今日(16日)は夜行バスに乗るので、風呂に入ることができないかもしれない。早いけれど温泉に入ることにしよう。駅から川を渡り、対岸の少し坂を登ったところにある、日帰りの温泉に入ったが、飲むこともできる、源泉かけ流しの温泉だった。眼鏡をかけていないのでよくわからないが、ずっと英語で話を続けている男がいる。日本を訪れる外国人が多くなったとはいえ、ここまで来るのは驚きだ。

 バスの時間が来たので温泉を出て、バス停に行く。定時の11:52発のバスが来たが、白ナンバーで、誰も乗っていない。7分で道の駅に到着。私が降りるとまた無人のバスになる。錦町までの途中で降りたので、正確な比較はできないが(バスを降りた道の駅は、先ほど述べた、つくりかけの駅のあたり)、明らかに「とことこトレイン」よりは速い。次に乗るバスは30分ほど後、その間に鮎御飯などを買って昼にする。道の駅12:31発のバスが少し遅れてやってきた。錦町と六日市を結ぶバスは1日5往復あるが、毎日走るのは朝(六日市行き)か晩(錦町行き)の1往復だけで、昼間の便のうち3往復は週3日のみ、泊まらなくても使えるのは昼ごろの1往復だけだ。この昼ごろの1往復は日祝を除いて毎日走る。これも道の駅まで乗ってきたのと同じ白ナンバー、しかも先ほどはバスらしい車体であったが今度はワゴン車、そして誰も乗っていない。これから乗るバスは県境を越える、コミュニティバスとしては珍しいもの。ガラガラだったら廃止になってもおかしくないのだが、運転士の話によれば、六日市への通院需要があるらしい。岩国に行くよりは近いかららしい。(続く)
(参考:「岩日北線記念公園のご案内」(「とことこトレイン」乗車時のパンフレット))

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