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中国地方のローカル線の現状を見る(2)

 夜明け前の浜田から14日の旅が始まる。浜田から列車に乗るのだが、浜田も早朝夜間は無人駅となる。石見地方の中心であるこの浜田で無人なら、いったいどこが有人になるのか? 浜田から乗った5:20発の普通はキハ47の2両編成、終点の出雲市に着くころには通学にいい時間だからか、ワンマンではない。まだ真っ暗な浜田を出発する。

 明るくなった江津で三江線に乗り換え。セミクロスシートのキハ120を2両つないでいる。前は石見神楽のラッピング、後ろは三江線色の車両だ。ワンマン運行のため、後ろの車両の扉は終点まで開かない。パラパラと6人が乗った。どう考えても三江線の廃止を聞きつけて来た客で、地元の人はいない。列車は川を左に見ながらノロノロと進む。最初に交換することができる石見川本でも、交換する列車に乗っていたのは2人のみ、浜原始発のため少ない。浜原で交換したのには(三次始発のため)15人ほど乗っていた。今乗っている江津からの列車よりも明らかに多い。どちらも5時台に出る列車だが、三次発のほうが乗っているのは、江津よりも三次のほうがホテルなどの施設が充実しているからだろうか?

 浜原まではノロノロと走っていたが、浜原からは線路がよくなったためか、急に速くなる。さすが鉄建公団のつくった区間だ。長い階段を登らないとホームにたどり着くことができないことで有名な宇津井には2分停まる。本来はすぐに発車するのだが、特別に長く停まるのだ。もちろん、本来のダイヤにはない。口羽あたりからは日常的な利用があるためか、乗る人がいて(それまでの日常的な利用者は、石見川本で降りた女子高生など3人ぐらい)、三次到着時点では15人ほどになる。

 次に乗る列車まで3時間半余りあるので、駅を出て左側にある観光案内所で自転車を借りる。4時間までで200円、重たい荷物をかごに入れることができるのも自転車を借りるメリットだ。目指すは市街を見渡すことができる尾関山。途中、三江線の尾関山に寄って、三次まで乗ってきた列車の折り返しとなる、三次10:02発の石見川本行きを見送る。2両編成の列車にぎっしりと40人ぐらいが乗っている。石見川本で1時間半ほど待たないといけないとはいえ、一番時間帯がいいので混むのであろう(ちなみに1時間半ほど待つ石見川本は、ちょうどお昼どきにかかるので、特需を生み出しているものと思われる)。平日の「青春18きっぷ」のない時期でこれだと、休みの「青春18きっぷ」のある時期は恐ろしいことになる。すでに数字に現れており、2016年の時点で三江線の輸送密度は2015年度よりも4割増え、83人にもなっている。廃止の話が出ると起こる現象だが、この調子だと最終年度の2017年度の数字はどうなるのだろうか? お昼は名物のワニの刺身、ワニとはサメのことである。もちろん、海に住んでいる。それなのにこんな海から離れているところの名物になっているのは、サメが日持ちするからだ。サメにはアンモニアがあり、保存の技術がなかった時代でも三次まで持ってくることができたからなのだ。サメを食べるのはもちろん初めてだが、少し筋があると感じたくらいで、特にくせはない。三次13:01発の備後落合行きに乗る。備後落合まで行くのは、三次6:55発の始発以来、2本目。ロングシートのキハ120が1両で走るが、トイレはついている。三次を出た時点では4人だけだったが、塩町(福塩線からの接続はない)や備後庄原から乗る客がいて、8人になる。そこからは若干減り、備後落合到着時には5人だった。

 14時台の備後落合は新見、三次、宍道からの列車が集まり、また去っていくゴールデンタイム。しかし、木次線は月1回の保守の日。日中は列車が走らず、バスで代行輸送を行う。代行バスは駅前から出る。しばらくしてジャンボタクシーがやってきた。タクシー会社の運転士のほかにJRの係員も乗っていて、行き先を告げて乗る。8人しか乗ることのできないジャンボタクシーに6人乗る。定刻になり代行バスは国道を走るが、はっきり言って鉄道より代行バスのほうが速い。所定のダイヤより早く到着して、時間調整をする。おろちループで徐行する余裕がある。係員が駅を見回して、乗る人がいないのを確認してから発車する。ただし、途中駅では少し早目に来て乗る意思を見せておいたほうがよさそうだ。なお、出雲横田から三井野原までは路線バスが1日6往復している(平日の場合)。備後落合まで伸ばしたら、鉄道の代わりになりそうだ。大体25キロ制限のある鉄道を無理に存続させる経済的かつ社会的意義はすでになく、ましてや民間企業のJRに押し付けることはできない。それなりに需要があれば第三セクターで残せばいいが、それでも無理なくらいの需要ならバスでコストを抑えたほうがよい。鉄道には新幹線のような高速輸送か、大都市圏の通勤鉄道のような大量輸送を担わせるのが適当で、わざわざ不得意なローカル輸送をさせる必要はない。話を元に戻す。代行バスは各駅で時間調整をするため、駅を見学する余裕がある。鉄道に乗ることができないのは残念だが、代行バスもまた楽しからずや、といったところか。三井野原で親子連れが降りた以外動きなく、残り4人が終点の出雲横田まで乗る。律義にメーターが回り、出雲横田に着いた時点では6.5万円余りとなっていた。

 出雲横田からはキハ120、木次色が1両で走る。ロングシートだ。出雲横田を出た時点では5人乗っていた。次の亀嵩はそばで有名な駅、電話で予約すればホームまで配達してくれるが、何回かけても電話がつながらない。臨時休業だったようだ。どこか忘れたが途中の駅で場違いとも言えるようなスーツ姿のビジネスマンが乗ってきて、客数が少し増える。拠点駅の木次(ここから本数が増える)で18分停車する。停車中に乗客が10人に増える。出雲大東でも8人ほどだが高校生が乗ってくる。

 宍道で乗り換え。今日の最後の列車、普通米子行きは向かいの2番線からの発車。本来の1番線ではない。1番線に入ってきたのは何と「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」。実物を見るのは初めてだ。食堂車では優雅に食事を楽しんでいる。宍道17:40発の米子行きはキハ47の2両編成。夕方のラッシュ時のため、車掌も乗っている。ボックスシートも満席ではないが埋まっていて、ロングシート部分にも座っている人が多い。松江で通勤帰りのサラリーマンなどがたくさん乗り込み、立っている人が多くなった。しかし、駅に停まるごとにだんだん減っていき、米子では宍道を出たときの状態に戻る。泊まったのは駅前のホテル。パソコンを持ち込まなくても、特別料金なしで客室でもインターネットが使えるのは便利だ。旅先だとインターネットで調べることも難しくなるからだ。(続く)
(参考:JR西日本ホームページ http://www.westjr.co.jp/company/info/issue/data/pdf/data2017_08.pdf)

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