中国地方のローカル線の現状を見る(1)
日が変わる直前の名古屋駅から乗ったのは、両備バスの高速バス、「リョービエクスプレス名古屋号」。平日の中程なので、1/3ほどしか乗っていない。「リョービエクスプレス名古屋号」はワンマン運行をする。バスは途中何か所に停まるが、運転士の休憩のためのようで、サービスエリア等での休憩はない。バスは順調に走り、岡山駅西口バスターミナルには20分ほど早く、6:20ごろに到着した。
次に乗る「ももたろうエクスプレス」も同じ岡山駅西口バスターミナルから発車する。路面電車に乗るほどの時間はないので、隣にある駅でインターネット予約をしていた切符を引き換えたほかは、発車時間まで待合室で待つ。バスターミナルからは数多くの高速バスが発車する。一番多いのは大阪行き。新幹線よりは遅いが安く、(新幹線の駅から離れている)難波に行くのが長所だ。岡山駅西口バスターミナル7:30発の「ももたろうエクスプレス」は10分ほど前にバスターミナルに入ってきた。バスは定刻に発車したが、朝のラッシュのため、次の岡山インターには7分ほど遅れて到着。岡山インターでの乗車はなく、12、3人ほどで山陰に向かう。バスは岡山道、米子道を経由して山陰に向かう。岡山道、米子道ともに対面通行区間がところどころにある。大雑把に言って岡山道、米子道ともに南半分が4車線で、北半分が対面通行だ。米子道の蒜山高原サービスエリアで休憩して、再び走り出す。米子道からは左に折れて山陰道に入り、米子中インターチェンジで降りると2、3分で米子駅。高速道路から近くて驚く。所定のダイヤより少し早く到着している。
米子に行った目的は、後藤総合車両所の見学ツアーに参加するため。車両基地の一般公開は時々あるが、日常業務をやっている普段の様子を見せてくれるのは珍しい。後藤総合車両所の見学ツアーは午後からだが、午前中に米子駅の南側にある扇形車庫を見学するオプショナルツアーがあるので、それにも参加する。集合時間の10:30に米子駅に集まったのは3人、係員に誘導されて駅からぐるっと回って扇形車庫まで歩く。米子では簡単な検査を行っており(その現場も見ることができる。ただ、奥のほうで作業をやっていて見づらかったのは残念だった)、扇形車庫にはディーゼル機関車、ディーゼルカーのほか、新型ラッセル車のキヤ143もあった。今年の冬の実績を見て、旧型のラッセル車を廃車にするかどうか考えるのだろう。ディーゼルカーはキハ121のほか、キハ40系もたくさんいる。国鉄時代に製造されたキハ40系はJR東海ではすでに全廃され、廃車に向けて動きのあるところもあるが、JR西日本はまだまだ残りそうだ。1時間ほどでオプショナルツアーは終わり。駅に戻って2階の食堂(9月末で閉店)で隠岐いか丼を食べる。米子は高架になっておらず、橋上駅舎でもないので、昔ながらの地方ターミナル駅の姿を残している。
後藤総合車両所の最寄り駅は、境線で2駅の富士見町。米子は「ICOCA」が導入され、自動改札も入っているが、境線は「ICOCA」の対象外で、あらかじめ切符を買わないといけない。米子13:22発の境港行きはねずみ男のラッピングをしたキハ40の1両。立っている人はいないが、ボックスシートには1人か2人座っている。車内放送は鬼太郎とねこ娘がやっていた。富士見町では後藤総合車両所の係員が待っていた。後藤総合車両所はディーゼル機関車、ディーゼルカーなどの全般検査を行うことのできる大規模な工場である。因みに後藤は地名ではなく、人名が由来のようだ。日常業務を行っている工場を見学するため、内容はその日のお楽しみ。キハ189系の台車が切り離され、クレーンで木次色のキハ120を持ち上げている。一般公開という飾られた場でなく、日常の姿の工場を見るというのは、何とおもしろいことか。後藤総合車両所では一部電車の検査も行っていて、紀勢線から来た381系のクハが1両、ポツンと置かれていた。部品取り用か?
15時過ぎに見学は終わったが、米子方面の列車は当分ない。沿線には家が多い。富山ライトレールみたいに、JRから切り離して増発すればそれなりの効果がありそうだ。ただ、後藤までの区間はJRから分離する訳にはいかない。後藤総合車両所があるからである。分離した場合、そこの扱いをどうするかが問題となるのだ。富士見町15:58発は「ゲゲゲの鬼太郎」ではなく、キハ121の2両編成で山陰海岸ジオパークのラッピングをしていた。米子からは16:13発の「スーパーまつかぜ7号」に乗る。鳥取、島根の両県をほぼ走る、鳥取発益田行きの特急、外観はシンプル過ぎて特急らしくない。米子で降りる人が多く、ガラガラの状態で発車する。松江や出雲市で乗ってきたが、それほどでもない。扉から遠い奥のほうだったこともあり、2席を占領することができる。出雲市まではそうでもなかったが、出雲市を過ぎたあたりから速く走る。今のところ国道を走る車よりも速く走る特急だが、部分的に完成している高速道路が気になるところ。浜田で泊まったのは、駅から歩いて10分ほどだが、高台にあるホテル。明かりは少ないものの浜田の夜景が見える。(続く)
(参考:JR西日本山陰開発ホームぺージ http://www.wjrsd.co.jp/cgi-bin/rus7/info/view.cgi?d=21)
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