阪急大阪空港線、採算取れず?
阪急にはいくつかの新線計画がありますが、それらは採算が取れるものでしょうか? 国交省はそれについて4月11日、調査の結果を発表しました。
調査の対象となっているのは、(1)なにわ筋連絡線(北梅田(仮称)-十三間、約2.5キロ)、(2)新大阪連絡線(十三-新大阪間、約2.1キロ)、(3)大阪空港線(曽根-大阪空港(仮称)間、約4.0キロ)、(4)西梅田・十三連絡線(西梅田-十三間、約2.9キロ)の4つ。(1)と(2)を同時に整備したケースも検討し、(4)は建設区間が相当区間重複する(1)と比較する目的で挙げられたものです。なお、なにわ筋線が開業することが話の前提で、(2)はそれに加えて(1)が開業することが前提、(3)は(1)、(2)が開業していることが前提となっています。
これらの鉄道が開業するとどれぐらい便利になるのでしょうか? (1)が開業すると十三-関西空港間の所要時間が約14分短縮され(乗り換えも要らなくなります)、関空から90分圏の人口が約18万人増えます。 (2)が開業すると十三-新大阪間の所要時間が約11分短縮され(乗り換えも要らなくなります)、新大阪から60分圏の人口が約3万人増えます。 (3)が開業すると梅田-大阪空港間の所要時間が約6分短縮され(乗り換えも要らなくなります)、大阪空港から60分圏の人口が約122万人増えます。
そして、建設費(車両費は含みません)、1日当たり輸送人員、費用便益比、収支採算性(地下高速鉄道整備事業費補助を活用することが前提で、整備保有主体の累積資金収支が黒字転換するのはいつか)はどうなるのでしょうか? (1)は順に約870億円、約9.2~10.2万人、1.7~1.8、24~31年目となります。(2)は約590億円、約5.5万人、1.4、27年目となります。(3)は約700億円、約2.5万人、1.4、40年目以降(40年間で黒字転換する可能性が低い)となります。(3)は費用便益比は良いのですが、資金が回収できないので、何らかの方策を考える必要があります。もっとも、伊丹はすでにモノレールがあり、関空とは違って国内空港なので、つくる必要性は低いとも考えられます。数字が良いのは(1)と(2)を同時に整備したケースで、数字は約1310億円、なにわ筋線連絡線は約11.4~13.1万人、新大阪連絡線は約4.7~5.6万人、1.7~1.9、13~16年目となります。(1)、(2)、(3)を整備すれば、なにわ筋線の利用者も増えるようです。(1)や(2)は、なにわ筋線の列車を阪急新大阪方面に逃がす効果があります。例えばJRはおおさか東線の新大阪へ、南海は阪急の新大阪へと分けることができます。こうやって2線に分けることができる分だけ、なにわ筋線の利用者が増えるのです。また、(4)については、採算性は良いものの(18年目に黒字転換)、費用便益比は1.3と(1)より低くなります。なにわ筋線と一部重複することから、(4)の整備によってなにわ筋線の利用者数はわずかながら減ってしまいます。なにわ筋線をつくるならば、(4)をつくらず、(1)等をつくったほうが良さそうです。
(参考:国交省ホームぺージ http://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo04_hh_000065.html、http://www.mlit.go.jp/common/001231160.pdf)
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